第104話 ウォード舐められる
試練の間の試練が想像以上に簡単だったので、少し呆気にとられたけど、ドロップを回収してから次のエリアへ進んだ。
俺達より先に試練の間をクリアしたパーティーが、エリア進む為の準備をしていた。そして直ぐに俺達が出てきた事に驚いたみたいで、リーダーっぽい男が話し掛けてきた。
「おっ、俺達の後ろに居たよな。もう試練の間をクリアしたのかよ?お付きの姉ちゃんは相当な手練れなんだな?俺はヴァルカンだ小僧の子守が終わったら仲良くしないか?」
いきなり失礼な事を言ってくる男に、2人は嫌悪感を露にしていた。俺も『イラッ』としたのでハッキリとした態度で断りをいれる。
「今は子守をしてもらってますが、必ず一人前の男になって2人を守るつもりです。それに試練の間は僕が1人でクリアしましたよ」
「はっ?小僧がイキがるなよ。ここでお前をぶん殴って姉ちゃんを奪っても良いんだぞ?」
ヴァルカンは腰の剣を抜いて脅してきた。パーティーメンバーさんは『ヤレヤレ』という感じで暴走を止めようとしなかった。この人達はいつもこんな事をしてるのか、ハンターとして風上にも置けないと思った。
「ヴァルカン、やり過ぎて殺すなよ?」
「姉ちゃん2人が俺の物になるなら穏便に済ませてやっても良いんだぞ?」
ヴァルカンは剣を持ったまま俺に近づいてくる。パミュルが前に出ようとしたので、俺は手で静止して
「僕は暴力的な解決は好きじゃないんだけど、大切な2人に不躾な物言いは許せない」
「おいおい、本当に痛い目に合いたいようだな。オラッ!」
ヴァルカンは余裕の笑みを浮かべながら、剣を振り下ろしてきたけど、思ったほどの剣速でなく簡単に見切る事ができた。俺が軽く躱した事に驚いたようで、『舐めすぎた』と言いながらもう1度剣を振ってきた。どれ程のものかと思ったけど、剣速はさほど上がっていなかったので、軽く躱すと剣を持つ手に木剣で打ち込んだ。
『バチィ』
「ツッ……」
痛みに耐えきれずにヴァルカンは剣を落としたので、俺は木剣を水平に振って腹部に一撃を入れると、両手で腹部を抑えながらヴァルカンは両膝から崩れ落ちた。
(なんだ、コイツ弱すぎないか?)
「ゲボォ、参った……オレが悪かった」
「あなた達はどうなんですか?」
ヴァルカンは吐きながら降参したようなので、後ろに居たパーティーメンバーに向かって、戦う意志があるのかを確認したが、3人とも手を上げて戦意がない事を示した。
「ないない!ヴァルカンに勝てない俺達じゃあんたに勝てない。許してくれ!」
「そうですか。今回は僕だからこの程度で済んだけど、次は2人を止めませんからね?当然だけど僕より強いので命の保証はしませんからね」
「悪かった!勘弁してくれ〜」
その後は言葉も掛けずに、俺達はその場を立ち去ってエリアを進んで行った。
(俺も少しは強くなってたんだな~)
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