第98話 変わったメリル?

 鬼の棲家を後にして、ハンター協会出張所のサーシャさんが居るカウンターへ並ぶ。結構な数のゴブリンを討伐をして2人とも疲れてると思ったので、先に戻る事を勧めたけど、ハリエットに即答された。

 

「精算だけだがら先に戻っても良いよ?」

「変な虫が付くと困るから一緒に居るよ」

「こんな所に虫なんて居ないよ?」


 流石に町中に虫はいないと思ったので、その事を伝えるとパミュルが薄ら笑いしながら耳元で囁いた。


「私とハリエットにとって邪魔になる者は虫になるのよ?メリルみたいなのが良い例ね」

「そっ、そういうものなの?」

「えっと、サーシャさんが虫って事?」

「さぁ~、それは彼女次第よ」


 最後の語尾が少し疑問形になってるのが少し怖かった。2人はどれだけ心配性なんだろう?俺が子供だから過保護気味になるのは仕方ないかな?

 そんな話をしていたら俺達の精算の順番が回ってきた。


「ウォードさん、今日も精算ですね?こちらへご提出ください」

「サーシャさん、いつもありがとうございます。今回はこれをお願いします」


 俺はハイゴブリンの魔石3個とゴブリンの魔石20個に宝石を3個提出すると、サーシャさんが少し驚いていた。


「ハイゴブリンの魔石があるという事は、3人で試練の間をクリアされたんですね」

「なんとか倒せましたよ」

「2体も現れるなんて非常に珍しいんですよ?」

「僕もハイゴブリン2体には驚きましたよ。初回が1体で行動パターンを見れていたのでなんとか対処できましたよ」

「無事で良かったです。こちらが鑑定結果になりますのでご確認を」


【魔石】銀貨15×3個 銀貨45枚

【魔石】銀貨5枚×20個 金貨1枚

【宝石】橙石(小)金貨15枚×2個 金貨30枚

【宝石】桃石(小)金貨30枚×1個 金貨30枚

【合計】金貨61枚 銀貨45枚


 明細書を確認してからサインをしてから、金貨5枚と銀貨を受け取って残りはハンターカードへ預けておくように頼んでおいた。


「こちらがお渡しする硬貨と残りはカードに入金しました。またのご利用をお願いします」

「ありがとうございました」


 無事に精算を済ませた後は、食材の買い出しをしてからアパートへと戻ろうとすると、アパートの前でメリルが俺達の帰りを待っていた……


「ウォードさん、この前はごめんなさい。失礼な事を言ってしまって……」


 俺達を見るなり近寄ってきたメリルは、その場で深く頭を下げて謝罪をしてきた。謝意を見せてる相手を無視するのは可哀想なので、メリルからの謝罪を受け入れる。


「メリルさん、あなたの謝罪を受け入れます」

「ありがとうございます。今日はこれで失礼しますね」

「あっ、お店へ寄る機会があったらよろしくお願いしますね」


 俺が去り際のメリルにそう伝えると、『パアッ』と一瞬で笑顔になって頷いてから帰っていった。


 俺は、次からは大人しくしてくれると信じてアパートへと戻った。

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