第97話 公平に扱ってよね?

 エリアを移動したけど特に雰囲気は変わらなかった。試練の間で現れたハイゴブリンが出現するだけで、エリアの形状変化はまだ先の話になるのかな?


「特に地形は変わってないね。ハイゴブリンに気をつけながら進んでいくよ。配置は僕、パミュル、ハリエットで!」

「「OK!」」


 マッピングをしながら現れるゴブリンを倒して行くけど、ハイゴブリンは現れず順調に進んで行く。その中でも、ゴブリンとの戦闘でメタリカの武器としての性能を試してみた。篭手から鋭利な短剣へ形状変化が出来たので、攻守の両方で使える事が判ったのが大きな収穫だった。


 更に、エリアを進むには必ずダンジョン内での野営が必要になるので、野営が出来そうなポイントがないかの確認も怠らない。


 そんな俺の様子を見たハリエットは、不思議そうな表情で話しかけてきた。


「流石にこの辺りで野営をする事はないんじゃないの?」

「進む時には必要ないけどね。戻る時は疲労困憊や負傷で、試練の間に挑戦出来ないかも知れないからね」

「そっか、そこまで深く考えてなかったよ。流石はウォードだね!」

「一応はパーティーリーダーだからね。少し時間が掛かるけど我慢してね」

「安全が最優先だから気にしないでね」


 その後も慎重にマッピングを進めると、行き止まりに当たった所でこの日の攻略を終えて、アパートへ戻る事にした。


「行き止まりでキリが良いから戻ろうか?」

「そうね、試練の間は通るのよね?私は変化した方が良いかしら?」


 パミュルが試練の間に入る時の話をしてきたので、同じ状況での戦闘を想定して返事をする。


「次はこのままで行くよ。試練の間へ入る直前に指示を出すね」

「ウォードが独り立ちするのは嬉しいけど、少し寂しく感じるわね」

「でも、装備に変化をしてると、こんな事は出来ないんだよ?」


 俺は少し寂しそうな顔をしたパミュルの頬に『チュッ』と軽いキスをして微笑むと、不意打ちのキスに少し頬を赤らめながら、パミュルは嬉しそうな顔をしてくれた。


 当然、それを見ていたハリエットは『ズルイ』と言った後に、俺の頬にキスをした後に、少し頬を膨らませながら話しかける表情が、凄く可愛かったので『ドキッ』とした。


「ちゃんと公平に扱ってよね?」

「う、うん、ごめんね」


 少し甘い雰囲気になったけど、ダンジョン中なので気を引き締め直して初心者Newbieエリアへ繋がる試練の間を目指して到着する。


「じゃあ作戦を説明するね。先制でパミュルの魔法で足元を狙ってから、ハリエット特性の矢でハイゴブリンを仕留めれるか確認するよ。僕は残りのゴブリンを処理するね」

「「OK!」」


 俺がドアを開けて試練の間に入って、前へ進むと薄っすらと光ってから大きな2体のゴブリンが現れた。


「ハイゴブリン2体だけど作戦は変わらず!ハリエットは右を僕は左を殺る」

「OK!〚風剣ウインドソード〛!」


 パミュルの魔法がハイゴブリンの足元を襲い、膝から下を切断すると倒れ込む。


「ギャギャッ」「ゴギャ」


 倒れたハイゴブリンを確認してからハリエットが特性の矢を放ち、俺は痛みに悶えてるハイゴブリンの首を斬り落とす!


『シュン!』

「ゴガッ……」


『ザシュッ』

「グッ……」


 戦闘は呆気なく終わり、ハイゴブリンは魔石を残して消滅したのを確認してから、3人でハイタッチをして喜びあった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る