第88話 鬼の棲家

 買い出しを済ませた翌日からは、3カ月の滞在する為の収入を得なければならない。

 なのでハンター協会へ手頃な仕事を探しに行く。手頃な仕事と言いながらも、近くにある【鬼の棲家】と呼ばれるダンジョンへ行こうと思ってるんだけどね。


 ハンター協会でダンジョンの情報等を聞いてから、ダンジョン関連の依頼があればそれを受けて、依頼とマッピングをする予定だ。ハンター協会へ向かっている途中に、ハリエットが俺に話しかけてきた。


「ウォードはダンジョンについてどの程度の事を知ってるの?」

「ダンジョンは鬼の棲家と呼ばれていて、主にゴブリンが生息してるけど、エリアを進んで行くと進化したゴブリンが現れるって事くらいかな?」


 俺が鬼の棲家について話し終わると、パミュルはゴブリン相手に最も注意しないといけない事について教えてくれた。


「ゴブリンは個体として強くはないけど、数で押し寄せる事があるの。ウォードには関係ないかも知れないけど、ゴブリンはゴブリン以外の雌にも発情するの。そして繁殖行為で妊娠すると確実にゴブリンの子が生まれるから、私とハリエットはゴブリンに捕まらないように注意が必要よ」

「その話を聞くと、積極的にダンジョンのマッピングをするのを躊躇うね」

「うん、錬金術を学ぶのが目的だから赤字にならない程度でハンター活動にしようね?」


 パミュルの話を聞いたハリエットは、怖がりながら俺にしがみついてきた。俺もこの話を聞いて積極的にダンジョン攻略をする気が失せた。


 そんな話をしているとハンター協会に着いたので、建物内へ入って鬼の棲家についての話を聞く事にした。


「こんにちは、初めてデルポト市でハンター活動をするので、鬼の棲家について教えて欲しいのですがよろしいですか?」

「はい、こちらが鬼の棲家の資料になります」

「アドバイス的なものは頂く事はできないのでしょうか?」

「有料ですが、鬼の棲家についてのハンター講習会がありますよ」


 これだけの規模になると、個々のハンターをサポートするのは無理なのかな?講習会への参加は、渡された資料を見てから決めればいいかな?次になにか依頼がないか聞いてみた。


「鬼の棲家に関連した依頼は掲示板で確認すれば良いでしょうか?」

「ダンジョンに関しては特別な依頼はありません。討伐したらドロップする魔石やアイテムの買取りのみになります」

「ありがとうございました」


 ダンジョンは自力で魔物を討伐する以外に稼ぐ方法はないという事なのか、俺には〚幸運〛の天賦があるから他の人よりは稼げるかな?


 ハンター協会での用事が全て終わったので、俺達は鬼の棲家へと向かう事にした。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る