第63話 デレるハリエット

 翌朝、俺はパミュルに抱き着かれたまま目を覚ますと、俺の寝顔を見つめていたパミュルと目が合う。


「あっ、おはよう、ウォード♪」

「パミュル、おはよう♪」

「ハリエットはまだ寝てるわね。朝食を作るけど手伝ってくれる?」

「うん」


 起きてからは2人で朝食を作ってからは、ハリエットを起こして朝食を済ませた後は、セーフティーエリアを後にして下層のマッピングを再開した。


「今日から水没エリアに入るから、足下には十分に注意して行くね」

「OK!あと少しでマッピングも終わりだから頑張ろうね♪」


 下層の攻略初日に足元が水没していた場所を進む。『バシャバシャ』水を踏むので音が鳴るのは仕方ないけど、これでは甲殻が擦れるような独特の音が聞こえない。これまでとは違う状況なので、十分に注意を払う必要がある。


「この音ではザリガニやカニに気付くのに遅れるね。不意を突かれる事に気をつけて行くよ」

「先頭が1番危険だから気をつけてね」


 下層を進むと俺達が立てる音より大きな音が聞こえる。


『バシャンバシャン!』


 これは魔物が動く音だね。想像以上に大きな音がするので、不意を突かれる恐れはなくなったかな?大きな音がする方向へ向かうとザリガニが2体現れた。

 単体なら問題ないけど複数となると、的確に動かなければ命に関わるので、ハリエットに指示を出す。


「パミュルは魔法でザリガニを寄せ付けないで、ハリエットは狙いやすい方を仕留めて、1体になったらいつも通りの作戦で倒すからね」

「「OK!」」


 指示を出すと、パミュルは直ぐに魔法を放ってザリガニの動きを止める。ハリエットは止まった相手に、余裕を持って特製の矢をザリガニの頭を狙い射った。


「ハリエット任せるわよ〚風弾ウインドショット〛」

『ビチャ、ビチャ!』

「ナイス、パミュル!えいっ!」

『バシュン!』「キシィ……」


 相変わらずの素晴らしい射術だ。

 一発でザリガニを仕留めるんだから惚れ惚れするね。パミュルの〚風刃ウインドカッター〛が残ったザリガニの尻尾に炸裂すると、痛みで仰向けになったところを俺の槍が腹部を貫くと、魔石とハサミをドロップして消滅した。


「2人ともお疲れ様!」

「ウォードもカッコ良かったよ♪」

「ハリエットの矢を射る姿は様になってて惚れ惚れしたよ♪」

「……そぅ?」


 俺の言葉を聞いたハリエットは、顔を真っ赤にしながら体を『クネクネ』させていた。普段では見る事のないハリエットの可愛い一面を見る事が出来た。


「ウォード、その顔でその言葉を掛けるとね、どんな子でもああなるのよ(笑)」

「よく判らないけど気をつけるよ」

「私とハリエットになら良いのよ♪愛する人から言われると嬉しいからね」

「うん、判ったよ♪」


 ハリエットが落ち着くのを待ってから、下層のマッピングを再開して先へと進んで行った。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る