第62話 ガチンコ勝負
野営の準備も万全にしてルクンナ洞へと入って行く。
上層から下層の道順は覚えてるので、迷う事なくダンジョンを進んで行くと、ダンゴムシ2体と下層へ向かう通路前にムカデが現れたけど、攻略方法が判ってるので手っ取り早く魔物を討伐して、魔石とドロップを回収したら下層へと進んで行った。
「慣れって凄いね!ダンゴムシやムカデが今じゃ簡単に倒せるんだもん♪」
「僕達はそれぞれの役割分担がしっかりと出来てるからね!少数パーティーの良いところは『あ・うん』の呼吸で戦える事だね。ハリエットとパミュルが僕に合わせてくれるから助かるよ。ありがとう」
改めて2人に『ありがとう』と感謝を伝えると、ハリエットは俺の正面に立ってから返事をくれた。
「ウォードは凄いのよ。魔物を観察して的確に攻略方法を見つけるなんてさ、誰にでも出来る事じゃないのよ?自信を持って胸を張るべきよ♪」
「ありがとう♪2人の前では自信を持つようにするよ。世界は天賦が全てだからさ、僕が何をしても認められないからね(笑)」
「でも、世間がウォードの事を認めると、私から離れちゃいそうだからこのままでも良いんだけどね(笑)」
「こんな素敵な2人から離れられても、離れる事はないよ」
天賦こそ全ての世界では俺は認められない、そんな俺を認めてくれる仲間の為になら、馬鹿な頭をフル稼働させて頑張るだけだからね。
下層へ降りて少し話し込んだけど、防寒着と耐水ブーツに替えてからは、一昨日の続きをマッピングし始める。少しずつ空白を埋めて行きながら、現れるザリガニを倒して行くけどカニは現れない。上層のムカデと同じように、下層の決まった場所にしか生息してないと仮定した。
あくまで仮定なので油断せずに注意を払ってマッピングを続けてると、下層の4割程度の空白が埋まったところで、今日のマッピング作業を終える事にしたので、俺達は休息する為に野営ポイントへ向かった。
「お疲れ様!僕が料理を作るからゆっくりしててよ♪」
「ありがとう♪」
ハリエットは人型になったパミュルと2人で、簡易机を出して食器を並べた後は寛いでいた。最近はよく2人でヒソヒソ話をしてるのは、仲の良い証拠だからいい事だね。
料理が出来上がったので料理を持っていくと、ハリエットが『プクッ』と頬を膨らませていたので、何があったのか聞いたけど『なんでもない』と言うので深くは聞かなかった。パミュルは薄っすらと笑っていたので冗談が過ぎたんだろうね。
夕食を食べた後は、明日のダンジョンマッピングの進め方を説明してから、就寝する事にしたんだけど、そこでハリエットが
頬を膨らませてた理由が判った。
俺と一緒の毛布で寝る権利を賭けて勝負して負けたからだったらしい……ダンジョン内の野営だと言うのに、2人はいったい何をしてるんだよとため息がでた。
「じゃあ、ウォードよろしくね♪」
「本当に一緒に寝るの?冗談じゃなかったの?」
「ふふっ、私とハリエットと真剣勝負をしたんだから、冗談な訳ないでしょ」
そう言ってからパミュルは俺の毛布に入って抱き着いてきた。それを見ていたハリエットは、頬を膨らませながら1人で毛布に潜って、反対方向を向いて寝た。
「明日は絶対に勝つんだから!」
「ふふっ、負けないわよ」
こんな所で女のガチンコ勝負をしないで欲しいんだけどね(汗)
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