第45話 ガンコーからの提案

 親子の温もりを感じ合ってからは、流石に服を着てないのは不味いので、いつもの俺のピアスに変化してもらって、今日のマッピングは終了してダンジョンから戻る事にした。


 ダンジョンからルクンナ村へ到着すると、直ぐにハンター協会出張所へ向かって、ダンジョン内でメルティのハンターカードと鞄を見つけた事を報告する。亡骸については説明するとややこしいので、魔物に食べ尽くされたと言う事にした。


「そうか、メルティは3人パーティーを組んでたと思うんだけど、その様子だと他の2人も既に魔物にやられたかな?」

「そちらへ報告がないなら、その可能性が高そうですね。明日もダンジョンへ向かうので、何か見つけたら報告しますね。それと、ドロップアイテム等は買い取りしてもらえるんですか?」


 3人パーティーだったらしいので、残りの2人もダンジョンで見つけたら遺品を回収する事にした。それとは別に魔物の魔石とアイテムを買い取ってもらいと、話をすると少し驚いた顔をしていた。


「あんたら2人で魔物を倒したのかい?しかもアイテムドロップしたのか?」

「はい、魔石が3つとダンゴムシとムカデのアイテムを1つずつですね」


 受付カウンターに魔石とアイテムを提出すると、サチさんはカウンターに置かれたアイテムを『マジマジ』とみながら、信じられない顔をして俺達に話し掛けてきた。


「ムカデを倒せるかい!あれを倒せないからこのダンジョンは人が寄り付かないんだよ!」

「ムカデに関しては不意をつけたので、完全なマグレですから次に倒せるかと言うと判りません。買い取りはしてもらえるんですか?」

「あっ、魔石は買い取らせてもらうよ。アイテムは道具屋が買い取る事になってるんだ。通りの向こうに【ガンコー商店】があるからそっちへ行っておくれ」


 出張所では魔石の買い取りのみで、アイテム類に関しては道具屋へ持ち込む必要があるようだった。小さな村だから其々に分担してるんだね。


「判りました。魔石の買い取りと遺品を預かってください」

「はいよ。魔石は2つで金貨4枚だよ」

「ありがとうございます」


 金貨を受け取ってから、俺達は通りの向いにあるガンコー商店へ、アイテムの買い取ってもらう為に店へと入ると、スキンヘッドに髭面の少し強面な店主が迎えてくれた。


「いらっしゃい!ハンターとら珍しいね。俺は店主のガンコーだ。まさか、アイテムドロップしたのかい?」

「はい、ダンゴムシとムカデのドロップアイテムを持ってきました」


 俺はカウンターにダンゴムシの外殻とムカデの尻尾を提出する。店主は尻尾を手にして物珍しそうに眺めながら感嘆の声をあげる。


「俺はムカデの尻尾を初めて見たよ!このダンジョンのドロップは外殻のみだと思ってたが、良い物を拝ませてもらったよ。この尻尾はかなりの硬度だから、武器でも加工した方が良いかも知れないよ」

「武器にするには少量過ぎませんか?」


 拳程度の大きさなので、武器と言っても作れる物が思い付かなかったけど、店主はハリエットさんの方を見てから説明してくれた。


「連れの姉さんは弓を使うんだろ?やじりにすれば矢の貫通力があがる筈だよ。ダンジョンなら魔物を倒せば消滅するから、やじりの劣化は最小限で済むからね」

「それは良いですね!どこか加工をしてくれる所はあるんですか?」

「俺の弟が武具店をしてるんだ。紹介してやるから作ってもらいな!」

「「ありがとうございます」」


 道具屋の店主の弟がが武具店を営んでるらしいので、紹介してもらってやじりの加工を依頼する事にした。このやじりがハリエットさんの攻撃力が飛躍的に上がるなんて、この時点は思ってもいなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る