第33話 待ち伏せ
スライムの穴から無事に戻ったので、ハンター協会で今回のドロップアイテムと魔石を精算してもらう。
「あっ、ウォード君おかえりなさい。暫く見なかったから心配してたんですよ」
「あぁ、ダンジョン内で4泊してたので、僕も久し振りに地上へ戻ってきたところです(笑)」
「2人になっても精力的なんですね♪」
「以前と変わらない活動をしたいので、あっ、今回の精算をお願いします」
俺は今回のドロップアイテム6個と魔石20個をカウンターへ提出する。毎回ドロップがあるので受付係さんも驚く事はなくなって、普通に精算の手続きを始めてくれた。
「相変わらずのドロップでしたね。今回はアイテムと魔石を合わせて金貨250枚になりますが、よろしいですか?」
「はい、全額預かりでお願いします」
「かしこまりました」
精算を済ませたので早く借家へ戻って、ハリエットさんお待ちかねのお風呂を沸かさないとね。
料理を作るのは面倒なので、屋台で簡単な物を購入してから戻ろうとすると、いきなりレイバンさんに声を掛けられ呼び止められた。
「よぉ、ちょっと待ってくれよ」
「ダンジョンから戻ったところで疲れてるので、またの機会にしてください」
「お前の意見なんてどうでもいいんだよ。待たねえと痛い目に遭うぞ?」
レイバンさんと後に控えた2人が、腰に据えてる武器に手を当て俺達を威嚇する。1対1でも分が悪いのに、3対2ではどう足掻いても勝てそうにないので仕方なく立ち止まった。
「ここじゃ人目が気になるから場所を移すかろ、俺達の後について来い。逃げようとすれば女を斬るからな!」
「判りました」
レイバンさんの後について行くと、人気のない場所へ連れて来られた。
そして、薄っすらと笑みを浮かべながら1枚の紙を出して話し掛けてきた。
「これは奴隷契約書だ。この用紙にお前達の名前を書け!」
レイバンさんが、俺とハリエットさんに奴隷契約書を見せて名前を書けと言ってきたので、俺は奴隷になる事を拒否する。
「どうして僕達が奴隷に?理由が無いのでお断りします」
「お前に無くても、俺にはあるんだよ!お前の天賦〚幸運〛さえあれば俺達はハッピーになれるんだよ!さっさと名前を書きやがれ」
俺は唖然なった……俺の天賦の事をレイバンさんが知ってるという事は、ミリムが伝える以外に知る事が出来ない筈だったからだ。
ミリムは俺達のパーティーを抜けるだけじゃなく、元仲間の情報を教える裏切り行為をしてた。悔しさのあまり拳を強く握り締めると、ハリエットさんが小さな声で話し掛けてきた。
「ウォード、何とか人気のある場所まで逃げないと……私が囮になるから逃げて」
「あの3人を相手に逃げるのは無理です。僕だけ奴隷で済むように交渉します」
「それはダメだよ。ウォードが奴隷になるなら私も一緒よ」
「それなら、足掻けるだけ足掻いてみますか?命までは奪われないでしょ(笑)」
「うん、何もしないよりいいわね(笑)」
俺とハリエットさんは何もせずに奴隷になる事を拒否して、ダメ元で足掻く事にしたので、ハリエットさんは弓を、俺は母さんに合図して剣に〚変化〛してもらってから、剣を構えて戦う事にした。
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