第27話 ミリムのその後
ウォードのパーティーを離脱した後、ミリムはレイバンのパーティーへ登録に手間取った。
「くそっ、ミリムちょっと待てろ。レミーを連れてくれば登録が出来る筈だ」
「あっ、うん待ってるね」
レイバンは駆け足でパーティーメンバーのレミーを呼びに行った。協会の受付で『ポツリ』と1人で待ってるミリムに受付係が声を掛けた。
「どうして前のパーティーを抜けたの?凄く良いパーティーだと思ってたのよ?」
「私には武術の才能があるんだけど、ウォードと一緒じゃ私の才能が埋もれるって、レイバンさんが教えてくれたの!稽古を付けてもらったら強くなっていくのが判って楽しいの♪」
「そうなのね、あなたは武術を極めたいのね。それなら納得出来たわ(ハンターとして上を目指すならウォード君だけどね…、)」
「うん」
ミリムは受付係の言葉を深く考えずに返事をしてから、レイバンが戻るのを待った。
「おぅ、待たせたな!レミー早くパーティー登録の手続きをしてくれ」
「もう……明日でも良かったじゃない!」
「登録したついでに、お前の部屋でこの子を預かってくれ。期待の新人を引き抜いたんだ」
「もぅ……男を呼ぶ時は外で待たしても良いなら引き受けるけど、その子に部屋を用意してよ」
「あぁ、パーティー強化出来たんだから収入も増える筈だから任せろ!」
レイバンのパーティーで、唯一読み書きが出来るレミーのおかげで、レイバンのパーティーメンバーとなった。
その日はレミーの部屋で世話になって、翌日からスライム穴へと討伐へ向かった。
レイバンのパーティーはミリムを含めて6人で、全員が武術の天賦を持っている【近接特化】のパーティーだった。ミリムは腕の立つ頼もしい仲間との討伐に胸を膨らませていた。
「ねぇ、このパーティーはダンジョンの何階層まで進んでるの?」
「4階層で停滞してるんだよ。距離を詰める事が出来ないから苦労してるんだよ」
「えっ……もっと下の階層じゃないの?」
「お前等はどこまで行ってたんだ?」
「5階層まで進んでたよ。近いうちに6階層に降りる予定だと思う」
ミリムの言葉を聞いてレイバン達は驚いた。3人パーティーで、自分達よりも下の階層へ進んでいるとは思ってなかったからだった。
「どうやって4階層を突破したんだよ?」
「ウォードが、あの階層のスライムは一定の距離を保つから、弓で倒すのが正解だって言ってたよ」
ミリムはウォードの言葉をそのまま伝えると、レミーが感心しながらウォードを褒めた。
「あなたの元パーティーのリーダーは相当な観察力をしてるわね。このスライム穴では4階層で殆どパーティーが挫折するのよ。私達も苦労してたんだから……」
「まぁ、攻略方法が判れば楽勝だ!レミーは弓を使えたよな?今日は弓を手に入れて明日から潜るか!ミリムお手柄だったな」
「あっ、うん」
レイバンのパーティーはこの日のダンジョン攻略を中止して、宿べと戻る事になった。
ミリムは早く戻ってもする事がないので、レイバンに稽古を頼んだが『今日は飲み行く』と断られて、仕方なく部屋に戻ろうとするとレミーから『彼氏が来るから夜まで外で時間を潰して』と言われて、行く宛もなく1人で打ち込みの練習して時間を潰すしかなかった。
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