第20話 孤児院への訪問②

 翌日、ハンターの仕事を終えてから、リンスさんとの約束通りに孤児院へ向かう、女の子と約束した食べ物も忘れずに持って行った。

 俺が孤児院の前に着くと、約束をした女の子が待って居て俺を見つけると、『ニコッ』と笑顔になって駆け寄ってきた。


「ちゃんと食べ物持ってきたの~?」

「あぁ、約束したからね。中へ入ってみんなで食べよう♪」


 そう言うと、女の子は俺の手を引いて孤児院の中へと入って、リンスさんを呼んでくれた。


「リンスさ~ん、昨日のお客さんが食べ物を持って遊びに来たよ~♪」


 遊びに来た訳じゃないんだけど、リンスさんを呼んでくれたからまぁいいか(笑)


「ウォード君、昨日はその……ごめんね(汗)」

「いえいえ、僕みたいな者が孤児院に来れば当然の事だと思うので、気にしないでください。それよりお土産にクッキーを持って来たので、みんなで食べましょう♪」


 俺はクッキーの入った箱をリンスさんに渡すと、奥の部屋に居た子供達がやって来た。男の子が3人と女の子が1人で、そのうちの1人の男の子は俺には絡んできた子で、今も俺を睨んでる……



「さぁ、こちらのウォード君がみんなにお土産にクッキーを持って来てくれたわよ♪美味しく頂きましょうね」

「「わ~い♪」」


 みんなが喜んでくれて良かったと思ったけど、1人だけは俺を怪しいと決めつけ声を荒げる。


「食べ物で喜ばせて何を企んでるだよ!」

「メンディ!善意で持って来てくれたのよ。感謝しないと駄目でしょ?」

「コイツは怪しい。きっと孤児院を潰しに来たんだよ!」

「メンディ君、僕は何か手伝える事がないか聞きに来ただけだよ」

「お前に何が出来るんだよ!」

「判らない。だからリンスさんと話しをしに来たんだよ。直ぐに結果は出ないかも知れないけど、僕なりに頑張るつもりだ」

「どうせ何も出来ずに消えるんだろ?」


 そう言って、メンディはその場を走り去った。その様子を見てリンスさんが俺に謝ってきた。


「ウォード君、メンディを許してあげてね。あんな事を言ってるけど、孤児院の事を誰よりも大事に思ってくれてるのよ」

「大丈夫ですよ。これから僕の行動でメンディ君の信頼を得るように努力しますから、それよりクッキーを食べましょう♪」


 いきなり俺みたいな子供が来て、孤児院の為に手伝うとか言い出したら不審に思うよな(汗)

 実際に何をするかも決まってないし、その事をリンスさんと話す為に来たんだから、今日はしっかりと話しをさせてもらう。


 クッキーを食べながら孤児院に居る子供達の事を教えてもらった。

 俺を出迎えてくれた女の子は【ミリム】5歳で水色の髪に青い瞳の美少女。もう一人の少し恥ずかしがり屋な女の子は【カナデ】4歳で黒髪に黒い瞳でソバカスが特徴の子。一緒にクッキーを食べてる双子の男の子は5歳の【カール】と【コール】で金髪に茶色の瞳の子。後は走り去った【メンディ】6歳で灰色の髪に赤い瞳のイケメン。この5人の孤児が暮らしてるらしい。


 俺は昨晩、ハリエットさんと話し合いで思い付いた案をリンスさんに説明する事にした。


➖・➖・➖メンディの想い➖・➖・➖

『くそっ』なんだよアイツは……

 俺と変わらない子供ガキの癖に大人振りやがって、絶対に孤児院を狙ってる奴らが送り込んだんだ。

 ウォードと言ったか、必ず尻尾を掴んでやるから覚悟しとけよ!


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