第18話 孤児院への訪問①

 翌日から俺は本で学んだ【親切】を意識して行動する事にした。どんな些細な事でも親切に接する事を1週間の課題としたんだ。


 朝から採集と罠の確認と仕掛けで村から出たんけど、移動中に少し気になるところがあったので、少し早めに仕事を引き上げてそこへ向かう事にした。


 昼過ぎ辺りで目当ての薬草類の採集が終わったので、村へ戻ってハンター協会で依頼達成確認をしてもらう。


「あれっウォード君、今日はずいぶん早いのね」

「はい、採集が順調だったので早目に戻って来ました。この後は少し寄りたい所もあるので!」

「あれれ、好きな女の子で出来たのかな?」


 ハリエットさんは少し悪戯っぽい表情で聞いてくるので、俺もそれに応える返事をする。


「やだなぁ~、僕はハリエットさん以外に好きな人なんて居ませんよ?」

「えっ……そうなの?あっ、うん、冗談よね?」


 まさかの反応に俺は少し焦った(汗)

 俺は冗談の質問に対して冗談で返したつもりだったんだけどね……


「えっと、昨日話してた【親切】な行動をしてみようかと思ったんですよ。」

「あぁ……うん話しをしてたね。あの、頑張ってね♪あっ、依頼達成確認だったね(笑)」

「はい、こっちが採集依頼でこれは買取でお願いします。お金は全額預けますね。」


 確認素材と買取り素材を渡すと、慌てて奥へと走って行った。こんなに取り乱したハリエットさんは見た事がなかったので、思わず微笑みながらその様子を眺めて確認を待った。


「ウォード君、お待たせしました。全て確認して問題は無かったので代金の5銀60銅貨を加算した預り証を渡すね」

「ありがとうございます。それじゃ先に戻ってると思うので、スープは僕が用意しておきますね」

「うん、ありがとう♪」


 ハンター協会での用事を済ませて、俺は気になる場所へ向かって行くと、俺と同世代くらいの子供が集まっていた。その場所というのは孤児院で俺とは理由が違うけど行く宛の無い子供達が居るので、何か力になれる事がないか確認しに来た。孤児院の前に男の子が居たので声を掛ける。


「こんにちは、院長さんは居るかな?」

「お前誰だよ?金なんて払えないぞ!」

「僕は院長さんに何か出来る事がないかを、聞きにきただけだよ(笑)」


 孤児院はお金に困ってるのかな?不審者に思われないように笑顔で返事をすると、奥から可愛らしい少女が出て来て声を掛けてくれた。


「外が騒がしいから気になったんだけど、どちら様ですか?」

「こんにちは、僕はウォードと申します。何かお手伝い出来る事はありませんか?」


 子供が孤児院へ来て手伝いを申し出てる事に、驚きの表情をうかれながら返事をする。


「ウォード君ね、私はリンス。この孤児院の運営をしてるんだけど君はまだ子供だよね?少し話しを聞かせてくれるかな?」


 そう言った後は、孤児院の中へ案内されてリンスさんの部屋で話しをする事になった。

 恐らくだけど、俺は行き場が無いから孤児院へやって来たと思われたんだと思う(汗)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る