第15話 ウォード6歳、本を探す

 更に月日が経ち俺は6歳になった。


 毎日コツコツと依頼を達成して、ハンターランクもEランクまで上がった。Dランクに上げるには魔物の討伐が必要になるので、採集と狩猟しかしてない俺はランクが上がる事は当分ない。


 今は知識を広げる為に空いた時間があれば、所長から本を借りて熟読してる。

 俺には【武の力】は無いので【知の力】を身につける事に集中してるんだ。

 あくまで俺個人の印象なんだけど、何も考えないで生活してる人が大多数なんだよね。採集や狩猟にしても効率的に行動すれば儲けは出る。

 知識を身につければこの世界なら必ず生き残れると確信してるんだよね。


「ウォード君、『ぼ~』っとしてるけど、好きな女の子でも出来たの?」

「ごほっ、そんな子は居ませんよ。僕はハリエットさん一筋ですから(笑)」


 そんな返事をすると、ハリエットさんの頬が少し赤くなった。俺みたいな子供に言われても照れるものなのかな?


「あっ、ハリエットさん!この前に話した【算術教本】【世界言語教本】の2冊の仕入値って判りましたか?」

「あれね、【算術教本】の中古は2金貨で、【世界言語教本】の中古は4金貨みたいだよ」


 中古ならもっと安いと思ってたので、完全にあてが外れた……


「ありがとうございます。中古でもなかなかの値段ですね(汗)」

「本は貴重だからね……行商人が村に訪れたら聞いてみるのも良いかもね。ハンター協会と違って色々なルートを通さないから安いかも知れないからね♪」

「そんな事もあるんですね!こまめにチェックするようにします♪」


 ハリエットさんから行商人の存在を聞いたので、村に来た時はチェックする事にした。独自のルートで仕入れる行商人なら、運が良ければ安く売ってくれるかも知れないからね。

 なんと言っても俺は〚幸運〛の持ち主なんだからね(笑)


「それじゃあ、私は先に出掛けるから、食器の後片付けと戸締まりお願いね♪」

「判りました、いってらっしゃ~い」


 ハンター協会へ出勤するハリエットさんを見送ってから、食器の後片付けと採集の準備を済ませて仕事へ向かった。


 採集依頼については、錬金術店と薬屋から固定指名の依頼を貰ったので、朝からハンター協会で依頼書を探す必要が無くなったので、家から採集ポイントへ直接向ってる。


 採集ポイントへ向いながら罠を確認すると、野ネズミが掛かってたので回収して、新たな罠を仕掛けていく。夕方まで素材の採集と罠の確認と設置を行ったので、村へ戻ってハンター協会で依頼完了の確認をしてもらいに行く。


 会館へ入ると、俺に気付いたハリエットさんが、手を振って呼ぶので受付へと向かった。


「ハリエットさん、ただいま戻りました。素材と肉の確認をお願いします。」

「ウォード君、お疲れ様!今日はお肉がたくさん取れたんだね♪あっ、そうそう、行商人が村の広場に来てるみたいだよ!」

「おぉ!精算が終わったら見に行って来ます。」


 ハリエットさんから行商人が来てると聞いたので、精算が終わったら売り物を覗いて見る事にした。行商人の話しをしてたらその日に来るなんて、間違いなく〚幸運〛のお陰でだよな♪


 

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