第35話 我が輩と初めての軍との戦い
それはいつものように森の中で狩りをしている時のことだった。
音魔法による警報の音が人間の可聴域外を使用して長距離から鳴らされた。
策定していたとはいえ初めて使用される警報に俄にざわつき始める眷属達を宥めつつ、何が起こったのかを調べる為に、警報が鳴った場所へと急ぎ急行する我が輩であった。
向かった先で見たものは人間達の軍であった。
慣れない森での行軍に息を切らせながらも、数の暴力によって魔物を狩る姿がそこにはあったのだ。
我が輩は思った、遂に他の国もタックス王国のように兵士の育成に魔物を使用することにしたのかと。
森の中で活動する軍人達の装いを確認してみるとネギジョン王国の軍であるようだった。
この国は森の近くの領土を確保した国であったはず。
恐らく、ここで力を付け他の国とのパワーバランスを一気にひっくり返す腹づもりなのだろう。
だが、ここは我が輩達の狩り場である。
荒らされる謂われなどない。
我が輩はこれに対抗する為に我が軍を招集するのであった。
我が輩は招集した眷属達に血を分け与え現状の通達と作戦概要を伝えた。
今回の作戦は以下の通りである。
まず、我が輩の直轄部隊により森の外で待機している敵軍の輜重部隊を叩くと共に敵軍の逃走経路を封鎖。
これと時を同じくして、ヘンリエッタ・ドロテア・アンリ・エンリ・アレットの五女男爵が森側から進行。
森の中で活動する敵軍を強襲する。
敵軍は森で活動する為に分散配置されており、ヘンリエッタ達はこれを各個撃破する予定だ。
そして最後に、我が輩直轄部隊より約半数を抽出し挟撃させ撃滅する。
これが本作戦の概要である。
我が輩達直轄部隊は森の中にいる敵軍を大きく迂回し輜重部隊へと強襲、騎士爵25名と死霊術により用意した兵士に蹂躙される敵輜重部隊。
護衛がいるとは言え、敵に攻撃されることを想定されていなかったので殲滅は容易であった。
これを成功させた我が輩直轄部隊は音魔法により合図を発令、これも人間共の可聴領域外の音で発せられたものだ。
暫くすると森の中の五部隊が戦闘状態へと突入したことが知らされる。
これを持って作戦を最終段階へと移行。
我が輩の直轄部隊より半数を森の中へと送り挟撃戦へと移行するのであった。
本作戦は無事に成功。
ホームグラウンドである森の中という条件、さらに男爵クラスや騎士爵クラスが敵方の戦力を圧倒出来た為に、此方の戦力の損耗は死霊術で用意した兵士が若干損耗した程度。
それも、敵方の死体を使用して補充すれば良いので実質損傷ゼロでの大勝であった。
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