第20話 我が輩検討する

「さて、服も手に入れたことだしさらに眷属を増やしていこうと思う。

 現状の我が輩だとお主等を入れて五人まで眷属を従えることが可能だ。

 何か意見はあるか?」

「はい、よろしいでしょうか?」

 女魔法使いが意見具申を申し出る。

「行ってみろ」

「はい、主様申し訳ないのですが、今居るこの場所は主様に相応しくない場所かと存じます。

 隠れ潜む必要がある我らにとってこの様な場所を拠点とするのは良いとは思うのですが、居住性を上げられては如何でしょう。

 つきましては、大工や家具職人等の技能を保持した眷属を増やすべきかと愚考致します。」

「ふむ、意見ご苦労。

 確かに配下となるお前達の事も考えれば居住性とやらも考慮に入れねばならんか。

 だがの、大工などの職人は男社会であろう?

 我が輩は男を眷属にするつもりはない」

「でしたら、主様が大工や家具職人の血を吸い知識を蓄えるというのは如何でしょう?」

「うん?それはどういう事だ?」

「はっ、実は吸血鬼化の際、数々の知識や技術が流れ込んできました。

 主様が接種した血の保有者が保持する知識や技能は主様に蓄えられ、その血を分け与え得られ者はその知識を得られるかも知れないと言うことです」

「なる程、では、我が輩がやるべき事は決まったな。

 我が輩が血を啜ってくる間、お主等は新たな眷属を誰にするかを検討しておいてくれ

 能力に関しては今回は問わん、見た目が良い者を選ぶ様に」

「畏まりました」

 声が二つ重なり合い答えが返ってくるのを聞きながら、我が輩は再度都市へと身を躍らせるのだった。

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