第17話 保護施設が出来た。

夕食を食べ終わりさっさと風呂に入りスズの部屋のソファーで横になり施設って1日どれくらい費用が掛かるのか考えるが分かるはずもないが・・・考えてしまう。


状況によっても変わるだろうしな、人数が増えれば食費に衣類、職員も増やさないとだしな。


生地の値段分らないけど仕入れの材料の価格500円だとして銅貨20枚以上で売らないと赤字だよな・・・


スズがお風呂から出てきて部屋に暗い顔で入ってきた。


「また、どうしたんだ?」


「お風呂で寂しくなった。」


「え、お風呂まで一緒にいれないだろ」


「分けってるけど仕方ないでしょ」


「髪の毛も濡れたままだし。拭いてやるから俺の前で座れよ」


「うん。ありがと」


スズの髪の毛を拭きながら


「施設の費用ってどのくらい掛かるんだろうな?」


「分らないけど子供の面倒を見る人と調理をする人警備をする人と、あとは食費だけじゃないかな。大体一人銀貨3,4枚だと思うよ。」


「わかった。参考になった。拭き終わったぞ」


「ありがとう。」


「明日から、こんなんじゃどうするんだよ。」


目を潤ませながら上目遣いで


「落ち着くまで一緒に居てくれる?」


「わかったよ。聞いてみるよ。皆世話になってるんだから大丈夫だろ」


安心したのか急に笑顔になった。


もしかして明日の事考えてて不安になってたんじゃないのかな、急に満面の笑みで幸せそうだぞ。


「先に言っとくけどスズが寝たら仕入れに行ってくるから心配しないで寝てろよ?」


「え、仕入れに行っちゃうの?」


「施設の経費を稼がないとだろ。」


「・・・分かった」


「起きたら隣に居れるようにするから」


「うん。」


ベッドに横になりスズの頭を撫でてると寝息が聞こえてきたので、そっとベッドから出てミユの部屋に入ってミユを起こす


「何やってるの・・・?」


「仕入れに行こうと思って」


「え?こんな時間に無理でしょ・・・」


「この部屋のクローゼットから行けないかなって思って」


「あぁ〜そういう事ね・・」


ミユが寝ぼけて目の前で着替えだす・・・


白に水色の水玉ですか。可愛いの履いてるな


確認をしてから後ろを向いておく。


着替えが終わったっぽいので


「じゃあ試してみるか」


「うん。」


クローゼットに入ってミユに抱き付く。


予想どおり自分の部屋の匂いがしてきたのでクローゼットを開けると自分の部屋だった。


「成功したな。」


「うん。早く買いに行かないとだよ。」


まだ夕方だったので急いで数カ所の100円ショップで綿を大量に買って手芸屋で、ぬいぐるみで使えそうな布を大量に買ってミユ必要なものを大量に買った。


時間が無いのでボクの部屋のクローゼットに入ってすぐに戻ってきた。


「寝てたのに、ごめんな。」


とお礼のキスをしてミユは笑顔で


「ユウヤの役に立てて良かったよ」


「お休み」


「うん。おやすみ」


ミユの部屋を出てスズの部屋に戻るとスズは寝てて安心した。


寝てるスズにキスをして俺も寝た・・・


朝起きたらスズが抱き着いて俺の頬にキスをいていた


「ん?どうしたんだよ」


「起きたら居ないと思ってて居たから嬉しくて」


「昨日ちゃんと仕入れに行ってきたぞ」


「え。夜なのに行ってきたの?」


「しばらくは仕入れに行かないで済むと思うぞ」


「やったね。ずっと一緒だからね。」


「いや、仕事あるんじゃないの?」


「うん。一緒に行こう?」


「俺も行って大丈夫なのか?お偉いさんとか居るんだろ?」


「居るけどユウヤと私の方が偉いから大丈夫だよ」


「まあ、その時は俺は別の部屋で待ってるよ。」


「・・・うん。分かった。」


リビングに降りて行き皆が揃うのを待っていると珍しくスズがソワソワしている


俺も施設の事やスズの事でミオの事を忘れてたので迎えに行ったら階段を辛そに登っている所だった。


「遅くなってゴメン」


「わたしが大丈夫って言ったので気にしないでください」


「手を貸すからゆっくり行こう」


「ありがとうございます」


リビングに着くと皆が揃っていたのでスズの状態を説明して1週間くらい様子を見たいとお願いをしたら皆が協力をしてくれると言ってくれた。


ミユには、ぬいぐるみの材料を渡して試作品をお願いして朝食を食べ終わりスズの仕事をする所へ馬車で王都まで来た。


初めての王都だったので見る物が初めてなので窓に釘付けになると


「窓の外ばっかり見てないで私の相手もして欲しいんだけどな」


「初めての王都だからさ、珍しくて」


「そっか。前回は王城だけだったね」


「今回は何処に行くの?」


「王城に出入りを許可している商人のお店だよ」


「じゃあ、俺は馬車で待ってた方が良いよね?」


「なんで?一緒に来てくれないの?」


「俺が居たら邪魔そうだし、変な事言いそうだしさ。礼儀とか知らないよ?」


「だったら初めに挨拶して黙ってれば良いよ」


「分かった。それでいこうか」


馬車が止まり先に降りてスズが降りるのに手を貸してスズが俺と腕を組み一緒に店に入ると店員とお客が頭を下げている。


店主が店の奥の応接室に案内をして挨拶し商談が始まったので言われた通り黙って聞いているがナイフの話になり納得する話だったが1本だけ値段を下げられて銀貨90枚でと言われて、そのナイフは仕入れが高かった記憶があったので口を出してしまった・・・スズはビックリしていたけど


「すみません。銀貨90枚は安すぎます。それですとこちらは赤字になるので他に売り先を考えます」


「ですが品質が・・・」


「品質ですか?」


そのナイフをバッグから取り出してテーブルへ置いて


「このナイフの品質が悪いですか?どのへんが?」


「・・・見た目と言いますか・・材質が弱そうで・・・」


サババルナイフだぞ?品質って悪い訳無いと思うけど


「衛兵を呼んでもらえますか?」


「衛兵ですか!?なぜです?何か粗相でも・・・すみません。」


「やっぱり一緒来てください」


「え、はい・・・」


外に出て衛兵に剣を抜くように指示をすると


商人の店主が顔が青くなり、周りに人集りが出来ている


「このナイフを叩き斬ってください」


衛兵が指示に従い衛兵に持たせたナイフを叩き斬るが衛兵の剣の方が切れてナイフの方は傷も付かずに無傷だった


「これでもこのナイフの品質を疑いますか?」


人集りからも拍手と歓声が聞こえる


「私の目が悪かったすみません。応接室に戻ってもらえますか?」


応接室にもどり


「金貨6枚で買い取ります。いかがでしょうか?」


俺はスズを見る


「はい。問題ないです」


その後問題なく交渉が終わり


最後になり


「そちらの方はどちら様ですか?」


「私の夫ですが」


「そうでしたか・・・立派な方ですな。」


「はい。尊敬出来る方です。」


尊敬って・・・


挨拶をして馬車に乗り帰る


「口出しして悪かったよ。でも銀貨90枚は安すぎでしょ」


「そう思ってたけど商人目利きだから諦めてたから助かったよ。銀貨90枚から金貨6枚に寝上げた出来たな、凄すぎだぞ。私には真似は出来ないな」


「あの商人に何本売ったんだ?」


「6本かな」


「いい儲けが出来たんじゃないのか?」


「赤字覚悟だったけど大儲けになったぞ。分前を渡さないとな。」


「俺はお前に売って代金はもう貰ってるぞ。そこから売ったんだから赤字になろうが大儲けしようが俺とは、もう関係ないだろ。だから分前は必要ないぞ。」


「そうだけど、値上げしてくれたのははユウヤだろ」


「じゃあ、お礼のキスをしてもらえばいいよ」


「帰ってからでも良いか?」


「うん。問題ないよ」


家に帰ってきてリビングにミユが居て、バスケットボール程の大きさの、ぬいぐるみの試作品が3つ並んでいた、クマ、ウサギ、ネコだ。


もうすぐ出来あがりそうなイヌだった。


スズは見ると目を輝かせている


「何だこれは!可愛いな」


「これが ”ぬいぐるみ” だよ」


「どうだ?売れそうか?」


「勿論だ。売れるぞこれは絶対」


「どのくらいで売れそうなんだ?」


「銀貨2枚で売れるな」


「そんなに高く売れるのか?」


「高くは無いんじゃないか」


「施設の方はどうなんだ?」


「今日か明日には出来そう感じじゃないか」


「やっぱり早いな。職員はどうなんだ?」


「職員はもう押さえているぞ」


「流石だな」


「イヌ出来たよ」


「イヌも可愛く出来てるな」


「これも良い出来で売れそうだな」


「ありがと。作ってて楽しいよ。」


「これから子供達に教えるんだけど大丈夫かな?」


「うん。相手の子次第だけど・・・」


「もう女の子の孤児を優先して保護して良いんじゃないか?作り方を教えたいし」


「そうだな。指示を出しておくか。では行くぞ」


「俺も行くのか?」


「当然だろ。」


スズの後に付いて行くとまた、馬車だ・・え。何処に行くんだよ。


「てっきり家の前の警備隊だと思ったんだけど?」


「違うよ警備隊の本部だよ」


俺の領地の警備隊の本部に行くらしい


しばらくすると馬車が止まって少し大きな建物と運動場があった。


そこに入ると皆が跪いている


慌てて偉そうな人が走ってきてスズの前にきて跪く


「今日は、どのような御用でしょうか?」


「今日は新たな任務を与えに来た」


「はい。どのような任務でしょうか?」


「領地内の孤児の女児15歳以下の保護を命ずる。」


「かしこまりました。」


スズの話に付け加えた


「見過ごしたり、危害を加えた者は罰するからな。あくまでも保護だからな。拘束でも捕獲でもないからな。そこを間違えるなよ。保護をしたら保護施設へ輸送してくれ。」


「失礼ですがどちら様でしょうか?」


「私の夫でお前たちの雇い主だぞ。領主だ覚えておけよ。失礼の無いようにな」


「かしこまりました。」


「では、各警備隊への通達を速やかに行え。以上だ」


馬車に乗り帰宅してスズの部屋に入るとソファーではなくベッドに横になって隣にスズも倒れ込む


「疲れたな」


「うん。疲れた」


「スズは良く毎日、出来るな」


「慣れじゃないか」


「俺は馬車が苦手になってきたな」


「私もあまり好きではないな」


「今日のスズは普通だな。治ったんじゃないか?」


「そんなに早く治るものなのか?」


「そうだ、お礼のキスはまだだぞ」


「そうだったな」


恥ずかしそうにしているスズ


「緊張する・・・」


「いつもキスしてるだろ」


「そうなんだけど・・・」


「そういえば今日は、おはようのキスもしてないな」


俺の方から俺おはようのキスをしたらスズの顔が赤くなった。


「やっぱりキスは無理しなくてもいいぞ」


「・・・うん。ありがと。」


「こっちに来て膝に座るか?」


スズは緊張しながら座りユウヤがお腹に手を当てる


「どうだ?」


「うん。幸せな気分だよ。」


「明日には孤児の子が多少集まってるんじゃないのか?」


「もしかしたら、もう数人保護されてるかもな」


「裁縫が出来ない子がいたら調理の手伝いとか家事の手伝いだな。それも出来ないならまた考えるか・・・」


「頑張って出来ないか、やる気が無くてやらないのかでも違うぞ。それと問題児の事も考えておかないとな」


「問題児か・・・暴力とかイジメが直らないなら追い出すしかないかな。そこまで面倒を見れないな」


「ユウヤにしては珍しい意見だな。」


「やる事がまだあるからな・・・男子も保護しなきゃだしな。仕事内容も決まってないんだぞ?」


「男子もぬいぐるみで良いんじゃないか?」


「男子が裁縫出来るのか?」


「・・・そうだな。出来る奴は少ないだろうな」


「薪を作るとかどうだ?」


「良いと思うけど・・・力仕事だぞ?小さい子供は出来ないだろ。」


「もう少し考えておかないとな。」


「それに男の子は13歳くらいで保護をやめて良いんじゃないか?」


「そうだな。十分に働けるしな」


「逆に女の子を希望があれば18歳までにすれば良いな。」


「うん。それで良いな。」


夕食後も二人の会議は続いた


 

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