第3話 拐われた

拐われてから半日が経つ頃かな・・・


お腹が空いてきたな


「何か食べ物は出るの?」


「夕方にパンが出るくらいかな」


「そっか・・・」


このままどっかに売られて奴隷にでもされるんだろうな


「変な事聞くけど・・・トイレってどうしてるの?」


「みんなあそこのバケツにしてるよ」


と指を指す


トイレって無いのかよ。バケツですか


しかも周りは・・・可愛い女の子ばっかりじゃん


どんな罰ゲームだよ。


仕方がない小をしてくるか。


俺が立つとみんなが注目してくる、止めて見ないで。


注目の中、息子を出してバケツにおしっこを出す


周りはやっぱり女の子だと思っていたみたいで驚いてた


元の場所に戻ると


「男の子だったの?」


「え、あ・・・うん。男だよ」


「そうだったんだ。女の子だと思ってた。わたしがする時は見ないでね。」


「あ、うん。考えておくよ」


「考えておくって何よ。恥ずかしいから見ないで。」


元気そうで良かった


8歳くらいの女の子は俺を気にせずにバケツでおしっこをしていた。


そろそろ夕方だと思ってるとパンと水が配られてバケツを空のバケツと交換して出ていった。


外を観察したら、やっぱり5人いそうだ。


2人入ってきて外に3人居た


走って逃げるのは難しいと思う


魔法が使えればな・・・


「魔法って使える人いるの?」


「ん?何それ?」


魔法は無い世界なのか残念。


固いパンを少しずつ食べる事にした。


そして初めての夜だ床に寝るので体が痛いし冷たい


しばらくすると寒い。


他の子は3人が集まって少し暖かそうだ。


そして2人も近寄って寝ているが・・・男だと分かったので近寄って来るわけがないよね。


1人で寂しく凍えて過ごすしかない


これじゃ明日は熱がでてそうだよ。放置されるんだろうな


いつも話を掛けていた女の子が仕方がなさそうに手招きをしている。


後ろを振り替えるが誰もいない・・俺を呼んでいるのか?


近寄っていくと


「1人じゃ寒いでしょ?こっちに来て良いよ」


「俺、男だけど・・良いの?」


「うん。良いよ。どうせ・・・私、売られるんだし」


「俺はヒドイ事はしないよ」


そう言ったら抱き付かれて暖かくなった気がする


翌朝無事に目を覚ませた。


昨日優しくしてくれた女の子がトイレをするようだ。


気を遣って反対側を向いて見てないよアピールをする。


隣に戻ってきて恥ずかしそうに


「ありがとね。」


と言われたので


「お世話になってるんで。」


と答えると寄り掛かってきた。


え、良い感じじゃない?こんな所だけど・・・


女の子が聞いてきた


「そういえば気になってたんだけどそのバッグ何か入ってるの?」


「あ、これ?・・・残念だけど何も入ってないよ」


あ、お金は昨日売った売上が結構な額が入ってるけど


・・・・


そうだ、ココに誘拐犯を入れちゃえば良いんじゃない?


試してみる価値は、あると思うけど入るのかな?


入ったらどうなるんだろ?死ぬのかな?


生き物は入らないとか?


考えても分かるわけがないか。


お昼頃になり


「ココを出れたらどうする?」


「・・・家族は居ないんだ。だから町の裏で過ごすからあまりココと変わらないけどね」


「そっか、出れたら一緒に暮らせたらどう?」


「あなたと?わたしが?」


「嫌だよね?忘れて。恥ずかしい事を言っちゃった。」


「え。嬉しいに決まってるじゃん。ありがとね」


と言い涙を流して抱きしめられた。


これで決行の決意が固まった。


決行する後押しが、もう少し欲しかったのだ。


みんなに何が起きても騒がないで、指示があるまで逃げ出さないでと言ってあるし、失敗すればもう助からないからとも。


夕方にパンを配る人が2人が入ってくるとバケツに向かう振りをして男をバッグに静かに収納が出来た。


女の子達が目を丸くして驚いている。俺も驚いたけど


もう1人も問題なく収納が出来た。


次に入ってくるバケツを持った男がバケツを置いた瞬間に収納したので音が鳴らず静かに出来た。


残りはあと2人だ・・・しばらくすると


「おい。何やってるんだ!商品に手を出すなよ!」


と言いながら入ってきたので収納する。


よし。あと1人だ。


続けて入ってきたので収納する。


ドアをゆっくり開けて辺りを見回すが誰も居ない


静かにみんなでしゃべらず耳をすませて、辺りを警戒しながら歩く。


見つからないかドキドキ心臓が高鳴る・・・変な汗が出てくる。


後ろを歩いてた女の子が木の枝を踏んだ音に皆が反応して身を伏せる。


泣きそうな顔で無言で謝る。仕方ないよね


しばらく歩くと見覚えのある小高い丘の小屋を発見して少し安心する。


無事に小屋に着きドアに鍵を掛けて一息ついた。


だが皆は小声で話す


「助かったのかな?」


「追っ手は来るかな?」


「これからどうしよう」


「早く家に帰りたいよ」


無言で腕を組んできたので振り向くと、いつも話をしてる女の子だった。


組んできた腕は震えている。


抱きしめて頭を撫でて


「もう大丈夫だよ」


と、落ち着かせるが自分も落ち着かなくては。


缶詰と少しの食料とお茶と使い捨てのボディータオルを隠してあるのを思い出して皆に配ったが・・・


みんな首を傾げる。


当たり前である缶詰を知らないし見た事もない食料だ。


俺が食べ方を見せると真似をして皆が食べ初めて美味しいと評判になった。


使い捨てのボディータオルの使い方を教えると皆が恥ずかしそうにするのは当たり前か俺が部屋を出ようとすると皆が止める


「行かないで。」


「大丈夫だから」


「置いてかないで」


置いてかないでって置いては行けないよ。


「他の部屋に行ってるよ。」と言うが


それもダメらしい。


仲良くなった女の子の名前も聞いてなかった・・・


「俺はユウヤって言うんだ」


「わたしはユキです。宜しくお願いします。」


あれ?話し方が変わったけど・・・


「ユウヤさんの背中を拭いてあげますので背中を出してもらえますか?」


「え、いいよ。大丈夫だよ」


「嫌ですか・・・」


Tシャツを脱ぐと皆が視線を恥ずかしそうに外す


え、男なのに気にするの?クラスの女子は普通に見てくるけど。


ユキが優しく背中を拭いてくれる


ユキは優しいんだね。


拭き終わったのでつい・・・


「今度は俺がユキの背中を拭くよ」


と言ってしまった。・・・あ。


と思っても言ってしまった物は仕方がない。


反省をしてると。


ユキが背中を向けてワンピースを脱ぎだしドロワーズ1枚だけになった。


え、そんなつもりは・・・


ドロワーズなのでエロさは無いけど


本人達はドロワーズは下着だから恥ずかしいはずだ


「何かごめん。」


「大丈夫です」


持っていたワンピースで胸を隠してるので胸は見えない


やってもらった様に優しく拭く


「スッキリしました。有り難う御座います」


ユキの色白の肌がより美しく美白になった


拭いてる途中で肌を触ってしまったけど


なんとも言えない触り心地だった。女の子の肌ってこういう感じなんだ。


他の子もワンピースを脱いでワンピースで胸を隠して背中をお互いに拭きあっている。


胸の方は壁側を向いて拭いている


外は暗くなり部屋の中も暗くなるがローソクはあるけど使うと居場所がバレそうなので使わない。


「そろそろ寝ようか」


皆が床で寝るがココはコンクリートではないので冷たさはなくて良かった。


いつもの癖なのか皆集まって寝ている


俺もいつもの3人で集まって寝ているがユキが背中に抱きしめてきて


「助かるとは思ってなかったです、ありがとね」


と言われた。


感動の場面なんだろけど・・・胸が当たってる事に集中してしまう。


現在進行形で胸がずっと当たっていて寝れないんですけど。


いつの間にか寝てたみたいで気付いたら朝だった


皆も起きていたので


「これから町に帰るよ。」


皆が頷く。


無事に町に着いて家と家族が居る者は帰っていったので残ったユキと一緒にスズの家に向かうとスズとミユが外で待っていた。


ミユが走ってきて抱き付いた


「どこに言ってたのよ。心配したでしょ」


「えっと・・・拐われてた。」


「え。拐われてたの?大丈夫なの?」


と、俺の体を見渡しながら涙を流している


スズが驚いていて


「どこで拐われたのさ。町の外にでも行ったの?」


「町の中だけど」


「町の中で拐われたのか・・・警備を強化してもらわないと。どうやって逃げてきたんだい?」


「部屋の中で話そう」


部屋の中に移動をして、どうやって逃げたかを説明をした


「そんな使い方があったとはね」


「使えるかも分からなかったけど使えて良かったよ」


「それでその娘は?」


「一緒に拐われてた娘で色々と面倒を見てもらってたんだ。それで助かったけど帰る場所がないって言うから連れてきたんだ」


「それで相談なんだけど店を建てたいんだけど」


「わたしが何とかしよう。どんなのが良いの?」


「小さくても良いんだけど生活が出来るスペース付きでをお願いしたいんだけど」


「借りる物件で良いんだよね?」


「うん。そうだね。」


「良さそうな物件を借りておくよ」


「ありがと。」


「それとその誘拐犯だけどまだバッグの中に入ってるの?」


ミユが話中も心配だったのかずっと俺の腰に手を回して寄り添っている。


「まだ入ってるけど生きてるのかな?」


「町の警備所で出してもらえるかな?」


「このバッグの事がバレちゃうよ」


「大丈夫わたしの知り合いだから」


4人で警備所へ行くと


警備隊の偉い人らしき人が


「お嬢様、今日はどの様な御用で」


お嬢様ってやっぱり貴族なのか。


「町の中で人拐いが起きた、しかもわたしの大切な人がだ。何を警備をしているの?」


「申し訳御座いません。早速に警備を強化致します」


「それで犯人を引き渡したいのですが、警備隊を集めてもらえる?」


槍を持った警備隊が10人集まった


「ココで見た事を他言した者は処罰対象にします。ユウヤさん、犯人を出して大丈夫ですよ」


犯人をバッグから出すと5人共、生きていた。


抵抗する間も無く捕えられた


「これからアイツ等はどうなるの?」


「これから情報部に送られて情報を聞き出して処罰が下されると思うよ。重罪だから出てはこれないね」


「そっか少しは安心だ」


「先に帰って休んでて警備隊の護衛を付けるから安心して帰ってて」


「分かった。ありがと。」


 


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