第8話 バカ女と親友と宣言

「アキ、大丈夫?怪我はない?」

「うーん、フィードバックが少し辛いかも」


 唇を尖らせてそうこぼすと明奈は、美波に身体を預けるようにもたれかかった。

 刹那、どこからともなくFFF団の面々が登場し、意気消沈する恭二を取り囲んだ。Fクラスの天使を痛めつけた罪は重い。気づけば簀巻きにされた恭二はどこかへと運び出されていった。

 ギャーギャー喚いて抵抗しているが助けなんぞ来るわけがない。青スーツのクソガキの腕時計でぶん殴られた恭二は気絶した。負け犬にかける慈悲はないのである。

 甘えるように頭を寄せてくる明奈を撫でる美波は、FFF団の外道行為にドン引きした。


「それにしても、アキって意外と策士だったのね。ウチが助けに来ることまで予想して作戦を立てていたなんて」

「うん?美波ちゃんが来てくれるなんてまったく予想してなかったよ?」

「……じゃあ苦手な数学のフィールドで根本と一騎打ちしていたのは」

「んー……その場の成り行き、っていうか、ノリ?都合よく目の前を歩いていたから」

「な・ん・でっ!そうやって危ないことを平然とするのよ!いっつもいつもいつもぉ!」

「うぎゅぁぁぁぁああああ!痛い痛い痛いっ!」


 怒りのあまり美波は明奈の胸をもぎもぎフルーツのようにもぎもぎした。力いっぱい揉みしだいておりエッチな行為というよりも拷問と表現すべきかもしれない。

 恭二に挑む明奈を見たとき、美波は心臓がキュっとなる想いをした。

 自分のために怒ってくれて嬉しかった。真剣に戦う姿がカッコ良かった。その一方で、怪我をするんじゃないかと怖かった。酷い目に遭うんじゃないかと心配でもあった。何だか自分を犠牲にしているように見えたから。だからこそ、明奈にはもっと自分のことを大事にして欲しい、と美波は思っていた。

 感情の赴くまま揉みしだいたことで少し気が落ち着いた美波は、むぃーっと明奈の右頬を引っ張った。危ないことをした天使へのお仕置きである。ひぃんと鳴くと明奈は目尻に涙をためて抗議した。


「だってぇ~、アイツが美波ちゃんに酷いことしたからぁ~」

「まったく……ちゃんと反省しなさいよ。ウチが間に合わなかったら大変なことになってたんだからね?」

「でも、何だかんだで美波ちゃんが守ってくれるんでしょ?」

「……何よいきなり」

「いつも隣にいてくれるもんね。美波ちゃんは優しいから」


 明奈はそう言うと、そっと美波の手を取った。そして、そのまま自分の手を重ねて美波の手を包み込むように握ると、柔らかな笑みを向けてくる。


「美波ちゃん……私の……スーパーマン……」


 そう呟いて頭を擦り寄せてくる明奈に美波は動きを止めた。

 そんなことない。いつだって守ってくれたのはアキの方だ。ウチが転校してきたばかりのときも、今も。

 だが、もし本当にスーパーマン、いやスーパーウーマンになれたのならば、愛する彼女の瞳を独占できるのだろうか。瑞希や翔子、玲などに目移りすることなく自分だけを見てくれるのだろうか。

 いつの間にか拗ねるような言葉が美波の口からこぼれていた。


「あんたの目の独占権は、ウチにあるんだから……」

「え?え?急にどうしたの美波ちゃん?メンヘラになっちゃったの?」

「あ?」

「ヒエッ……ごめんなさい」


 美波の冷たい態度に明奈は怯える。甘酸っぱい青春ラブストーリー空間は、バカ女の情緒のない疑問で消え去ってしまった。

 だが、今はそれでいいのかもしれない。仕方ないわね、と呟くと美波は愛しの少女を慈しむように微笑んだ。少なくとも今はまだそういう関係にはなれそうにない。でも、一歩ずつ着実に関係を深められばいいじゃないか。

 大逆転のウルトラCなんていらない。着実に距離を縮めて関係を深める。王道にして正義、それがウチの恋愛なんだ。

 だから、ずっと傍にいて彼女を守ろう。誰にも傷つけさせないし、誰にも奪わせない。そして、いずれは自分が彼女と添い遂げるのである。

 ケツイを新たにした美波は明奈の首筋にキスをした。くすぐったそうに笑う彼女が、熱のこもった眼で自分だけを見てくれる日を夢見て。


・・・・・・・・・


 模擬戦による大騒動がひと段落した頃、授業を終えた生徒たちは思い思いに過ごしていた。そんな牧歌的な時間に水を差したのが、突如行われた臨時の校内放送である。


『文月学園の諸君。我々は正義断行委員会である。この度は2年Bクラスと2年Fクラスの試験召喚戦争を通じて生徒たちに不安を与えてしまったこと、深くお詫びする』


 機械音声による声明を耳にした文月学園の生徒たちはスピーカーへと視線を向けた。突然の電波ジャックに生徒のみならず教師たちも困惑している。


『我々は現在の文月学園に反省を促すためにやむを得ず攻撃をした。なぜテストの点数という数字で人の尊厳が蔑ろにされなければならないのか。この学園は深刻な道徳的退廃に陥っている。ゆえに、我々はそうした病巣を取り除かなければならない』


 淡々と機械的な声音で告げられる言葉の意味を理解する生徒は少ないだろう。しかし、それでもこの場にいるすべての生徒はこの放送が意味するところを1つだけ理解していた。何か大きな革命のような変化が文月学園で起ころうとしている、と。

 そして次の瞬間には、誰もが驚愕の声を上げていた。その声は歓喜であり、同時に畏怖でもあった。


『ご機嫌なMVPを、喰らえ!』


 その言葉とともに1人の人間が屋上からぶらんと吊り下げられたのだ。それはボロボロになった2年Bクラス代表、恭二だった。突然の晒上げに生徒たちは教室を飛び出し一目見ようと校庭へと集まった。


「おのれFクラス、よくもこの俺を……」


 意識が朦朧とするなか、恭二は忌々しげに校庭の生徒たちを睨みつけた。弱弱しい声が彼の限界を暗に示している。それでも最後の力を振り絞って言葉を続けた。


「まだだ、俺は何度でも文月学園の英霊として蘇るからな……」


 星5サーヴァント根本恭二(オルタ)、ピックアップガチャ開催決定!みんなもまわせー!

 誰得なガチャはさて置き、捨て台詞を吐いた恭二は気を失った。途端に校庭の生徒たちはどよめきだす。

 下劣な男の断罪への喜び、理解不能なテロ行為への恐怖、無秩序な行動への怒り、これからの学園生活への不安。未だに訳が分からない生徒たちは自分勝手な言葉を口々にした。

 そんな大衆の反応を知ってか、機械音声は演説を締めくくるように言い放った。


『恐怖こそ自由!君臨こそ解放!矛盾こそ真理!それがこの世界の真実だ!服を着た豚ども、その真実に屈服せよ!』


 それは新たな秩序の宣言だった。彼らは平穏でぬるい花畑のような生活など求めていない。権謀術数や暴力がすべてを支配する殺伐とした絶対的秩序を欲しているのだろう。そして試験召喚戦争システムはその秩序を支える仕組みの1つなのだ。

 混乱する生徒たちを窓から見下ろす藤堂学園長は眉間にしわを寄せて呟く。


「やってくれたね……あのバカ」


 ハーバード大学で講演をする前に、やらなければならないことができてしまった。藤堂学園長は高橋先生を呼び出すと、このバカげた反逆行為の首謀者を抑え込むための指示を出す。そのとき、底の見えない笑みを浮かべた玲の姿が、藤堂学園長の脳裏をよぎった。


・・・・・・・・・


「お前たちいくらなんでも今回は度が過ぎているッ!もし怪我人が出たらどうするつもりだったんだッ!」


 緊急の特別ホームルームでFクラス担任の西村先生は声を張り上げた。一歩間違えば大惨事となったテロ行為を繰り返させないためにもいつも以上に厳しく指導しているのだ。

 Fクラス生徒たちも超絶シリアスな雰囲気の西村先生に威圧されたのか、茶々を入れることなく神妙な顔つきで座っている。だが、補習室内の重苦しい空気をはらうように秀吉はスッと姿勢よく挙手した。


「西村先生よ。そもそもの疑問なのじゃが、なぜわしらが叱られねばならぬのじゃ?」

「なんだと?」

「悪いのは正義断行委員会なるヤツらじゃろう?わしらとて模擬戦の最中に突然暴れたヤツらを許せぬ気持ちは先生と同じじゃ」

「…………模擬戦のために涙ぐましい努力を積み重ねてきたので困惑している」

「あくまでしらばっくれるというのかッ!Bクラスを襲ったのはFFF団だというのに白々しいぞッ!」


 しらを切ろうとする秀吉と康太への怒りが爆発した西村先生は教卓を剛腕で叩きのめした。ゴリラマッスルパワーに耐えられなかった教卓は無惨にも崩れ去ってしまう。意見具申した2人もガラクタと化した教卓を目の当たりにすると口を閉ざした。まさに圧政、暴力による言論封殺である。

 このままでは文月学園の自由さを損なってしまう。見かねた教授と呼ばれる不審者の老人が仲裁に入った。


「まぁまぁ。西村先生、どうかワシに免じて見逃してはくれぬかのう?学生ならではの自由さは宝ではなかろうか」

「へっ……バーロー。じっちゃんも良いこと言うじゃねぇか」

「貴様らはなぜここにいるんだッ!?学園に関係のない不審者どもは出ていけッ!」


 朗らかな笑みを浮かべる老人と隣でドヤ顔を披露する青スーツのクソガキを、西村先生は補習室の外へと蹴飛ばした。いわゆるYAKUZA KICKというやつだ。

 だが間髪をいれず1人の少女が小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら手をあげる。観察処分者であり今回の騒動の主犯、明奈だ。悪辣な笑みを浮かべた彼女は煽るかのごとく甘ったるく間延びした声を発した。


「鉄人せんせー!推定無罪って知ってる~?確たる証拠もないのに教え子を犯罪者扱いですかぁ?」

「……ッ!」

「FFF団の格好なんてだぁれでもできますよねぇぇぇ?未成年のいたいけなー?無実の少年少女をー?厳罰に処すなんて~?教師としてどぉおなんですかぁぁぁ!?」

「なぜ貴様はロクに勉強もできない観察処分者なのに悪知恵だけはまわるんだっ……!」

「え?だって、勉強と違って生きていくのに必要ですから」


 キョトンとする明奈に西村先生は面食らう。普段からバカなことばかりして何も考えていないかのような彼女から、そんな発言が出てくるとは思っていなかったのだ。


『私の自慢の妹が教えてくれるはずです』


 脳裏に浮かぶのは玲の言葉。生徒のためになる教育とは一体何なのか。玲の語る実践的な教育のあり方を受けて、西村先生は人知れず自問自答を繰り返していた。

 ビジネスのための実学だけが優先され、契約書や規約の読解などに終始する教育なんてナンセンスだ。一方で、果たして自分たちは正しい教育をできているのだろうか。素晴らしい文学や古典を教材として使っておきながら、結局のところ詰め込み教育をして満足していないか。

 時として学校という箱庭は荒唐無稽なファンタジーに侵されている。一部の教師が信奉する不合理で曖昧な道徳モドキは、社会へ飛び立とうとする少年少女にどこまで必要なのか。現実離れした思考の大人に、厳しい社会を生き抜く術を教えることなんてできないだろう。

 1人の教育者として西村先生はいつだって真正面から生徒と向き合ってきた。だからこそ三者面談で示された実践的な教育という宿題は、彼を悩ませ続けていた。

 それでも1つ言えることは、今この場ではバカどもを弾劾できないということだろう。西村先生は証拠不十分でFクラス生徒たちを無罪放免にせざるをえなかった。


「………………もういい。今回は不問とする。だが、今後このようなことがないよう厳しく指導していくからな」

「いえー!私の勝ち!私の勝ち!よっしゃ、よっしゃ!基本的に勝つの好き!」

「ざぁこ♪ざぁこ♪ざこゴリラ♪」

「草ァ!オイオイオイ!オイオイオイ!あなや迂闊!判決、地獄行き!逃げる弱者にイキり立っては荒れ狂い!もはや敵なし!」

「そうかそうか。さっそく教育的指導が貴様らには必要なようだな……」


 西村先生が実質的な敗北宣言をするや否や、明奈を筆頭としたFクラス生徒たちは鬼の首を獲ったかのごとく煽り散らかした。爽やかな青春ドラマの最終話で浮かべるような素晴らしい笑顔で、学年最底辺に言いくるめられた担任教師の無様なザマをあざ笑っている。漢・西村先生のせっかくのシリアスシーンが台無しだ。

 そんなチンパンジーたちにキングコングの怒りは天元突破!ボキボキと拳を鳴らす西村先生は、いつの間にか超サイヤ人のようなオーラをまとっていた。純黒の獅子が牙を剥く。

 実践的な教育?正しい教育?そんなものクソくらえだ。やはり暴力こそが正義。Fクラスの狂気は確実に西村先生にも伝染しているようだ。

 これには流石のFクラス生徒たちも慌てだす。いくらラージャンみたいな筋肉モリモリマッチョマンの変態とはいえ、まさか拳ですべてを解決してくるなんて思ってもいなかったのだ。


「いやいやいや。そんな、暴力だなんて、軽く死ねますね」

「西村先生って最高の先生だよな。西村先生ありがとう」

「手をあげる男はダメだ。男があげていいのは天ぷらと売り上げとそして前髪だけ」

「貴様らぁ……少しは反省しろぉ!」


 西村先生が怒りを爆発させたことでバカどもは一斉に逃げ出した。

 だが甘い。通常の3倍の速度で追跡するバケモノを撒くことはできず、次々と捕獲されてしまう。バカどもをちぎっては投げる西村先生。その姿は体罰教師を通り越して暴力教師だが、Fクラスの蛮族にはちょうど良いのかもしれない。

 何はともあれ、こうして模擬戦の落とし前は一応つけられたのであった。


・・・・・・・・・


「くそ~……あのキングコング絶対に許さないんだから~」


 放課後、巨大なたんこぶを作った明奈は帰宅しようと下駄箱へと向かっていた。結局、停学処分のような公的かつ重大な罰は課されなかったものの、クラスメイトともども激昂ラージャンにこってりと絞られたのであった。

 普段であればとくに何事もなくこのまま帰るはずだ。ただ、今日は違った。下駄箱で翔子が待ち構えていたのである。


「……明奈」

「あ、翔子ちゃん!どうしたの?雄二はいないよ?」


 明奈は完全に忘れているが、未だ雄二は掃除用具入れのロッカーの中である。最初から最後まで蚊帳の外であったとは、哀れなり。翔子は首を横に振ると明奈を見つめた。


「……違う。用があるのは明奈。雄二じゃない」

「え、私?」

「……そう」


 想定外の指名に首を傾げる明奈。よく見れば翔子は少し怒っているようにも感じる。


「……Bクラスとの模擬戦、Dクラス戦と全然違った。容赦のない冷たい試合で卑怯な作戦ばかり」

「う~ん、そうかな~?私にはよくわからないよ」

「……とぼけないで。全部、明奈の仕業でしょう?」


 じっと見つめてくる翔子に対して明奈は肩をすくめる。


「なんで私?いつも通り雄二の作戦かもしれないじゃん?あのゴリラ、外道だし」

「……雄二は狡くて意地悪だけど真正面から挑んでくる。でも明奈は違う。ルールを破った非道な手を使ってでも敵を叩きのめそうとする。私を助けてくれたときみたいに」

「そっか……。そんなこともあったね、懐かしいなぁ」

「……私は一時も忘れたことはない。だってあの時のことがあったから今の私たちがあるから」


 両手の拳を握りしめると翔子は懐かしそうに目を閉じている明奈を睨んだ。その眼差しからは彼女の力強い意志が垣間見える。


「でも、明奈のやり方、正しくない」

「へぇ~……じゃあ教えてよ。この仕組みの深さを破壊する方法を」

「……ルールを逸脱した暴力革命では世の中を変えられない。だから私は社会の頂点に君臨しすべてを変えてみせる」

「私はそんな風には待てないけど?シワシワのおばあちゃんになっちゃうじゃん。犠牲なくして改革なし、でしょ?」

「……明奈の世界は他人の犠牲の上に成り立つもの。私は違う。私が粉骨砕身することで世界を導く。すべては愛する夫のもとに嫁ぎ、愛する嫁を迎え入れるため。恋する乙女はワガママで欲張りだけど無敵なの」

「あはっ!そうだね、そうだよね!恋する乙女は確かに無敵だ!さすが翔子ちゃん!やっぱり私、翔子ちゃんのことがだぁい好きだよ!」

「……私も明奈のことが好き。愛している」


 見つめ合えばわかるでしょ?と言わんばかりの熱いまなざしで明奈は翔子を見ている。その嘘くさくキラキラ輝いた両目が翔子にリッスン・トゥー・マイ・ハートと訴えかけていた。

 だが、そんなまやかしは翔子には通用しない。始まりのベルが鳴る。鮮やかに、キメろ。


「……そして愛しているからこそ、嫁の間違いは正さなければいけない」

「はぇ?」


 目にもとまらぬ速さで翔子は、明奈との距離を一気に詰める。そしてモチモチ柔肌な明奈の両頬を力強く掴むと上空へと掲げた。アイアンクローというか万力のような技である。

 強靭なパワーと握力で宙を浮く明奈は痛みのあまり絶叫した。夕陽に照らされるその姿は何か芸術的だ。


「みぎゃぁぁぁぁ!痛いッ!痛いよ翔子ちゃんッ!何これDVッ!?」

「……学園長から明奈のお目付け役に任命された。嫁のおイタを矯正するのが私の役目」


 アイアンクローによって浮遊する明奈の脳裏には、高笑いする学園長が思い浮かんだ。あの死にぞこないのクソババァ!よくも眠れる獅子を起こすようなことをしてくれたな!?明奈は心の奥底でありったけの罵詈雑言をぶちまけた。

 一連のテロ行為で藤堂学園長は明奈の危険性を十分に認識した。だが、出し抜かれた教師陣、諸悪の根源(仮)の玲では、極悪非道なバカ女の抑止力にならない。圧倒的な使命感と知性、そして武力を兼ね備えていて、なおかつ病める時も健やかなる時も明奈の傍にいてくれるような監視役が必要だった。

 だからこそ、責任感が強く完璧無欠な親友を使うことでバカ女を抑え込む。それが学園長の秘策だった。しかも翔子は明奈を愛しており、できるだけ一緒に過ごしたいと考えていた。これぞ恋の抑止力というわけである。


「そんなのってないよ!返してッ!腐れゴリラには鬼嫁だけど私には甘々で優しい翔子ちゃんを返してッ!」

「……ダメ。まずは毎日みっちりと勉強してもらう」

「あァァァんまりだァァアァ」


 必死の命乞いも不発に終わってしまい無様な悲鳴をあげる明奈なのであった。トゥー・レイト・フォー・インガオホー。やはり悪は滅びるのだ。イヤー!

 かくして、明奈を取り巻く環境は一層複雑になった。それがまた新たな一波乱を呼ぶとは誰も知らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る