第2話黒い靄

「あ!今日テストか」


その声を上げた私。名前は『霧島一乃』

 剣道の名門【双津波学園】に通う、歴史が大好きな高校1年生。私の隣には幼なじみの3人は肩を並べて、話をしていた。


「テストって言っても社会の小テストだろ?しかも歴史。一乃の得意分野でしょ」


そう放ったのは『石倉隼人』。剣道の腕は校内で1番


「いいよな〜。勉強出来るやつは……。まぁ俺は、勉強より剣道に時間費やしている方が何倍も有益だし、いいけど( *¯ ³¯*)」


3度の飯よりも剣道が大好きで、先輩との距離の詰め方は学びたいぐらい好かれている先輩キラー・『新堂輝也』。


「はぁ。なんでこんなに剣道バカになっちゃったのかしら」


それを見て、呆れたようにため息をついている、私たちの中では真面目度ナンバー1・『川方時雨』。


この3人は同じクラスで部活も同じ剣道部に所属している。勿論私も

 そこで時雨が


「それに輝。今日の小テストは赤点だった場合、部活には参加できないって先生に言われたでしょ?」

「はぁ!?まじ?!」


時雨の言葉に「忘れていた」というよりかは「全然知りませんでした」という顔で私と隼人を見てくる輝也。それに対し


「大マジ」

「まぁ半分、輝也は夢の中だったしな。仕方ないだろ」


とこの反応。それを見た輝也は


「終わった……。一乃頼む!俺に勉強を教えてください!!」


と私を拝んだ。

 周りの3人は肩を下ろして


「そうだと思って早めに出てきたんだよ」

「輝也のことはだいたい予想できるからね」

「良かったわね。私たちに見捨てられなくて」


隼人は笑って輝也の肩を叩き後のふたりはそれを並んで笑いあった。


「3人とも〜。よーし!3人のためにもテスト頑張るか!」


そう輝也が意気込む。

うん!機嫌取りは完璧!


そう思って前を見るとサラリーマンの人がよろよろと歩き急に止まった。するとなにか獲物を探すのかようにキョロキョロと辺りを見渡している。


 何あれ……?


「一乃どうした?」


時雨が私の顔を覗き込んできた。


「ねぇ……あの人変じゃない??」

「ほんとだ!なにか探してる」

「なんかが取り憑いたみたいで気味が悪いな」


そして私たちと目が合うと

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

と狂暴化をしたように襲いかかってきた。


「やばいこっちに来る!」


輝也の焦りもつかの間【化け物】は私に襲いかかろうとしていた。


 速っ!


「「「一乃!!」」」


私はその一手を避けるために持っていた竹刀を取り出し化け物の攻撃を止め、背後に宙返りで避ける。


「危な……。」

「怪我してない?!」


時雨の言葉が聞こえ

「大丈夫!」

と返した。その声に3人は安堵し、一気に竹刀を取り出した。

 すると頭の中に同じように戦ってる新撰組みたいな羽織を着た4人組の姿が流れた。

私の顔には驚きの表情が浮かぶ。……がそれも一瞬で、顔を上げると3人も同じような表情をしていた。


「っ!そんなことより、今は相手に集中!!」


頭を振るい、時雨がそう仕切ると


「俺が先陣な!」

「仕方ねぇ。輝頼んだ!」

「一乃援護頼んだ!」

「わかった!」


役割分担をし、一斉に動いた。


「いけぇー!!」


まずは輝也の攻撃。しかし相手は輝也の攻撃を察知し、それを避ける。すると輝屋に体当たりをした。


「チッ!」


輝也はそのまま受け身をとり、体制を整える。


 次は時雨と隼人の攻撃。まずは隼人が、裏に回り込んで体に当たるように後ろから攻撃をし、時雨はその呼吸に合わせるように、前から攻めた。

私は、その動きをよく観察していた。


絶対弱点はあるはず……。


 すると、隼人と時雨の攻撃がバッチリと合い、相手の体をかすめた。


ん?今の隼人の攻撃の反応……。もしかして。


「ちょっと輝也。竹刀貸して」

「え?何するんだよ」

「説明はあと!」


私は、輝也の竹刀を奪い取るように受け取り、これまで以上に速く走った。

そして、相手の背後に回り込み


「ここっ!」

と‪”‬心臓‪”‬の場所を突き刺す。突き刺された相手は倒れこんだ。


「油断したね。化け物さん」


私は安堵し攻めの体制から戻る。

すると周りにいた3人は


「一乃よくやった!!」

「よく弱点がわかったな」

「すげぇ!」


と駆け寄ってきた。私は3人に説明をした。


「この人、隼人と時雨の攻撃の時。隼人の竹刀が体に当たったでしょ?

それに感づいて心臓の部分を避けるような動きをしたんだ。それでもしかして『心臓の部分が弱点』なのかなって思って、輝也の竹刀を借りて、相手の攻撃を防ぎつつ心臓に目掛けて攻撃をしたってわけ」


私の説明で3人がうんうんと納得をした。

すると、倒れた相手の体から水蒸気みたいな黒い靄が出てきて、何処かへと飛んで行った。


4人は靄を怪しみながら、見つめていた。

そこで嫌な予感が体全体にながれた。


『また同じようなことが起きる』


そんな嫌な予感を。そしてさっきの

黒い靄は一体何?

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新撰組~現代の侵略者〜 今井渚 @igasaruka

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