魔界の王子が異世界で勇者をやってもいい筈だ

@kasugamasatuki

第1話勇者に憧れて

 ここは魔界、魔物達が自由気ままに生きていくための楽園であり故郷でもある。かつてはよく人間界に行ってはよく差別をうけたり殺されかけたりする事が多かったが今はそんな事は無くなったのだ。


 人間と魔族による、決戦で現魔王が勝利を収め魔族を人と同じように扱う事を条件に戦争を終わらせたのだ。今では人も魔族を見ても誰も差別することなくむしろ友好的な関係に発展しており、前の戦争とは打って変わった扱いを受けている。


 そんな平和な世界を何も面白そうに見ていない男が魔界人いるのだ。


 薄い青い肌と水色の髪の毛それに腰のところから生えている二枚の翼と鱗が纏ってあるような尻尾それに肩からは甲羅みたいな翼を持っていて頭にはドラゴンのようなツノが太く短く生えていたのだ。


 男の名はベルゼブリュート、この魔界に置いて次の魔界の統治者となる魔界の王子である。


 その王子は下にいる、人間たら魔族が談笑しているのを面白くなさそうに見つめている。


 「まったく、この世界は退屈で仕方がないな。何か面白い事が有ればいいのだけどな」


 彼は少し血の気が多いらしく強い相手と闘いたいと願ってはいるのだが、彼が生まれる前に戦争は終結してしまい。ここ数百年間は平和は時代が続いているのだ。


 だが彼にとっては平和な世界はあまり面白くないらしく、いつも城から彼等の暮らしをスライムみたいに溶けそうに、なりながら見ているのであった。



 「もう少しだけ続いてくれたら、俺も参加できたはずなのにな」


 今では彼の楽しみは、日課の剣術の修行と一人で魔界奥深くに自分の腕を試す事が彼のストレスの吐口になってはいたのだがそれもあまり発散にはなってはないらしく次第に面白く無くなってきている。


 (「ハァー、なんかいい事はないのかぁ。もう少しやれる事があったらいいんだけどな」)


 そんな、何気ない平和な時が続く中久しぶりに魔王である父親が帰ってきたのだ。


 魔界の人々は王の帰りに皆喜んでいた。何せ彼は人間界の統治まで任されている。魔界の人々とは違い人間の方が単純に話が進まないからである。


 その為、拠点を移して人間界の政治に注力する必要があったのだ。そのおかげでここ数百年間は人間界では珍しく平和な時代が続いていた。人間同士の争いも少なくなってきたのを確認してから王は数百年間ぶりに魔界に帰ってきたのだ。


 帰ってきてから王は魔界で起きたトラブルが無いかを聞き起きていた場合は、冷静に処理をしていくのであった。


 それが終わればベルゼ達に会いに行くのであったのだ。だが久しぶりにあった為か、あまりにも成長していた俺に驚いており、人間界から持ってきた土産を渡すか迷っていたのだ。


 「父さん、別にいいぞ。せっかく持ってきてくれたんだからありがたくもらうよ」


 「うっ、息子に気を遣われてしまうとは、すまんこんな物しか無いが」


 それは何冊かの本だった、あまり分厚くなあ感じでどうやら子供向けの本らしい。


 「ありがとう、父さん大事に読むよ」


 「優しさが心に刺さる」


そんなつもりで言った訳では無いが今は何を言ってもダメな気がするので俺はすぐに自分の部屋に帰ることにした。


 「さて、とりあえずどんな感じの内容なのか読むとするかな?」


 一体どんなものを買ってきたのか少し気になってはいた為に俺は本の題名を確かめる。


 「なんだ?、「勇者物語」か、確かに父さんは渡すかどうか迷うのがわかるよ。流石にこれは渡せないよな普通」


 それはやっぱり子供向けに作られている何の事は無い本であった。


 「さて、読んでみるとするかな」


 俺は一応父さんに感想を言う為にこの本を読む事にした。流石に読んであげないと可哀想な気がしたのでもあったからだ。


 数時間後、俺は食い入るようにこの本を読んでいたのだ。内容はよくある、勇者が冒険をし人々に感謝され、遂には魔王を倒して姫を救う。お決まりの王道とも呼べる話の流れなのだが、魔界ではこの手の本はまったく無かった為に俺にとっては新鮮で違う刺激を与えてくれた。


 (「勇者か!?、勇者なら強い敵と戦えたらするかも知れないな。それにヒーローになるってのも悪くないな!!」)


昔一度異世界の人が持ってきたヒーローショーなるものを見た事がある。正義が悪を倒し決め台詞を言いながら去っていく、いつしか俺はその姿に憧れを感じていたのだ。


 「これなら、俺でも出来るかも知れない。一度勇者ってやつをやってみたかったんだよな!!」


 子供の頃、体験した事を思い出しながら俺は興奮していた。いままで退屈だった世界が急に楽しいものに変わった気がしてならなかった。


 (「ここの人間界は平和すぎるから、別の世界にいかなければならないけどどうやって異世界に向かうかだが」)


どうやって行けるか、少し考えているとある事に俺は気づいてしまう。それはいつも彼の父親が使うあるゲートがある事を知っていたからだ。


 (「あれなら、なんとか異世界に行けてしまうかもしれん。そうなったら善は急げだ」)


思い立ったらすぐに行動に移す、ベルゼはすぐに荷造りを始める。とりあえずは当分の食料と武器をしまったからベルゼは密かに城から飛び出してある場所へと向かう。



 しばらく飛行してから、その場所に降りる。そこには何やら魔法陣が書かれていてそこには石碑がありそこに書いてあるのは。


 「やっぱりあっていたなここは異世界なら行く為の魔法陣だったのか!」


 そうここは彼の父親がたまに使用する。どこか出かける時に使う魔法陣ではあるが、一つ工夫をすると違う世界にいけてしまう事も可能なのだ。

 

 「確か、この本にはこう書かれている筈なのだがな」


 俺は家から持ってきた、本を取りだす。それは昔父さんが必死に読んでいた異世界に行くための本であったのだ。よく母さんが怒っていた時二、三日帰ってこなかった時があった。一体なぜだろうと思いついて行った時この本を読んでどこかに行っていたのを知っていた。


 「そういや、あの時問い詰めたら珍しい土産を渡して口止めされた事があったな」


 昔の記憶に思いを馳せながら俺は父さんと同じように魔法を唱える。


 すると、魔法陣が光だしベルゼの全身を包み始める。


 (「どうやら成功したみたいだな!!、さて異世界ではどんな事が待ち受けているのか楽しみになってきたぞ!!」)


俺はこれから始まるであろう冒険に対して胸が高鳴りを抑える事ができずにいた。


 そのまま光に包まれた俺はこの日から魔界では行方不明になってしまう。


 そしてここから俺の冒険の始まりとなる。目指すは勇者になる事だ!!


 かくして魔界の王子は勇者になる為に異世界へと旅立つのであったのだ。


 

 

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