AM1:20~CM明け。
~♪(ブリッジジングル)
「さあ、ハイウェイ川島のワンナイトジャパン! 今日はアイドルの
『……ど、どうも。ミジンコアイドル奈落野楽奈です……』
「あ、あれ? どうしたんですか奈落野さん?」
『先ほどはタイトルコールが犬みたいになってしまい、申し訳ありませんでした……炎上覚悟でお送りしております……』
「犬みたいどころか、最後
『はい、気を取り直しました! とにかく炎上にだけは気を付けて頑張ります!』
「……いや早……い、良いですね、その意気です。SNSでも謎に包まれた奈落野さんが話題になっているようですよ? まあなんせ奈落野さんで検索しても、まったくヒットしませんからねえ」
『私、なんでこんな人気番組に出てるのってくらいミジンコアイドルですからね……あ、もしかしたらミジンコで検索すればヒットするかもしれません』
「だとしたら逆にすごいんじゃないですかね。本家のミジンコを差し置いて」
『ああああ、本家のミジンコさんに不適切な発言を……』
「炎上への過度な配慮すごいな!」
『えー、私のことは嫌いになっても、ミジンコさんのことは……』
「それでは早速、みなさんの気になっている奈落野さんの生態を暴いちゃいましょう!」
『ミジンコだけに! つって!』
「……奈落野さんの所属している泥団子三期生は、何人のグループなんですか?」
『あ……今は私ひとりですね……』
「え!? アイドルグループなのに一人なんですか!? てゆーか
『結成時……というか昨日までは六十四人いたんですけど……私以外ぜんいん脱退しちゃって……』
「一夜にして何があったんだよ」
『ワンナイトでジャパンな出来事が……えへへ』
「いやいいですよ、無理矢理番組の名前絡めなくても。全然うまいこと言えてないですし」
『汚名炎上の機会をください!』
「なんだ汚名炎上って! 結局燃えてるじゃねえか!」
(スタッフの小さな声)
「……失礼しました。ちょっと興奮し過ぎましたね。では折角こうしてメディアに初出演したわけですし、今後の目標なんかを聞いていきましょうかね」
『目標、ですか。えっと、沢山CMに出て、いっぱいお金を稼ぎたいです!』
「生々しいな! あの、そうじゃなくて、アイドルとしての細かい目標とかあるんじゃないですか?」
『細かい目標……あ、億稼ぎたいです! 億!』
「いやそこ細かく言わなくていいんだよ! ……ああいやいや、失礼しました。……なるほどCMですか。僕も先週まではCM十三本を抱えるCM帝王と呼ばれていましたからね。奈落野さんにアドバイスでもしちゃいましょうかねえ。はっはっは」
『ほ、本当ですか! ありがとうございます!』
「CMはねえ、とにかく好感度。企業の顔ですから、とにかくクリーンに。元気よく! これが鉄則です!」
『CMは……元気よく……!』
「そう! とにかく炎上なんてもってのほか――ん?」
(スタッフの小さな声)
「え!? この番組が炎上している!? え、え、なんで!?」
『や、やっぱり私のせいでこの番組が犬ラジオだと思われたんじゃ……』
「なんだ犬ラジオって! 仮にそうだとしても炎上なんてしませんよ!」
ガサガサ(紙の音)
『な、なんだか沢山紙が送られてきました……えーと、なになに……スキャンダルの話をしろ?……CM無くなったくせに偉そうにするな?……六股不倫の話はどうなってる?……なんですかコレ?』
「僕が炎上してるううううううっ!」
~♪(ブリッジジングル)
『あれっ。なんか音楽が鳴り始めましたけども!』
「と……とりあえず……CM行って……CM……」
『分かりました! えーっと、CMの鉄則……』
すうーっ(息を吸い込む音)
『やったああああああッ! CMうううううううッ!』
「ああああ元気いいなあっ!」
――――▷▷▶ コマーシャル。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます