深夜の人気ラジオ番組になぜか奈落級の地下アイドルが呼ばれてしまい、地獄みたいな放送になった件。
大入 圭
AM1:00~オープニング。
~♪(オープニングジングル)
「さあ始まりました、ハイウェイ川島のワンナイトジャパン。 ここからのお時間は、みんなのお耳のジャンクション、ハイウェイ川島がお相手させていただきます」
~♪(ジングル終了)
「まあ今週はですね、僕の週刊誌によるスキャンダルであったり、CM十三本降板したりと、んまあ色々とあったわけですが。そんなことよりもですね、なんとこのハイウェイ川島のワンナイトジャパンが、今回で記念すべき五百回目の放送ということで! いやーめでたい! 拍手!」
ぱちぱちぱち(拍手の音)
「というわけで今回なんとなんと! 番組始まって以来、初めてのゲストをお呼びしております! しかもみなさん、聞いたら驚きますよ? あの超トップアイドル、西瀬マルちゃんです! どうぞ!」
(静かな間)
「あ、あれ? ど、どうぞ? ん? スタッフ?」
(スタッフの小さな声)
「ええ!? 西瀬マルちゃんが急に失踪した!?」
(スタッフの小さな声)
「え、えー。みなさん。西瀬マルちゃんがね。なんか急に来れなくなったみたいで。なんですかね? スキャンダルでもされちゃったかな? はっはっはっは……はあ」
(スタッフの小さな声)
「あー! ただみなさん、ご安心ください! なんと西瀬マルちゃんに負けず劣らずの豪華ゲストに急遽、お越しいただいております! では早速お入りください! どうぞー!」
『ど、どどどどうも! ほ、本日はお日柄もよく、絶好のラジオ日和に呼んでいただきありがとうございます!』
「え……だれ……あ、いや……えーっと、で、では、自己紹介をどうぞ!」
『は、はい! えーっと。アイドルユニット泥団子三期生、
「お、おおー! すごい! お、お馴染みのやつを生で聞けるなんて! いやー僕、感動しちゃいましたよ。はっはっはっは」
『ええっ!? わ、私のことご存じなんですか!?』
「も、もも勿論ですよ! なんだったらファンですから。お会いできて光栄です。はっはっは」
『す、すごい! 昨日結成したばかりなのにもう知ってくださってるなんて。ジャンクションさんのような人気者はやっぱり違いますね……』
「き、昨日!? あ、あれ? 三期生って言ってませんでした?」
『は、はい!
「いや紛らわしいな! ……あ、い、いやもちろん知っていましたとも!」
『すごい。こんな地下アイドルまでチェックなさってるなんて……。ジャンクションさんの視野の広さには驚天動地です!』
「……それにしても奈落野さん。今日はどういった経緯で呼ばれたんでしょうか?」
『あっ、ついさっきそこの廊下を歩いていたらとりあえず入ってって言われました! なんかジャンクションさんが困ってるって言うことで……』
「どちらかというと更に困った状況になってるんですけれども。……てゆーか僕のことジャンクションって呼ぶのやめて貰えますか? それ名前じゃないので……」
『ええっ!? あ、し、失礼しました! えーっと、じゃあ、マイケルさんとお呼びすれば大丈夫ですかね……?』
「いやマイケルさんて誰!? もしかして僕のことマイケル・ジャンクションだと思ってます?」
『違うんですか!?』
「違いますよ! 僕の名前はハイウェイ川島です!」
『ああああごめんなさい! ど、どうか、私のことは嫌いになっても、スタッフさんのことは嫌いにならないで下さい!』
「いやなりませんよ! スタッフなんにも悪くないですから!」
『あああ、そうですよね。驚天動地の事態です』
「……いや。こちらこそすみません、取り乱しました。折角ね、来ていただいた訳ですから。ここからは奈落野さんの魅力をどんどん深堀してきましょう!」
『地下アイドルだけに! つって!』
「……立ち直り早いですね」
(スタッフの小さな声)
「え! もうそんな時間!?」
『ど、どうされました……?』
「奈落野さん、CMです!」
『ええっ!? い、いただけるんですか? ありがとうございます!』
「違いますよ! 一旦CMにいきます!」
『ああああすみません! 驚天動地の欲望が出てしまいました!』
「あと驚天動地の使い方ずっと間違ってるんですよ! そんな万能じゃないから驚天動地!」
~♪(ブリッジジングル)
「と、とりあえず奈落野さんに番組名を言って貰ってCMへ行きます! いいですね!?」
『わ、わかりました! ああ、ちょっと緊張するう……』
「では行きますよ! ハイウェイ川島の――」
『わ、わわわんわんわんわんないとじゃまんにゃまにまにまイヌッ!(※ワンナイトジャパン)』
「ああああ驚天動地の噛み具合ぃぃぃぃッ!」
――――▶▷▷ コマーシャル。
大人気深夜ラジオに、突如として現れた底辺地下アイドル泥団子三期生「
奈落みたいな地獄のラジオが、いよいよ幕を開けるッ!
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