空想朗読 怖い話

連海里 宙太朗

掌編

青白い顔の女

 私はあの日、誰もいない夜の駅で終電を待っていた。

 残業続きで疲れ切った体を駅のベンチに預けると、すぐ横に青白い顔をした女がいた。

 目が合うなり、いきなり腕を掴まれた。

 やつれ切った頬に濃いくま

 目だけがギラついていた。

 私は女の表情に恐怖を感じたが、手を振り払うことはできなかった。

 やがてはるか向こうに電車の明かりが見えた。すると、女は大きく口を歪ませ、にやついた。

 次の瞬間、女は私の腕を掴みホームへと身を投げようとした。

 私は我に返り、彼女の手を振り払った。

 電車が到着した。

 何事も無かったようにドアが開くと私は電車に飛び乗った。帰宅後、鏡を見ると、私の顔はあの女とそっくりなひどい顔だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る