第1話 出会い

からっとしたある夏の日、僕は運命とばったりぶつかった。

正確にはぶつかってきた。

学校の帰り道、ぼぅーっとして歩いていた僕も悪いがあんなに勢い良くぶつかられるとはこいつはなにしていたんだと少しのイラ立ちが芽生えた。

だがそのイラつきもぶつかった相手の顔を見るとなくなってしまう。

その泣き顔にイラつきより焦りが勝ったからだ。

「ごめん、大丈夫?」

とっさに謝ってしまう。

「だ、大丈夫。ちょっと安心しちゃって」

安心?ぶつかって安心して泣く。世の中には変わった子がいるんだな。

「けがしてない?」

「大丈夫、けがはないからほんとにびっくりしただけなの」

あぁ、驚いて泣いているのか。普段ならぶつかってきといて図々しいとは思うだろうが泣いてる理由が自分と関係なかったということに今は満足していた。

「そっか、よかった。泣かせちゃったのかと思ってあせったよ。」

「ごめんね、そっちこそけがしてない?」

「僕は大丈夫、ちょっと手を擦りむいたけど」

「うわぁーごめんね、ちょっとみせてばんそうこう持ってるから」

若干のマッチポンプ感は否めないものの

「はい、できあがり」

無邪気に笑う彼女に感謝している自分がいる。

「ありがとう」

汗ばみ火照ったほおがさらに熱くなるのを感じた。

これが君と僕の物語の始まり。


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