第59話 毒性学・水が怖くない理由

 獣医師は毒性の概念やコントロールも学びます。

 薬と毒は紙一重ですからね。病気の治療に薬を使う以上、毒の知識は必要です。

 ところで……毒って何ぞや?


 3人の人がいて、こんなことを言っていたとします。

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「俺はダイオキシン怖い!」

「私は食品添加物も怖いかな」

「僕は水も怖い」

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 ん? ひとり変わり者がいますね。

「水が怖いとか、どゆこと?」って思います?

 でも、水も飲みすぎれば死ぬんですよね……。海外の水飲みコンテストで死人が出たことも。

 じゃあ、ダイオキシンと、食品添加物と、水の違いって何でしょう?

 それは……少ない量で、体に有害かどうか!


 どんなものも、たくさん体に入れれば有害です。塩も水も、それは同じ。

 でも、普段の生活で塩や水を怖がる人はいません。致死量を飲むのはまず無理だからです。食品添加物もそうですね。

 一方で、ダイオキシンを致死量飲むのは簡単です。ぺろりとひと舐めすれば充分。

 ダイオキシンは、1gで1万人を死亡させるくらい、パワーのある物質ですからね。


 でも、普段生活していて、「ダイオキシン怖くて眠れないよー!」って人は、そんなにいないはず。

 それは、身近に存在しないからです(法律でガチガチに管理されてる)。近くにないなら怖くない。

 つまり。


 リアルな怖さ(リスク)=少ない量で有害か(ハザード) × 人に触れるか(暴露量)


 なんですね~


 ちなみに。

 ニュースで、「食品の◯◯が危険かも?」とか報道されると、私は

「おっ、ハザード強調ですな! がははっ!」

 と、笑い話にします。

 夏の心霊特集みたいなノリですね~






 

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