異世界転移したようだがもう駄目かもわからん
高久高久
気が付いたら山の中
「……ここが、地獄か」
俺、永野栄太が呟いてペットボトルの麦茶を口にする。まだ冷たい液体が身体に染み渡る感覚に浸った――直後、熱気でそんなもんはどっかいった。
刺すような熱気。太陽は優しくどころか殺意満々で俺達を照らしている。地面はアスファルトの筈が、太陽光の
暑いじゃないんだ。
だがここに居るのは俺一人ではない。何人もが、とある同じ目的でこの地獄を並んでいる。
前を見ると、目的まであと少し。その目標がある限り、俺は――否、俺達は頑張れる。
列が進み、何人かがまとめられて先へ進む。俺はギリギリ、その集団に入る事が出来た。誘導された先はまた列だが、今までの物と比べれば短い短い。
やがて、俺の番が来た。
「新刊を1部――あ、2限? 2部下さい」
汗だくになりながら
「新刊無くなりましたー!」
直後、響き渡るサークル主の声。後ろに並んで居た者達から悲鳴のような声が聞こえ――る事は無く、あっという間に解散し別の
――季節は夏。時期はお盆。ここ、某ビ●グサ●トは
人々は数多の
人、人、人――ただでさえ夏だというのに熱気で
台車で運ばれる
「えーと、次は西か……お?」
俺の目にある看板が目に入る。『西ホールはこちら』という文字と、矢印が書かれていた。
人の流れとは逆方向で、看板の矢印の方へと向かう者は見当たらない。この看板に従うべきか、考えるがすぐにやめる。
この看板に従う。運営の看板なのだから、通っても問題は無い筈。
俺はその看板の矢印に従った。建物の裏の方に出て、直射日光にさらされ体力を奪われる。
一瞬くらり、と視界が揺れる。いや、ここで倒れるわけにはいかん。
何とか俺は歩いた。歩いた、はずだった。
朦朧とする意識の中、歩いた俺は気が付いたら――
「……ここ、どこ?」
――知らない、森の中に居た。
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