ラミカは知ってるんだから…

 ……意味が分からん。……ラミカが悪いと思ってるとか言ったことも分からないし、なんで俺は二日連続で襲われてるのかも意味が分からん。今日のリアは酒とか入ってないだろ。なんなら普通に寝起きだし。


「……お風呂、入る?」


 そんなことを考えていると、隣にいる俺を襲って満足したリアが服を着ずにそう言ってきた。

 ……はぁ。見ないようにしてたのに。……いや、見ないようにしてたって、襲われた事実が消えるわけじゃないけど、少しの現実逃避くらいにはなってたんだよ。


「……俺、さっき入ったばっかりなんだけど」

「……それは、あなたが浮気を隠そうとするから」


 浮気なんてしてねぇよ。

 無理やり襲われたんだから、しょうがないだろ。リアに力で勝てないように、ラミカにも俺は勝てないんだよ。

 ……後、単純にリアと付き合った覚えなんてないから、浮気じゃない。……これは言えないけど。無理やりとはいえ、そういうことをしてしまったことは事実なんだから。毎回のように言うけど、もちろん俺が襲われた側。


「……初めてリアとした時だって、一緒に隠そうとしただろ」


 そう思いながら、俺はそう言った。

 あんまり思い出したくない記憶ではあるけど、事実だしな。


「……あの時は、違う。……それに、まだあの二人とは付き合って無いんだし、浮気を隠そうとした訳でもない」


 ……まだってやめてくれないかな。別にあの二人と付き合う予定なんか無いからな? 付き合う予定がないどころか公爵領から逃げて二人との関わりさえ断ち切ろうとしてるくらいだからな?


「……風呂、入るか」

「……ん」


 そう思いながらも、そんなことを言うわけにはいかないから、俺はそう言ってベッドを出た。

 もうやってしまった事実は変わらないし、さっさと気持ちを切り替えようと思って。




 そして、ラミカの様子をチラッと見てから俺はリアと二回目の風呂に入った。

 ちなみに、様子を見た時のラミカは眠ってた。……昨日リアが寝てる時に使ってた音が聞こえなくなる結界? とは少し違うかもだけど、みたいなのを自分の周りに張りながら。

 ……漏れ出る声を聞きたくないのなら、さっき助けてくれよ。……と言うか、ラミカは俺が公爵領から逃げようとしてるの知ってるんだから、俺がリアとこれ以上深い仲にならないようにいつもみたいに邪魔してくれよ。

 ……逃げた時に感じる罪悪感が上がるだろ。


「どうしたの?」

「……いや、なんでもない。……さっさとラミカを起こそう」

「ん」


 フィオラ達のところに護衛の報酬を受け取りに行かないとダメだから、リアにそう言った俺は、眠っているラミカを起こした。

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