なんでこのタイミングで
「……どういうこと?」
体を拭いてから服を着て、ラミカと一緒に寝室に戻ると、開口一番にリアがそう言ってきた。
……窓を開けて換気してあるし、臭いは大丈夫、だと思うんだけど……まさか、バレたのか?
い、いや、大丈夫。証拠なんて無いはずだし、ラミカには余計なことは言わないでくれって口を酸っぱくして言い聞かせた。
大丈夫、なはずだ。
「ねぇ、聞いてる? これ、どういうこと? 浮気?」
「な、なんの話だ?」
リアに問い詰められた俺は、はったりだと割り切ってる、そう答えた。
大丈夫だ。さっきも思ったけど、臭いも落としてるし、換気もしてある。
絶対バレてないはずだ。
「……なんで、あなたとあの人の脱いだ服がここに置いてあるのって聞いてる。それと、あの血は、何?」
そんなことを言ってくるリアの視線を追って俺もそっちに視線を向けると、リアの言う通り昨日俺たちが着ていた服がベッドの横に脱ぎ散らかしてあって、ベッドにはラミカが初めてだったことを表すように、赤い血がこびりついていた。
…………やばい。そっちの処理を完全に忘れてた。
「ち、ちょっと……あ、あれだ。お、俺が鼻血を出してしまってな」
内心で焦りながらも、俺は何とかそう言った。
「……仮にそうだとして、なんで、服を脱いでる? なんで、お風呂に入ってる?」
……あぁ、どんどんリアから溢れるオーラが増していってる気がする。……いや、気がすると言うか、実際に増していってるし、かなり空気が重い。
気まずいっていう気持ちはもちろんあるけど、それだけじゃなくて、普通にリアの圧に押しつぶされそうだ。
「正直に、答えて。…………私が寝てる横で、した?」
「…………はい、しました。……ラミカに、襲われました」
せっかく、ラミカが余計なことを言わないって約束を守って黙ってくれてたのに、リアの圧に耐えられなくなった俺はそう言った。……ラミカに無理やり襲われたっていう事実はちゃんと話しながら。
「……そう」
怖い。
内心でリアの圧にビビっていると、突然衝撃が俺の体を襲って、気がついたらリアにベッドに押し倒されていた。
「私とも、して? それで、少しだけなら、許す」
そして、そのままそう言ってきた。
……これ以上リアと深い関係になりたくない。
そう思いながらも、俺は抵抗できない。……単純に怖いからって理由と、普通に力の差で抵抗が出来ないからだ。
「私の前で〜、何しようとしてるの〜? ダメに決まってるでしょ〜?」
「……うるさい。……あなたは、もうした。次は、私」
「は〜? 次とか〜、無いけど〜? ずっと私だから〜」
あの、言い争いをするのなら、リアは俺の上から退いてくれないかな? その後だったら、好きに言い争ってくれていいから。
「……じゃあ、いい。……三人ででいいから、邪魔、しないで?」
「は? だから〜、私のなんだから〜、お前はダメだって言ってんの〜」
「……別に、奪ったりしない。奪う訳じゃない。あなたは、それが怖いんでしょ?」
……なんか、分かり合おうとしてる? いや、二人の仲が良くなるのは正直めちゃくちゃ嬉しいぞ? でも、今この状況で仲が良くなるのはやめてくれないか? 手に取るようにその後の未来が見えるんだけど?
「……だから、三人で、しよ? ……ほんとは、 二人がいいけど」
「…………隣でしたのは悪いと思ってるから〜、今はお前が一人で相手したらいいよ〜。でも〜、次からは〜、ダメだから〜」
いや、あの、え? ラミカ? どこに行こうとしてるんだ? そっちは扉だぞ? 俺を見捨てて行かないで欲しいんだけど? と言うか、助けて欲しいんだけど?
「じゃあ、しよっか」
そんな俺の思いも通じることなく、ラミカは部屋を出ていってしまった。
なんで、このタイミングで仲が良くなるんだよ。
そう思いながらも、俺はいつも通り、抵抗出来ずに、リアに襲われた。……せっかくお風呂に入って臭いを落としたっていうのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます