クリスマスカラス [SF]
そのカラスは年に一度姿を現わした。
黒ではなくて金色のカラスだった。
人々はそれを “クリスマスカラス” と呼んでいた。
カラスが飛来すると村から一人生贄を差し出さねばならない風習があった。
今年はトムという青年が選ばれた。
トムは生贄の洞窟へと入った。
何の変哲もない洞窟だった。
洞窟の奥には古びたドアがあった。
ドアを開けると中は明るい小さな部屋になっていた。
中央に椅子があったのでトムは座った。
これから自分は死ぬのだろうと思ったが不思議と恐怖はなかった。
椅子に座ると何処からともなく声がした。
「ようこそ。被験体No.2x86。これからいくつか質問をします」
何てことのない質問が続いた。
体調はどう? 好きな食べ物は?
質問が全て終わるとトムは第二の扉から部屋を出るように指示された。
その先は同じような部屋で中央の台にクリスマスカラスが止まっていた。
「おめでとう。君はテストに合格した28番目の個体だ」
カラスが喋った。
それは先ほどの質問主の声だった。
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