第40話★STAGE 4★
ところで、ここまでの戦いで気づいた人はいないだろうか。
対戦相手がみんな女性であることに。
あえてヒントを言うと、大聖女祭りは
――そんなことはさておき、次の対戦相手にはさすがに吾輩も驚いてしまった。
なんと、剣士でも魔術師でもなく、対戦相手が機織り職人であったのだ。むろん女性だ。
そいつの名前はジア・エンソーダ。
病的なまでに白い肌に白い髪、そして赤い瞳の女の子は、吾輩が魔人化したジャイアントスパイダーの美少女である。
彼女はお気に入りなのかピンクのナース服を着ており、バカでかい注射器を手にして吾輩の前に立ちふさがっていた。
「サピエを倒して私が砦の主になる!」
ジアちゃんの意気込みは相当なものだ。
まさに息まいていた。
「なら、なればいいじゃん」
「ほんと?! 好きな服作って良い?」
「もちろん、どんどん作るがいい」
吾輩、そういうのの管理が面倒とかそういうんじゃないんだからねっ。
「え? やったー、って嬉しがる前にやっぱりサピエを倒してどちらが上か見せてあげないとっ!」
そう叫ぶと、手にするバカでかい注射器を押し出してくる。
その先端からは糸が飛び出し、一瞬で蜘蛛の巣の形へと整形される。
「ま、まさか、これは糸状の弾幕か!」
「巣符:八角大王陣!<Lunatic>」
それはジャイアントスパイダーが持つスキルの一つ、《粘糸》だ。
それに少しでも触れれば吾輩は絡め取られて身動きが取れなくなるであろう。
きっとその糸でここまで勝ち上がってきたに違いない。
「だが無駄だ。所詮蜘蛛の糸は2次元的機動しかできないからな。三次元的な動きができる吾輩であれば回避など容易ですぞ」
「くっ……」
「だいたい速度がでていない。手からじゃなく、本来出すところから出せばまだ望みがあったのにな~」
本来糸をだすところ。
はてさて、それはどこだろうか。
我輩、さっぱり分からないですぞ(棒)。
「こ、こんな大衆の面前でそんなえっちなこと、できるかー、この馬鹿ぁー」
普段「蜘蛛ですが、ナニか」とかいいそうなクールビューティーなジアちゃんが顔を真っ赤にしてそんな罵倒をする姿は、可愛らしくて、ご褒美で、そして隙だらけだった。
だから吾輩は簡単にジアのおっぱいに辿り着く。だがそこからだった。
そしてそこで初めて、吾輩はその冷たい違和感に気づいた。
「こ、これは――」
「ふ、気づいたか。これこそが機織り師の私が誇る最強防具。ミスリルのリフレクションブラジャーだ! この鉄壁装備であればいくらサピエが最強の絶倫クラスおっぱい揉みくだし師であっても揉めまい!」
「なるほど、考えたな。だが……」
「な、なにをするー」
吾輩はブラのフロントホックを外すと服の中に直接下から腕を突っ込む。
「こんな接近戦だ。いくら鉄壁防御とはいえば、脱がせば問題ない」
「問題おおありだー」
「さぁ、どんどん脱がしちゃおうねー」
「くそ、鎖帷子(くさりかたびら)の下からだと! それじゃ装備の意味が――」
「もみっとな」
我輩の指先が、全てを巻き込み粉砕しにかかる。
「あ、あー~ん。いやぁぁぁーーー」
≪機織り師≫ジア・エンソーダ、撃破!
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