第28話聖女に課される熾烈な試練とは
吾輩は人である。
名はホモ・サピエンス。
こうなればやけだ。
どうも、この主神たる邪神カーキンさんはノリが良さそうなので言う価値があるだろう。
俺は欲望をむき出しにしつつ、主神に話し掛けることにする。
「ところで――」
『ほう。哀れなる子羊よ。その身にまだ
「いえ結構。しかし帰るのはもう少しお待ちを――」
『ほう? だから我が神聖なるポテチタイムを――』
「あぁ――、そこらの修道女さん? 君らのところにいたいけな、まだ成人の儀式を受けていない女の子はいないかね。自分の娘とか、孤児の子とか?」
その声を聴いて、右往左往するばかりだった修道女たちがはっとした声をあげた。
そこに、ピーチ・グリーングリーンの声が続く。
「そうねぇ、セレン子爵の令嬢さんとか、クラーレ侯爵家の次女さんとかも呼んできてくれないかしら。確かわたくしと同じように直近で婚約破棄されて今はフリーであったはず」
その声につられ、修道女たちはすぐさま行動を起こす。
多少の問題はあるかもしれないが、聖女の量産ができる可能性があると彼女たちは気づいたのだ。
そうなれば
なにしろ聖女となるのは成人の儀式前だった妙齢の女性だ。
嫁がせたとしてもなんら問題はない。
嫁いだ先は聖女を迎え入れた手前、さすがに
『それで? その人らが来るまで、汝はどう我を楽しませる?』
どこか楽しそうな口調の主神たる邪神に俺は満面の笑みで答えた。
「それは、もちろん」
『もちろん?』
「これから現れる小さな聖女たちが、
『ほほぅ!』
「ちょっ」
メイドの――、今や聖女となったミイヤーさんの素の声が聞こえてきたが、サピエは当然のように無視した。
「屈辱にまみれ苦悩する表情を見せれば、彼女がどんな酷いことをされているかということが分かるというもの。そしてそれが自らのを聖女にするためのものであると分かれば、感涙の涙をもって喜んでくれるに違いありません」
『素晴らしい❗ 対外的な醜聞もその線でもみ消せるな。なるほど『試練』か。で――、試練というのはもちろんあれか――』
「そう――、
『アホだ……。アホすぎる……。いいねぇ』
システム:「主神カーキンの祝福により、ホモ・サピエンスにアホの称号が付与されました。」
「いやぁ……、や、やめて……」
顔を赤らめ激しく抵抗する聖女ミイヤーだが、そこにピーチ・グリーングリーンがとどめをさした。
「
「世界が……、やさしく……」
ピーチさんは綺麗なことを言っているが、要はサピエにおっぱいを揉まれろという意味だからね。
『いいやダメだね!』
そんなあとちょっとで聖女ミイヤーを落とせる雰囲気のなか、一人の男性神が待ったをかける。
『どうした? 梅田守?』
『主神よ。彼女一人に試練を負わせる酷と言うもの。ここは我ら神々の前で婚約したものを婚約破棄を見逃す条件として、聖女すべてに試練を課すというのはどうであろうかっ』
『なるほど。良かろう! その『試練』により、さぞかし聖女は苦悩することであろう。その身を犠牲にするその精神性! 聖女としても精神的にはるかな高みへとレベルアップするに違いない――』
『あ、ありがたき幸せ――』
そして当然のように神たちの最前列に陣取る。
(な、なに言ってんだこいつら……)
そうサピエは思ったが、変にツッコミを入れてこれでおっぱいが揉めなくなるのも困るので黙っておいた。聖女すべてに与える試練とは? それはもちろんお約束であろう。
おっぱいを揉むのだ。
『あ、それから――、そんなにこの神殿の聖堂で聖女を生み出せば、当然反動で今後数年はこの聖堂では成人の儀式でろくなクラスを渡すことができないのだが、それは構わないなよな?』
吾輩は勝手にうなずく。
その反動のせいで吾輩は悲惨なクラスになったこともあり思うところもあったが、つまりここの聖堂でさえ成人の儀式をしなければよいというだけならば、どうということもない。
禁止すれば良いだけだ。
『あぁ、このことはバレると困るから言えないように契約を掛けておこうか』
主神カーキンは指を鳴らす。
それだけで膨大な魔法陣が発生し、そして世界へと広がっていった――
システム:「主神カーキンにより広域契約魔法が掛けられました。契約により『今後数年はこの聖堂では成人の儀式でろくなクラスを得ることができない』が秘匿されます」
・ ・ ・ ・
その日。
世界を震撼させる出来事がパラチオン王国で起きた。
西北の雄であるパラチオン王国の王都の神殿に主神カーキンがおよそ100年ぶりに顕現し、気まぐれで多くの女性を聖女にしていったという。
その聖女量産の立役者となったのは、
彼女や聖女たちは、多くの女の子を聖女にする間中、女神による過酷な試練に耐え続けたという。
ちなみにその陰で、一日で100人の女性と婚約し、そして99人に婚約破棄されながらも、婚約破棄の条件として聖女たちのおっぱいをさらに揉むという暗躍をした人物がいるということを知る者は、当の聖女と、ごくわずかであった――
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