第10話ゴブリンならばスレイするものであって、どのような表現でおっぱいをもみもみしてもR18にはならない

 吾輩は人である。

 名はホモ・サピエンス。


 さて、前回はゴブリンを擬人化したわけだが、これどうしよう。


 吾輩の目の前には粗末な恰好だが、絶世の美少女というかょぅι゛ょがそこにいた。


 なんだろうこの駆逐艦レベルに可愛い幼女は――、などと驚愕せざるを得ない。


 元が汚らしいゴブリンだけに驚きだ。


 肌の色は多少元のゴブリン色である緑色を帯びているが揉むたびにそれが白くなり、桃色の赤みも見えている。

 白い髪に青い瞳、そしてゴブリン耳(猫耳?)の容姿であるこの少女は、元カノの聖女よりも数段可愛かった。



 ――というか、目のやり場に困る。



 粗末なふくであるのでそれはすごく。

 この穴から脱出したらすぐさま服を着させないとやばいだろう。

 

システム『ホモ・サピエンスはロリコンの称号を得ました』


 おいシステム! やかましいわ。

 そんな称号はいらぬ! あこがれぬ!


(――きっとシステムもこの少女の美貌に嫉妬しているからこんな称号を付けたに違いない)


 吾輩はそう思うことにした。


 しかし、さすがはスキル≪擬人化≫の能力である。


 これならば、もしかしたら城とかもいけるかもしれない。吾輩は名古屋嬢とか大好物だ。


 だが、名古屋嬢は検索したらかわいいお嬢様がいっぱい出てきたのに、熊本嬢で検索したら泡姫がいっぱいでてきたのは解せぬ。くまも〇みたいな体形のお嬢様とか期待していたのに。ところで九州地方の方たちはどうしてあんなにクマ押しなのだろうか。九州地方は鹿児島の白いしろく〇に始まって、熊本は黒いくまも〇、そして阿蘇山は赤いマグマに彩られているという。

 愛媛嬢なんて姫なんて名前のせいだろうか、検索するととてもあわあわしていた。




 ――それはさておき、ちとやりすぎたか。



 少女は荒い息で、潤んだ瞳で、火照った身体を吾輩に預けている。


 それは先ほどまでそのおっぱいを全力で揉んでいたのだからしかたがない。


 やっているうちにだんだんと楽しくなってきたのだ。

 そりゃ揉むだろう。


「あー、んー。ご主人さまぁー。もっとぉ……」


 少女がしゃべった。

 ゴブリンの言葉でなく、人の言葉である。

 甘ったるいその声は、吾輩の頭の中で若手の新人人気声優の声に脳内補完されていた。



 そして、吾輩はご主人さまという言葉にゾクゾクする。


 そして、すぐさま吾輩は顔を青くした。


(こんなの連れて帰って、しかも他人に少女に『ご主人様』なんて呼ばせていることが知られたら――)



 すぐさまタイーホされて連行されてしまうに違いない。間違いない。

 たとえばこんな美少女と一緒に埼玉県の日進駅の駅前を歩いていれば、それだけでたちまちのうちに警官から職務質問されてしまうようなレベルである。



 もうすでに十分ダメな気がしないでもないが、名前の呼ばせ方は変えさせよう。


「吾輩は人である。名はサピエだ」


「サピエ? ご主人さまのお名前?」


「そう、サピエだ。これから吾輩のことはサピエと呼ぶように」


「うん分かった! サピエ!」


「はいはい。えらいぞー」


 俺は抱き着いてくる少女の頭を撫でると、少女ははにかんだ笑顔を見せた。


「じゃぁ、ぼくのお名前は?」


 ゴブリンには名前が無いのだろうか。

 そういえば、小説とかではモンスターに名前がないが一般的だ。



(しかしゴブリンなーー。ゴブリンなー。ゴブリンなー。ぴこーん! ひらめいた。)



「う……。えーっと、ではリナでお願いします」


「わかった! ぼくはリナねッ」


システム『ゴブリンの魔人Aは、リナに名称が変更されます』


システム『モンスターに名前を与えることにより、一般スキル≪サモナー≫を得ました』


 どうやらモンスターへの名づけによって、吾輩はサモナーの称号を得たようだ。


 モンスターへの名づけといえば、大抵の場合相手は進化するというのが最近の定番なのだ。


 モンスターに名前とか与えて大丈夫なのか?


 なにか、リナちゃんの身体がきらきらと輝いて見える。

 システム的にレベルアップとかでもしているのだろうか。



「ともかく、ここから脱出しないと……」


「うん。じゃぁここから外に出るね」


 リナちゃんは立ち上がった。


 そして、いきなり吾輩をお姫様抱っこすると、跳躍する。

 それだけで脱出できる。一息でだ。


 そこは魔人の能力だというのだろうか。


 スキル≪擬人化≫レベル5の威力はとにかく凄すぎた。



 ――そして吾輩は思い出してしまった。

 その脱出先にある光景を見てしまったがために。



 ――ゴブリンは、一匹いたら10匹いると思えという法則を――



 何体もぼこぼこといるゴブリンの群れがそこにはあった。

 リナちゃんはゴブリンの斥候だったのだ。

 その斥候が急に消えたので、ゴブリンたちはここへ来たのだろう。


 吾輩はそして――、ゴブリンたちを見るなりステータスウィンドウを開いた。

 レベルアップ時のMP回復によりMPにはまだ十分な余裕がある。





 吾輩にはゴブリンの群れはもはや、宝の山にしか見えなかったのだ――

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