第15話



――九月二十六日 05:52――


「虎太郎おはよう」

「兄ちゃんおはよう。そっか、今日は合宿に行くんだったよね」

「起きてたか、よかった」

「兄ちゃんのメールの受信の音で起きた」

「そっか、ごめん。でもよかった、今日は夜はメール出来ないからな。それだけ言っておきたくて」

「わかってるってば」

「寂しいって泣くなよ」

「泣かないよ。あ、お母さんにも連絡入れてよね。最近ちゃんと連絡してないんだって?」

「あ~、そうだったかな」

「何も心配ないよって言っといたけど」

「虎太郎、お前俺とメールしてること母さんに言ったのか?」

「言わないよ。言ったらあれ伝えろこれ伝えろって絶対うるさいもん」

「はは、そうだな。わかるわかる」

「だからちゃんと連絡してよ。こっちは大変なんだからね」

「わかってるよ。てかさ、三日連絡しなかっただけだぞ? そりゃないだろ」

「そうなの? だったら母さんが悪いね」

「だろ? 心配しすぎなんだよ」

「あ、兄ちゃん、この前の試合の動画、またネットで見れるかな?」

「ああ、見れるんじゃねえかな。写真部の奴らがビデオ撮ってたはずだから」

「よかった。お父さんとお母さんがしつこいんだよ。もっとないのか、早く見せろって」

「そんなしょっちゅう試合やってないしな」

「それも兄ちゃんから説明しといてよ」

「ああ、わかったよ」

「あとは……」

「なんだよ、そろそろ俺も準備しなきゃだぞ」

「だって今日はもう兄ちゃんと話せないんでしょ?」

「なんだ、もう寂しがってんのか?」

「違うよ、何か言っておくことなかったかなって思っただけだよ」

「はは、夜時間あったら電話するよ」

「あるの?」

「たぶん、ない」

「なんだ。やっぱり」

「大丈夫だって。明日の夜には帰ってくるんだから」

「うん」

「じゃあ、母さんに電話してから行くから」

「わかった。頑張ってね」

「おう。虎太郎も頑張れよ。ちゃんと筋トレしておけよ」

「はぁい」

「じゃあな。行ってきます」

「行ってらっしゃい」





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