番外編 爆誕☆コゲマコ君~宇宙から飛来したキノコ胞子の恐怖~ ≪前編≫
※こちらのお話はXのRP企画が発端です。
5400字+FFさんとの愉快なやりとりで生まれました。
時間軸……第二章、最終話の夜かな。笑
差し入れ作戦・黒いローブの少女の襲撃があった日の晩、ルーカスと双子の姉妹達がシリアスに話していた裏で起きていたかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
パラレルワールドと
世界線を越えて、色々とぶっ飛んだコミカルなお話です。
本編のシリアスから離れ、笑いの一時をどうぞお楽しみ下さい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
とある晩の事。
イリアは
「どこまで広がるのだろう?」と、
——
キラキラと七色に光る
七色に光る粒が夜空の
(キラキラ輝いて、宝石みたい……)
思いの他、空が近くに感じられる。
イリアは光に手が届きそうな気がして、手のひらを上に腕を伸ばした。
すると、流れ落ちたそれが手の中に舞い込んで来て、確認しようとしたところで——目が覚めた。
ゆるゆると
「……ん。あ、れ……?」
目の前に映し出された光景と、先ほどまで見ていた光景が一致せず、軽く混乱する。
とりあえず、伸ばした手を戻して、ベッドに横たわる体を起こした。
辺りを見渡せば、ここは良く見知った公爵家の客室だった。
部屋は薄暗く、ベッドの横に備え付けられたテーブルには、暖かな
「えっと……夢?」
今日は色々な事があったせいかな。
ふと、先ほど伸ばしていた手が固く握られている事に気付く。
夢の中で、光る粒子へ届きそうだと思って伸ばした手だ。
心なしか握り込んだ手の中にほんのり熱を感じる。
イリアは不思議に思い、握った手を
一本ずつ、指を開いて伸ばして見ると……。
夢の中で見たそれだ。
宝石みたいだと思ったが重みはなく、予想外にほわほわして浮かんでいる。
それよりも何故、夢の中で見た物が現実にあるのだろう。
「何なんだろう、これ……」
次の瞬間の事だ。
それは「ビュン!」と擬音が付きそうな程、勢い良く手のひらを一人でに離れ——超高速で線を
通り道にはキラキラと虹色の
……よくわからないけど、追いかけないといけない気がした。
「ま、待って!」
イリアは枕元に置いた淡い水色のストールを手に取るとベッドから抜け出し、軌跡を追った。
——光を追って行き着いたのは、
夜の
それに不思議な事に、ここに来るまで誰とも出会わなかった。
公爵邸を守る騎士の姿も、いつもであれば近くに
そうして追いついた先に
「——な、なんでこれがここに!?」
イリアは
ゼノン殿下に「独創的な料理」と言わしめた、黒い物体のそれが、堂々と白い皿に乗って存在していたからだ。
「ちゃんと処分したはずなのに……!」
昼食会の後、この手で確かにゴミ箱に突っ込んだはずだった。
何度も念入りに、ゴミ箱に収まっている事を確認したから間違いない。
なのに、存在するはずのない、
そしてその真上に神々しい七色の光を放つ、ほわほわが浮かんでいた。
とにかく訳が分からない。
アレがここにある事も、ほわほわの事も。
どう理解すればいいのか、考えあぐねていると——。
ほわほわが降下してアレに吸い込まれていき、そして発光した。
七色から白へと色を変えた光が、黒い物体から洪水のように
「きゃっ!」
あまりにも
正確な時間はわからないが、存外に長い時間、アレは光を放っていたように思う。
閉じた
(一体何が起きたの……?)
状況が飲み込めず
「……よう、
闇の中から、声が聞こえた。
「え?」
この時は幻聴だと思った。
だって、ここには人の気配なんて
「チッ。自分で生み出した
「
だけど、舌を打つような音と、声が再び聞こえて、その考えを
イリアは
——と、そこで思い出す。
周りを照らす魔術があって、自分がそれを使えると言う事に。
活用しない手はない。
イリアは右の手のひらを胸の位置に
『
そうすれば
手のひらを離れ、
しかし、光を得て見通しが良くなった辺りを見回しても、人影はない。
「誰なの……?」
他に変わった様子もないし、
まさかアレが言葉を発する訳がないし。
痛ましい姿のアレ——炭化したオムレツを見つめながら、そう思ったのだけど……。
「おいおい、ばっちり見えてんだろ?」
もぞり、とそれが
一瞬、自分の目を
けど、やっぱり見間違いじゃなくて。
もぞもぞ、と動いて、オムレツが皿の上から持ち上がるのが見えた。
……なんか、ひよこみたいな足が生えてる。
「え、えええ!?」
衝撃的すぎてお腹の底から声が出た。
あり得ない。
意味がわからない……!
よくよく見ると、オムレツの形をした黒いそれに、吊り上がった
さらに顔の頭頂部の片側に、エターク王国の国旗を
ちょっとした
「なんで!? だって、ただの焦げ卵——!!」
「
それは、顔?体?から生やした手を腰?に当てて、ドスの
〝
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