『幕間 不穏の影②』
双子月が輝く
『首尾はどうなっているの?』
「どうもこうも、ご
相手は高い
『失敗って訳ね。全く使えない事……』
声と共に「はあ」とため息が聞こえてくる。
少女はローブに隠された髪を、指先でくるくると
「あれもこれもと無茶ぶりされたら、そりゃー結果を出せるわけないじゃない。タダでさえいまはお使いで忙しいってのに」
『まあいいわ。しっかりやりなさい』
その言葉を最後にプツリと通話が途絶えた。
一方的に終わった会話に少女は不満を
「はあ、やんなっちゃう」
わざわざ言われなくとも自分の役目はしっかり認識しているし、そのためにしなくて良い苦労を強いられているのだから「少しは
ともかく
まずはお使い——宝石の回収が先だった。
少女は小声で『風よ』と詠唱を口にする。
すると、小さな竜巻が足元に発生して絡みつき、風を
ふわり、と羽根の様に建物の屋根へと降り立てば、街を一望とはいかないが、辺りの見通しが良くなった。
背の高い時計塔や監視塔であれば更に良いのだが、そう言ったところは
「さてと」
少女は左手を
「宝石は花の中で輝き、
【星】の導きに
宝石は別の宝石箱へと、大事に大事にしまい込まれていたのだ。
「んー。どうしようかなぁ」
手がないわけではないが、余裕ぶって
少女は己の行動をほんのちょぴっとだけ後悔していた。
「あんまり派手には出来ないけど、出し惜しみも出来ないわよね」
じっくりと街並みを見下ろした。
下調べは重要だ。
そうして大体の構造を
視線を落とせば
どうやらこちらを見つけたらしい。
指を指し示して何やら話し込んでいる。
「あは。この街の騎士は優秀ね」
パチンと指を弾いて鳴らす。
そうすれば暗闇が少女を包み込んで——夜の闇に溶けるように、少女はその場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます