トランプ投げ

日本語破綻者

第1話トランプ投げ

 たまたまおすすめで、トランプ投げの動画が出てきて見てみたらトランプできゅうりを切っている動画だった。

 やばい、恰好いい。って思いました。

 その日、僕はトランプを買ってトランプを投げる、投げる、投げる。

 うまくいかない。しかし動画を見返してみると、プラスチックのトランプを使っていたのに気付いて練習また練習。ようやくまともに飛ぶようになってきた。

「よし、いよいよ本番だ。きゅうりを立ててそこに向かってトランプを投げる」

 一人ごとをつぶやいてトランプを解き放つ。

 何回投げたかは分からない。が、疲れ果てて意識がもうろうとしていた時にそれは起こった。トランプがものの見事にきゅうりを真っ二つに切り裂いたのだ。

 僕はその場に倒れ、そのまま数時間眠りについた。

 夢を見ていた。それはきゅうりをトランプで切りまくる夢だ。それはトランプ投げによるきゅうりの収穫。ずばずばときゅうりを切り裂き、収穫が効率的に行われる。

 しかしそこに現れたのは熊だった。熊がなぜかきゅうり畑をあらし嬉しそうにその場から去っていった。

 僕は仕返しを決意した。

 プラスチックトランプではかなわないならば、金属のトランプがあれば、しかしそれは探してもなかった。だから金属名刺で代用することにした。いよいよ熊との決戦がスタートした。熊が現れたとき、僕は熊の鼻めがけて金属名刺をトランプ投げした。

 見事熊の鼻に名刺がヒットし熊は逃げ帰って行った。そこで夢から覚めたのである。

 僕はこれは天啓だと思い、金属名刺を買い、そしてトランプ投げを練習し始めたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トランプ投げ 日本語破綻者 @mojiuchisyuukann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る