どうせ日常。
9月の月羊
何を思ってもどうせ、日々に消えていくだけ。
僕は醜い人間だ。
他人の事も、自分の事も愛せないような欠落した人間だ。
だから僕はせめて優しい人間でありたかった。だけど、自分の事も愛せず自分の弱さを認める事が出来ない僕の心にはきっと他人に優しく出来るほどの心の余裕なんて無い。
自分の身に降りかかる不幸を、誰々のせいだと一瞬怒りが頭をよぎり、待て待てそんなわけ無いだろと、自分のせいだろと、人のせいにしてしまいそうになる自分を噛み殺して、真っ黒に染まりそうになる心をなんとか抑えている。
それでも、心が衰弱している時は噛み殺す事を忘れて全て周りの人のせいにして、呪いの言葉を撒き散らしてしまう。
僕の容姿が醜いのは、親のせいだ。
僕のバカなのは、環境のせいだ。
僕の心が脆いのは親から愛を与えられてこなかったせいだ。
僕が孤独感を感じるのは友達が本当のぼくを知ろうとしてくれないからだ。
将来が不安で仕方がないのは学校先生が僕の事なんて気にもかけてないからだ。
人のことを信用できないのは、みんな嘘つきだからだ。
僕が死にたくなるのは誰も僕の心に寄り添ってくれないからだ。と周りの全てを加害者にして、自分は被害者面でベットの中で泣いている夜がいくつ過ぎて行ったか覚えていない。
僕は醜く、弱い人間だ。純粋さも無垢も失ってしまった、汚い人間だ。
そんな僕にだって日は上り朝が来るし、雨が降っても、すぐに太陽が雲の隙間から陽光を輝かせる。
自分には陽の光に当たる資格さえ無いように思う事もあった。
周りを加害者にして自分は被害者面をしている時は自分はクズな人間だという事を忘れられた。それが心地良くもあった。
でも本当はわかっているんだ、父さんも母さんもこんな僕にも優しくて、愛してくれている事をちゃんとわかってる。
友達だって僕と対等に接してくれて、いい奴だってわかってる。
学校の先生だって、僕の事をしっかり見てくれている事を分かっている。
死にたくなるのは逃げてばかりだからなのも分かってる。
分かっているんだ。
優しさが僕には眩しくて。
僕は人に優しくしてもらう価値なんて無い人間だって思いが頭と心を支配していて心がざわざわする。
みんなはこんなに優しいのにどうして自分はこんなダメなやつなんだって涙が出て、加害者にして毒を吐いてた事を思い出して罪悪感に襲われて、その場から逃げ出したくなる。
こんなに求めていたのに、人の優しさが自分を自虐するための食材へと変わってしまう。
こんな僕でも生きてて良いんだろうか。
こんな僕も皆と同じ人間なんだろうか。
明日も同じ事を考えてしまうのだろうか。
そんな事を考え出してしまうと、いつも眠れないまま朝を迎える。
あぁ今日も朝日が昇ってしまった。
朝日が漏れ出すカーテンを開ける。
「学校、行くか…」
どうせ日常。 9月の月羊 @Kisinenryokunn
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