第23話 青龍、赤龍牧野に降臨

「周軍は10日後に黄河南岸封丘船着場に…集結する!見たこと無い大軍勢です…」

 西方の諸民族が殷王朝打倒のために立ち上がった。周本軍は、大軍勢となり封丘を目指す。


 報告を聞いた黄龍観主土黄は…顔を両手で覆った。しかし土黄は、正気を取り戻し邯鄲かんたん分観と殷墟分観に避難民を収容する様に命じた。

 また黒龍観主辰星も、漳河流域の分観に避難民を収容するように命じた。


 殷王紂王打倒!武王と呂尚が率いる周国軍の戦いが始まる。


 一方迎え撃つ殷の紂王は、中原の諸侯に次々と背かれ、殷王宮の近衛兵しか残っておらず、殷軍はとても周軍に勝ち目が無い。

 紂王は、傭兵をかき集めたがしかし傭兵は、殷王朝に対して忠義心は無く、旗色が悪くなると周軍に寝返られるのは明らか。


 そこで紂王は、中華圏華東港湾地域と中華圏南方長江中、下流域より民を強制徴兵した。

 ところが、強制徴兵した民たちの中に、東岳泰山青龍観と南岳衡山赤龍観の信者が大勢含まれていた。 


 その事が中華圏東方守護霊獣青龍と南方守護霊獣赤龍の逆鱗に触れた。

 「殷紂王は暗君です!」

 青龍は、キリン君に言った。

 「中華圏の安寧のためにね!」

 キリン君は、青龍と赤龍に微笑んだ。

「黄龍、殷紂王は我ら五龍を敵にしたな」

 赤龍は黄龍に言った。

 「白龍と黒龍に協力してもらい雨を止めてもらった、黄河は増水していない。

 ひと暴れしてくればよい」


 周本軍は封丘に集結した。

 武王と呂尚は、殷紂王討伐するため黄河北岸街道耆国駐留軍の指揮官丹に対して、章河流域殷墟軍用船着場へ移動令を命じる。

 武王は、殷紂王が殷墟より逃走しないように耆国駐留軍指揮官丹に対して章河流域の防備を命じた。

「殷軍を後方より攻める事が出来ます兄上」


 耆国駐留軍指揮官丹は、黄河北岸邑郡冀州魯邑軍、箪氏軍、諸氏軍、朱氏軍を率いて殷墟軍用船着場へ移動した。

 次の日、封丘周国本陣に殷墟軍用船場の耆国駐留軍の指揮官丹より配置に着いたと伝令が周国本陣に伝えて来た。

 武王と呂尚は、殷墟軍用船着場の耆国駐留軍指揮官丹に対して夜明けと共に殷墟に突撃命令を伝令に伝えた。


 そして武王と呂尚は、周本軍に命じた。

「明朝『牧野ぼくや』に移動する!」⒉

 周国武王は牧野で殷紂王と決戦に挑む。


 その頃

 五黄と葵、讃黄、思黄は豫洲鄭邑軍と唯、弐の無事の帰還を黄龍に祈った。

 智徳、魯邑軍と兄英、叔父創の無事を黒龍に祈った。また満堂と水月は箪氏軍と父の無事を黒龍に祈った。

 そして桃白と沢は、葛邑軍と父、兄の実の無事の帰還を白龍に祈った。

 「みんな大丈夫だ!」


 明朝、周本軍と冀州封丘軍は牧野に移動した。すると…

 殷軍は圧倒的な兵力で周本軍を待ち構えていた。しかし殷軍は、中華圏華東港湾地域と中華圏南方長江中、下流域より民を強制徴兵した兵士であり総大将紂王の命令通りに動きません。


 武王と呂尚はひるまず、周本軍は対峙した。⒊

 すると武王の耳元で

「発よ、大丈夫だ!」

 父文王の声を聞いた。

 武王が、文王の位牌を見ると輝いている。

「父上?」

 武王は、父文王が見守ってくれている事に気が付き勇気が出た。


 殷紂王は

「姫発の小僧、ひねり潰してやる!」

 とその時

「紂王よ!潰されるのはそなただ!」

 殷紂王の耳元で東方と南方より声が聞こえた。


 すると、東方より青い巨大な雲が牧野の上空に接近して来るのが見える。そして青い雲より青龍が顔を出す。青く光り輝く巨大な青龍が光球と共に牧野の戦場に降臨。


 また、南方より巨大な赤く火球が牧野の上空に接近して来る。巨大な火球より赤龍が顔を出す。赤く燃える火炎と共に巨大な赤龍が牧野の戦場に降臨。


 2頭の龍が牧野の戦場に降臨。周本軍と殷軍の兵全員がその場に平伏する。

 しかし周国武王と殷紂王は、戦場に立って2頭の龍を見つめている。


 殷紂王に向かって青龍が

「我は中華圏東方の守護霊獣青龍です。我の信者を取り返し来ました、さあ皆さん我

と共に故国に帰りましょう!」


 また殷紂王に向かって赤龍が

「我は中華圏南方の守護霊獣赤龍である。我の信者を取り返し来た、信者の皆の

者、我と共に故国に帰るぞ!」


 青龍の巨大な青い光球が、殷軍に接近して中華圏東方港湾地域より強制徴兵された兵たちを包み込み消えた。

 また、赤く燃える火炎と共に巨大な赤龍が、中華圏南方長江中、下流域より強制徴兵された兵たちを包み込み消えた。


 殷軍は、傭兵と近衛兵のみが残った。

 すると、傭兵は殷軍の近衛兵に対して攻撃を始めた。


 武王は見逃さない。

「全軍進め!殷紂王の首を取れ!」

 豫洲鄭邑軍は唯、弐また蔡氏軍、羅氏軍は、中華圏安寧と新しい時代の到来を信じて進軍する。

 また隴西地域の葛邑軍、雍州将氏軍そして羌族(きょう)、密国の遊牧民族、梁洲巴蜀の人々は中華圏西方の発展と新しい時代の到来を信じて進軍する。


 その頃、章河流域殷墟軍用船着場、耆国駐留軍指揮官丹は、黄河北岸邑郡の諸侯に対して殷墟に進軍を命じた。

「殷墟に向かって進軍せよ!」

 黄河北岸邑郡冀州魯邑軍は、殷虚に進軍する。

 魯邑軍の指揮官英、叔父創、箪氏軍、諸氏軍、朱氏軍は、中華圏安寧と新しい時代の到来を信じて進軍する。


 殷紂王は、殷墟に戻ろうとしたが既に殷虚は周軍に占拠されている。

 紂王は逃げ場を失い離宮鹿台に逃げ込み、『楼閣に火を放ち焼死した。』⒈

 

 こうして周国の武王は、牧野で殷紂王と戦い殷王朝滅ぼし勝利した。


 殷虚を包囲した武王は、殷王朝が祀る「天の社」に礼拝した。⒊

 呂尚、丹、姞克そして中原、西方の諸侯は武王に従った。


「殷紂王は天を背き政治を怠り、民を水害で苦しめ、さらに殷紂王は、五つ徳目

 を軽んじた。よって周国の姫発武王と諸侯は、殷紂王を討った」⒈

 武王は天に報告を行った。

 こうして、周国武王は『天人相関説』によって、『天命』を受けて中華圏を治める『天子』となり周王朝を建て武王となった。⒈⒋⒌⒍


 周王武王を五色の五頭の龍が見つめている。


 第一部完 

 五龍の導師シルクロード戦記 第2部  

 西方オリエント世界と五龍の東方中華圏

 アケメネス朝ペルシア帝国の脅威

 https://kakuyomu.jp/works/16817330668977826741


 2024年6月末 公開予定 これから書きま~す…水守悟

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