第22話 周国武王起つ牧野の戦い

  

 

 紀元前11世紀中頃、殷王朝終末期。巨星墜つ。西方の王者周国姫昌死す。

 しかし姫昌は、殷虚に侵攻する決断を行わなかった。

 周国と中華圏の行く末を次世代の発に託された。


 豫洲中岳嵩山黄龍観の本堂。

 観主土黄は、執務室で黄龍観担当周国官吏と冀州、封丘駐留軍指揮官、姞克と話し合っています。

「章河流域を軍事拠点化することは断じて認めません!」

「ハイ…」官吏は冷や汗でいっぱいです。

「我ら五龍観の治山治水の技術指導は、五龍様のお告げによって中華圏の民のため

 信者のために使命を実行しているのです!」

「ハイ…」

 周国の官吏はそこだけ素直です…

「船着場は周軍が軍事利用するのは禁止します!我ら五龍観は一切周軍に手を貸す

 つもりはありません!」

 黄龍観主土黄は、冀州、封丘駐留軍の指揮官、姞克に向かって毅然として言い放った。

 姞克は、ぶ然として黙って席を立った。

 黄龍観担当周国官吏は、冷や汗でいっぱいです。


 黄龍観主土黄は、頓挫している章河流域の治山治水事業を再開するつもりあるか

 周国姫発殿に伺いたいと官吏に伝えた。

「仰せの通り申し伝えます…」

 黄龍観担当、周国官吏は半泣きです。


 白龍観太白観主、黄龍観土黄観主、黒龍観辰星観主は対策をテレパシーで協議しました。

 この軍事危機に対して、大規模な戦いが殷墟周辺行われるという認識を確認した。

 また観主辰星は、北岳恒山黒龍観に耆国駐留軍の指揮官丹が官吏と共に訪れた。

 その時、丹は、章河流域の船着場を軍事拠点化する提案をした。

 観主辰星は断固拒否した。

 それは黒龍様の治山治水お告げの使命に反する事だと、観主辰星は指揮官丹に言い放った。

 しかし、たとえ章河流域の治山治水事業が周国によって再開しても、周軍は章河流域の軍事船着場を造成すると思われる。


 白龍観主太白、黄龍観主黄、黒龍観主辰星は、周軍と殷軍の軍事衝突は起きるという認識で一致した。

 五龍観は、戦禍から逃れて来る避難民を受け入れる事を観主たちは確認しました。


 後日、黄龍観担当周国官吏は、嵩山黄龍観主土黄に対して周国姫発は、章河流域の治山治水事業の再開を約束した。

 しかし官吏は、恐れながら周軍の船着場は周軍が造成する条件を提示した。

 黄龍観主土黄と三河川治水治山職工集団 大頭 寿黄導師は、この条件を治山治水のお告げ使命の実行するため苦渋の選択で認めた。


 周国による章河流域治山治水事業が再開され、黒龍観と黄龍観が技術指導を行った。冀州、封丘駐留軍、指揮官。姞克は、章河流域に軍事船着場を次々造成していった。

 姞克は、殷墟にも軍事船着場を造成した。しかし殷軍の抵抗は無かった。


 それから数年後、『武王は文王の位牌持ち』「殷墟侵攻作戦」を決行した。⒈

 武王と呂尚は、殷墟向け周本軍を洛邑に進軍の命を発した。 

 武王は、西岳崋山白龍観を参詣した。

 白龍観主太白と白龍観の関係者が武王を見守っていた。武王は、中華圏西方を守護する白龍と白虎に洛邑に進軍する礼拝を行いました。すると武王の耳元で白龍の声が聞こえてきた。 

 「西方の王武王、洛邑に行っても良いが黄河を下る時は中華圏中央を守護する

  黄龍に聞くがよい」

 武王は周本軍を洛邑に進軍させた。

 武王は、中岳嵩山黄龍観を参詣して中央を守護する黄龍と麒麟に礼拝を行いました。

 すると武王の耳元で、黄龍の声が聞こえてきます。

 「西方の覇者武王、黄河を下ってはならん!」

 武王は『時期尚早』と言い黄龍に従い周本軍を引き上げさせた。⒈


 その中岳嵩山、黄龍観の参道を黄龍が人の姿で下りて来た。

 山門の屋根にはキリン君が座っています。

 黄龍に気が付きキリン君が降りてきた。

 「どうしたの?黄龍?」

 「人間たちが騒がしい…」 

 「人間たちの政治に我らが介入してはいけないよ!」

 とキリン君は黄龍を気遣い言いました。

「今度はそうは言っていられない…」

 黄龍は確実に中原が戦場となり、大規模な戦いとなると判断している。

「そうかい、じゃあ我に良い考えがあるよ!」

 キリン君が黄龍に微笑んだ。


 さらに数年が過ぎ、殷の紂王の傍若無人の振る舞いは酷くなっていた。

『殷王宮の役人と王族が周国に助けを求めて来たのです。』⒈

 中原の諸侯、領主の間には「武王決起待望論」が流布されていった。


 そして武王はついに決起する。


 武王と呂尚は、「殷紂王討伐」するため黄河北岸街道耆国駐留軍の指揮官丹に対して、黄河南岸封丘船着場の冀州封丘駐留軍と合流し集結を命じる。


 また武王と呂尚は、中原の諸侯、領主に黄河南岸封丘船着場と合流し集結を命じる。

 黄河北岸邑郡、冀州魯邑の魯氏英と副官の叔父魯氏創は、魯邑軍を率いて出陣。

 黄河南岸邑郡、豫洲鄭邑の鄭氏唯と弐は、鄭邑軍を率いて出陣。

 また黄河北岸、南岸諸侯、領主も軍を率いて出陣し黄河南岸封丘船着場を目指した。


 そして武王と呂尚は、周本軍に中華圏西方洛邑孟津もうしんに周軍船着場に集結を命じる。


 周本軍に、隴西地域の葛邑軍の領主葛氏と実も葛邑軍を率いて出陣した。葛邑軍は雍州将氏軍と合流し、周国本軍洛邑を目指して進軍した。

 そして『西羌族せいきょう族、密国の遊牧民族、また巴蜀の人々そして西方の諸民族が周本軍に加わった』。周本軍は大軍勢となった。1


 武王は、西岳崋山白龍観と中岳嵩山黄龍観を参詣した。しかし武王には白龍と黄龍の声が聞こえない。

 武王と呂尚は、周本軍に中華圏西方洛邑孟津もうしん周軍船着場に集結を命じた。これは殷の紂王を討つための最終準備だった。


 武王と呂尚は、ひるまず大軍勢とのなった周本軍を洛邑孟津もうしん周軍船着場より、周本軍が黄河を次々と封丘船着場の冀州封丘駐留軍に合流していった。


 武王は不思議に思った。

 春も近いのに関わらず、黄河下流域は増水していないのだ。


 黄龍斟群しんぐん分観の讃黄と思黄が、洛邑で周軍の動向を探索していた。

 2人は大軍勢となった周本軍が、東進すると判断した。

 2人はテレパシーで黄龍観主土黄と黒龍観主辰星に、洛邑の緊迫した状況を伝えた。

 「周軍は10日後に黄河南岸封丘船着場に…集結する!


 第23話 青龍、赤龍,牧野に降臨 つづく


 本文の『』は引用

 文末の数字は解説と引用

 第22,23話解説と引用を参照

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