第11話 葛氏山桃と沢の旅立ち
ここは中華圏西方隴西地域、渭河上流域の隴西船着場、そこに葛氏山桃と沢、そして白龍治水治山職工集団棟梁
見送りに父の葛氏、棟梁江氏が来ています。
葛氏は、山桃と沢に、西岳崋山船着場から東へ向かうと黄河に着くそこに関所がある。その関所が中原であり、黄河南岸船着場から中岳嵩山船着場を目指す様にと言い付けた。⒈
そして葛氏は山桃と沢に通行許可書の木簡を渡した。
「2人ともこの木簡を絶対失うな!」
「ハイ父上」
「分かりました、だんな様」
棟梁江氏は、息子2人に黄河中、下流域の治水現場へ何度も行った事があるから、葛氏のお嬢様と従者の沢を無事に中岳嵩山まで案内する様に言い付けた。
渭河客船が到着し山桃と沢江氏汰、湧が乗船し渭河下流域の西岳華山船着場を目指します。
「行って来ます、父上!」
「行って来ます、だんな様!」
「行って来ます、父さん!」
「みんな体に気を付けるのだぞ」
山桃と沢そして棟梁江氏の息子2人が、故郷の隴西地域を旅立ちました。
白龍のお告げによって、雍州においては黄河上、中流域と渭河とその周辺の山々。
梁州おいては長江上流域の支流である閬水(ろうすい現在の嘉陵江(かりょうこう)と漢江(かんこう)の上、中流域の周辺の山々に集中して治山治水事業が始まります。
とはいえ、隴西地域は郷村です。
中原に近い雍州は、長距離交易商人が集まりに活発です。
数日後の朝、渭河客船は、イカリを下ろし雍州豊邑船着場に接岸待ちをしている。
山桃と沢そして江氏の息子2人は、朝起きて甲板に出ると、見たことが無い光景が渭河南岸に広がっている。
「何ここ…こんなの見た事が無い…」
驚く山桃。雍州『豊邑』の隣にそれより大きい『私設雍州豊邑交易所』が渭河南岸に広がっていた。⒉⒊
「梁宗家のだんな様と、その仲間のだんな衆が造った私設交易所ですよ」
江氏汰、湧が、去年この客専用と荷物専用船着場を補修拡張した。
渭河南岸の荷物専用船着場では、貨物船より荷物を下ろし、検品する倉庫管理人が大勢いて忙しそうに動き回っている。
検品した荷物を牛馬の荷車、背負子人夫などが大勢いて、倉庫群に物品を入庫し、また出庫して忙しそうに動き回っている。
長距離交易商会梁州、梁氏宋家当主は白龍によって不老不死の身体を獲得し白龍の従順な使者です。
五龍観の信者が生産する交易品を、梁氏宋家当主は原料の調達、企画、製造、販売、物流一貫体制を構築し黄河、長江、淮河の物流を掌握する。
そして、中華圏の交易の主導権を執るために、梁氏当主と白龍観献納信者の仲間の豪商たちは、私設雍州豊邑交易所を拡張した。
「夏の交易が始まったようです」
沢が指差す方向に『渭河南岸街道』沿い広場があり午前中の取引待ちの『キャラバン』が待機している。⒋⒌
沢は、以前父の
山桃は、人や牛馬の荷車が活発に動き、躍動する交易所に圧倒されている。
やがて、4人が乗船した渭河客船はイカリを上げ雍州豊邑船着場に接岸する。
山桃一行は、下船して朝食と日用品を買い込むため、交易所に併設する飲食店と市場に向かいます。
「葛氏山桃さんと沢さんですよね?」
「はい」
声を掛けられた山桃と沢が振り返ると、白い絹織物の道服を着て、ヒスイのネックレスと両手首にヒスイのブレスレットを付けた商人が立っている。
「梁宗家のだんな様!」
江氏汰、湧が、梁氏宋家当主に深々頭を下げた。梁氏宋家当主は、山桃一行を雍州豊邑船着場で待っていた。
第12話 嵩山黄龍観の山門にて つづく
本文の『』は引用
文末の数字は解説と引用
第11話解説と引用を参照
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