五龍の導師 シルクロード戦記 第１部 五龍と中華圏 ユーラシア大陸東方中華圏では

第１部 解説 五龍と中華圏 ユーラシア大陸東方中華圏では

　昔々のユーラシア大陸東方の黄河、淮河（わいが）、長江流域の人々は、暦を作り季節を知り、三つの大河より水を誘導して灌漑を行い、適切な時期に農耕を行って生活していた。

　彼らは、三つの大河の水の恩恵を受け、知恵を養った、同時に大雨や日照りなどの自然の厳しさにも直面していた。

　そんな中でも、彼らは生き残るために堤防を築き、自然を制御するため『治山治水技術を発展のさせた。』　⒈

　黄河流域の人々は、自然に翻弄されながらも、自然に対する畏怖の念と崇敬の精神を持っていった。彼らは自然の摂理を天、地、海の神と呼んだ。

　天、地、海の神よりユーラシアにおいて、東方アジア地域の水循環の司る任務を与えられたのが五色の五頭の『霊獣五龍』です。⒉

　中華圏の人々は天、地、海の神に翻弄されながら生きている。彼らは天、地、海の神の祈り場を作りますそれが社（やしろ）です。

　そして中華圏の人々は、五色の五頭の龍の祈り場を作りますそれが通称五龍観です。

「どうか洪水を止めてください、龍様」

「どうか雨を降らせてください、龍様」

　霊獣龍を礼拝する人々は、中華圏の霊山である『五岳』に五色の五頭の龍の道勧を建立（こんりゅう）し、五龍を崇敬するようになる。　⒊

　信者たちは、五岳の道勧だけでなく、自らの都市国家邑（ゆう）にも分観を建立し、五色の龍の木像を献納していきます。

　これら霊獣龍を礼拝する道観を、信者たちは五龍観と呼んだ。これは霊獣龍を、礼拝する信者たちが名付けた愛称が五龍観です。

　この物語に登場する龍は、水、雲、雷、風を自在に操る霊力を有している。龍はエネルギーが最大の場合、スーパー台風に似た存在で猛烈な威力で全てを破壊する。その姿は巨大で、暴風雨域を引き連れ、その中心に龍が存在している。

　また竜巻の場合はさらに猛烈な力を持つ。竜巻の場合は、局地的に発生し全てを破壊する威力。龍は、自らの身体を変幻自在に操る霊力を持つ。

　霊獣龍は東シナ海、南シナ海、インド洋、太平洋地域の水循環の摂理を司る。

　導師は「天、地、海は水で繋がり循環している。それが天、地、海の神との約束であり大いなる自然の摂理」と説く。

　ではこの物語に登場する五色の五頭の龍を紹介する。

　黄河下流域、淮河流域『中岳　嵩山（すうざん）』黄龍観

『黄河下流域、淮河流域』の治山治水の技術指導を担当する黄龍観。　⒈⒉⒊

　黄龍観には、黄龍廟があり中華圏中央を守護する霊獣黄龍の木像が祀っている。

　黄龍は五龍のリーダー。黄龍の徳目は『信』。　⒋

　五頭の五色の龍は水雲雷風を自在に操る霊力を有している。

黄龍は大地を自在に操り地震を引き起こす霊力に特化している。

　また黄龍観の象徴である麒麟廟（きりんびょう）があり『五獣麒麟』の木像を祀る。⒌

　麒麟廟には、なぜかキリン君と名乗る子どもの霊が取りついている。

キリン君は、いつも黄龍観の山門の屋根に座って黄龍観の来訪者を観察している。

でもキリン君は黄龍観主に適切な助言をする。

　黄河中流、下流域『北岳　恒山（こうざん）』黒龍観　

『黄河中流、下流域』の治山治水の技術指導を担当する黒龍観。　⒈⒉⒊

　北岳恒山黒龍観には、黒龍廟に中華圏北方を守護する霊獣黒龍の木像が祀っている。

　五色の龍は、水雲雷風を自在に操る霊力を有している。黒龍、はその霊力と水を自在に操る霊力に特化していて洪水、津波を引き起こす。

『黒龍は新月の夜に姿を現す』。黒龍の徳目『智』。　⒋

　また黒龍観の象徴玄武廟（げんぶびょう）がある。北方を守護する『五獣玄武』の木像が祀られている。玄武は勇敢で黒龍に従順です。そして玄武は黒龍観と導師を守護する。⒌

　紀元前11世紀初頭殷王朝時代末期、中華圏の政治、経済、文化の中心である中原。ユーラシア大陸中華圏の中心に住む華夏（かか）族は、オリエント世界の交易品で特に玉（ぎょく）と呼ばれる半透明の緑色に光る希少な宝石ヒスイの魅力に取り憑かれている。⒍

　物語では、中原に住む幼馴染の2人が、黄龍の導きによって天性のセンス才気と知恵を認められ、黄龍観の学問所に出家し黄龍観分観の駐在修行者となります。

　やがて2人は、黄龍観の導師となりリーダーとして冀州（きしゅう）黒龍観の導師と雍州（ようしゅう）白龍観の導師と共に黄河上、中、下流域の治山治水の技術指導を共同で行う。

　それは毎年繰り返される黄河、淮河、長江とその支流の氾濫が起きるからです。導師たちは、中原に住む華夏族の人々に洪水によって引き起こる辛苦から救うために治山治水を行う。

　また導師たちは、中華圏の交易品である絹（シルク）の絹織物の安定生産を目指すために、生糸の原料である生糸を生産する養蚕農家が、蚕餌桑畑を拡大し、耕作地を保全することが必要なでのす。

『豫州』黄龍観、『冀州』黒龍観、『雍州（ようしゅう）』白龍観の導師たちは治山治水の技術指導を修行と称し領主、地主、農民と共に行う。⒎

　この物語では、霊獣五龍は、信者に五龍観を建立してもらい、中華圏において影響力を保持している。そして五龍は中華圏に『五つの徳目、仁、義、礼、智、信』によって秩序ある国を勃興させる目的がある。

　しかし五龍と導師に対抗する勢力が存在している。『利己主義と暴悪の強大な敵、蚩尤（しゆう）81人の兄弟魔神、饕餮衆（とうてつ）』です。　⒏⒐

　饕餮衆は北方に本拠の城を持っている。中華圏の東方、南方、西方に出城があり思うがまま中華圏で暴れまくっている。そしていつか中原に進出することを夢見ている。

　霊獣五龍と導師とって、利己主義と暴悪の強大な敵である蚩尤 81人兄弟魔神の「饕餮衆北方本軍」この敵に対して、北方を守護する黒龍と黒龍観の導師はどのように立ち向かうのでしょうか？

第１部　解説　②　五頭の五色の龍と名もない者たち 　つづく

本文の『』は引用

文末の数字は解説と引用

第一話解説と引用を参照