第21話 作物を売りに街へ行こう
「さて、アルト君。今日は楽しい楽しい会議の日だよ!」
「ミゲルさん、本当に楽しそうですね……」
俺はミゲルと共に、リリーボレアにやってきていた。
今は、交易ギルド近くにある喫茶店の個室で打ち合わせという名の、雑談を行っていたのだが、
「どうしたんだいアルト君。そんな難しい顔をして」
「いやまあ、単純に、俺がここで、何をしていいか分からないので、不安でして」
割と勢いでここまで来てしまったが、特に何の方針も決まっていないのだ。
あまりに心がふわふわしているので、馬車の中では落ち着くために膝の上でくつろいでいた犬状態のシアを撫でまくるレベルだ。
「私は別にこのまま撫でられ続けるのは悪くないけどねー」
シアは、などと言ってもふらせてくれていて、優しい事ではあるが。今は、街の中故、人の姿になっている。
「この街のお菓子も中々美味しいわねえー」
と、美味しそうに喫茶店のお菓子を食べている。その姿を見ると、少しほっこりするので、これまた不安対策にはなる、とは思いつつ、
「とりあえず、今は頭がこんがらがっている状態です」
そんな風に思っていると、ミゲルは、首を横に振った。
「大丈夫大丈夫。私に任せておけば何も問題ないさ。というか、別に、アルト君は、会議に出なくてもいいんだしね」
「そうなんですか?」
「そうだとも。トマトを幾らで売るだとか、相場は幾らだとか、そういったことは私に投げてしまえばいいんだ。情報収集が目的なのであれば、私が役員どもの持ってる情報を上手い事聞き出すし。それ以外だったら、受付経由で、色々聞いてもいいんだしね」
なるほど。確かに、金額の交渉などを考えるよりも、情報収集という目的に集中したほうが、効率も良さそうだ。
「そうしたほうが、良いかもしれませんね」
交渉は勉強してはいるものの、未だ不慣れだし。今後の為に、ミゲルのやり取りを見ておくのも良いかもしれないが、
……それよりも今は、このトマトの種がどうなっているのか、の方が知りたいしな。
俺は傍らに置かれた木箱を見る。中には、大きなトマトが15個ほど入っている。
これらを使い切ってしまっても、倉庫に貯蔵してある種は幾つかあるのだが、それでも幾つか、だ。
定期的な収穫を狙えるほど、数はそろってない。
それ故に、まずは情報だ、と頭を切り替える。
「ありがとうございます、ミゲルさん。とりあえず、方針は固まりました」
「ふふ、力に成れたのであれば幸いだ。――さて、そろそろ交易ギルドに向かうが、今のうちに、木箱から、5個ほどを貰えるかい? こっちのケースに収めるからさ」
ミゲルが見せてきたのは、鍵付きの木箱だ。中にはクッションが仕込まれており、柔らかいものを包める仕組みになっている。
「全部売らないんですか?」
「最初に全部を見せてしまうと、ちょっと勿体なくてね。希少性は価値になる。……とりあえず、この後、ギルドに行くから、見ていてほしいな!」
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