第5話廃墟の秘密


ここに何があるの?

ここは、ゴミが散乱して、辺りは闇夜に染まっている。


幽霊が出るらしい。


病院だったであろうこの場所は、最早完全な廃墟だ。


やだ~帰る。


1人で?


一緒に。

そうでなければ歩きで帰らなければならない。そんな恐ろしい事は私には出来ない。



俺はまだ帰らないよ?


意地悪な男だと感じた。


じゃあいる。


まぁそんなもん出るわけねえって。


でも…


そんなもん…まぁその幽霊見てーんだけどね。


あれ?

何あれ?


あれは…人影だな。



誰かいるの?


おーい返事しろよ。


柱に巨大な影が虚に現れている。


辞めなよ。怖い、早く帰りたい。


俺人影のとこ行く。


彼は導かれるように、その場所に行った。そこに人が居ると確信していたからだ。


あれ?

誰もいねーぞ。辺りを見回し、少し肌寒さを感じた俺は、明美のいる場所に戻った。


おい?

明美?

どこ行った?


彼女は何処にもいなかった。


1人で帰るわけもない。


神隠しの様に忽然と消えたのだ。

…マジかよ。


どうなってやがる。


車にもしかしたら戻ったか?


明美のやつ、脅かしやがって。


俺は車のところに戻って行った。


しかしそこに車は無かった。


なんだよ!

明美俺の車で帰りやがったな。


くっそどうすりゃいい?


そうだ!

思いついた様に明美のスマホに連絡を入れた。


しかし出ない。

いや、それより気になったのは…廃墟から明美の着信音が聞こえる。


明美の好きな音楽…まさかまだ廃墟にいる?


じゃあ車は誰が?


とりあえず着信音のする方向に向かって行った。


明美ー明美ちゃんいるー?


怒ってないから出ておいで。


私ここ…ここにいるよ?


なんだよ明美そこに居たのか。


三角座りしている彼女を見つけた。


おい明美、こっち向けって。


…死んでる。


明美は、干からびて、まるでミイラになった様に死んでいた。


うわぁー俺は大声で悲鳴をあげた。

明美が…俺の大事な明美が殺されてた。


一目散に廃墟から逃げた、俺はスマホで警察に助けを求めた。


すみません、彼女が誰かに殺されました!

俺も殺されそうです。助けて下さいお願いします。


そう言うと、私なら生きて…るよ。


スマホからだと思っていたが、違った。

違うところから声が聞こえた。


だが俺は恐怖でスマホから目を離したく無かった。だがそのスマホは圏外になっていた。


俺は恐ろしさで赤ん坊の様に泣き喚いた。


しばらくすると、車の走る音が聞こえてきた。


その車のヘッドライトが俺に当たった。

避ける暇もなかったが、その車は俺の目の前に止まった。


俺の車じゃないか、おい!

どんどんと車の窓を叩き、開けろ!

と中にいるやつに言った。


ウインドウガラスが徐々に下がっていった。


俺は開けろと言った事を後悔した。


それはさっき見た明美のミイラだった。


ごめんごめん。驚いた?

明美は顔に手を当て、これミイラのマスク。

あはは、めっちゃビビってやんの。


殺すぞと俺は笑って言った。


俺は文句を言いながら助手席に乗った。


車が進んだ時、ふと思い出した。


あれ?

なんでスマホ圏外だったんだろ?


明美が笑って答えた。


そりゃそうだよ。天国じゃあ、電波届かない…よ。

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