/// 43.魔人現る

数々の難題をクリアして、遂に到達した最下層。そこには厳(いか)つい門があったんだモン!


どうしてそうなる・・・



クッソ面白くないダジャレにも負けず、気を取り直して最下層の門を開けたサイコ。そこには豪華な金の詩集のどでかい椅子と、それに足を汲んで座る黒光りの屈強な肉体を持った全裸の男が居た・・・


頭には二本のデカイ角が厳(いか)つい・・・そしてそいつはゆっくりと立ち上がる・・・


『よく来たな勇者よ!安心してくれ・・・履いてマスカラ!!!』


その男?は黒いブーメランパンツをはいていた。白目を剥きそうになったのをなんとか気力で我慢したサイコをほめてあげてほしい。


+ンデオ・ワール

種族 魔人族 / 年齢 9694 / 性別 ♂

LV 9999m

力 999999

守 999999

知 999999

速 999999

スキル 詳細鑑定(999) 言語疎通(999999) 限界突破(999999)

加護 女神の加護(真)


(今の一発ギャグはおいといて・・・おかしい・・・明らかにステータスがおかしい・・・俺だって近い数値を保っている。が、ステータスは10分の1程度しかない・・・あれが魔人族の特性なのか・・・かなうわけがない・・・逃げ道は?帰還用の札は?ボス部屋は効果なしとかあるのか?)


この場からの離脱を考えていたサイコの思いむなしく、その魔人、ンデオ・ワールの体が一瞬ブレたと思ったらすでにサイコの目の前に存在していた。


「ひっ(危険察知なにしてる!!!)」


『うけないもんだねー。もうかれこれ数千年は誰もこないから、せっかく考えていた渾身のネタだったのに・・・滑っちゃった恥ずかしいねー』


「あ、履いてマスカラはかなり古いです・・・」


尻餅をついていたサイコに『滑っちゃったと』のたまう魔人に普通に古いと返してしまった。「ん?」ここでサイコは思い当たる。


(女神の加護もちじゃん・・・そしてこの逆、手にはマスカラとマラカス・・・転生者じゃね?)


「あの、天武最強(テンブサイコ) っていいます。元日本人です」


『おーーー!わかってたよー加護あるもんねーでも古いってこれ転生前の世界の逆をインスパイヤしたのだけど?何年からきたの?俺2015年に死んで転生した元おっさん。もうすぐ1万年ぐらいここにいるけどー』


「俺が死んだの2022年です・・・まだその人テレビでてます。そのネタやってないけど・・・」


どうやら転生した時期と転生先の時期にはずれがあるようだ・・・ありがちだが・・・


『なるほどなるほどーーこのネタ知ってる世代かーーじゃあ受けないよね!』


そいうと魔人は手に持ったものを後ろに放り投げた。


『よっし!じゃあ戦う?帰る?』


「帰れるなら・・・」


明るい魔人の言葉にあっけにとられながらも返答してみたサイコ。


『じゃあさ。あとで送ってあげるから少し話しよっか。人恋しい年ごろなのよねー1万年ぐらいたつしー』


「はあ・・・」


魔人の提案に渋々了承する。断ったら死ぬよね?


『じゃあさー、まだAKM41っている?あれ好きだったんだよねー』


「あーAKM(あんころもっち)49(しじゅうく)いますよ。年末にはAKM(あんころもっち)50(ごじゅう)で節目のライブやるみたいですし」


『そうなんだーみたいなーライブーそれもこれもあのクソ女神のせいでこんな何もないところに何千年も閉じ込めやがって!!!くっそーー!』


その魔人は子供のように地団駄を踏んで怒り出した。


「あの、ンデオさん?ワールさん?は、女神嫌いですか?」


『あーと、ヒデオでいいよー。勇者に女神嫌いとか言ったら怒るよねーめんごめんご』


両手を前に合わせて謝ってくる魔人に(この人リアクション古いな)と思ってしまうサイコ。


「いえ、私も女神をぶんなぐってやろうと思ってここまで執念で潜ってくたんです!」


そう拳を胸の前に突き出す力をこめる。


『マジでー!いいねいいね!ぶん殴るついでにぶっ殺しちゃおうよ!あのクソ女神、あなたが駄目神でっかーって言ったらブチ切れやがったからね』


そういってサイコの握った拳を握る魔人。それはしょうがないのではと思ったものの、若干生温かい友情が芽生え『クソ女神被害者の会』が結成され最強戦力が仲間になった瞬間である。


『まあ俺はここから動けない存在なんだけどね、てへっ』


舌を出し片手で頭をこつんとする往年のポーズの魔人をみて「やっぱダメかも」と思ってしまった。とは言え、自分よりは多少女神について知っていそうな存在に、話を聞く価値はあるだろう。これはもう作戦会議をするしかない。そう思った。



+ンデオ・ワール

種族 魔人族 / 年齢 9694 / 性別 ♂

最下層の番人であり転生者 女神の最初の被害者を自称

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