最後の魔女 ~Last・Witch~

安藤ユアム

第1話 最後の魔女

それは 古いヨーロッパの俗信で、超自然的な力で人畜に害を及ぼす人間、または妖術を行使する者のこと。

これは現代を生きる最後の魔女の物語...


小読市こよみし

時刻は午前9時、ビルの屋上に座り分厚い本を読む黒いキャスケットを被る少女。

そんな彼女の元に一匹の蝙蝠が飛んでくる。

「キー! キューキュー!!」

「...見つけたんだね...ありがとう 案内してくれる?」

「キー♪」 蝙蝠が彼女の手から飛びたつ。

彼女は自分のメッセンジャーバックに本を入れ、バックから手を出すと彼女の手にはかわりに箒が握られていた。

彼女が箒に乗ると、その箒は宙に浮き蝙蝠の後に続いた。



~小読銀行~

銀行の周りを包囲するパトカーの大群。

「てめえらぁぁ! 動くんじゃねぇぞ!! 動いたらこいつらは全員ぶっ殺す!!」

この銀行には今 銀行強盗が入っていて、犯人は人質を盾に立て籠っている。

この状況に警察 現場を指揮している刑事達すらも頭を抱えていた。

「このままではダメだな...やはり強行突破しか...」

その言葉に若い刑事『本田 啓太』は

「諦めちゃダメですよ! 何か他に方法があるはず!」

「しかし...」

彼はしばらく考えた後、

「もう...やるしかない! 強行突破だ!!」

彼は現場にそう指示を出した。

そして警察達は銀行への接近を開始した。


接近を開始した警察を見て、犯人『馬場 慎二』は慌てた様子で人質を掴み、銃口を向ける

その瞬間警察が銀行内に入ってくる。

「てめえら! 動くなっつんだろ!!」

警官達は馬場の脅しに怯むことなく、銃口を向けるしかし人質のせいで発砲はできない。

「へへへ...撃てねぇかぁ? そーだよなぁ!!」

馬場はニヤリと笑い、何かひらめいた様な様子だ。

「そーだ! こーゆー時にを使えばいいんだよなぁ!!」

馬場の指に着けている指輪が発光する。


『キキキ...キャハハハハハ!!』

その指輪から角と羽の生えた子供を数人出現する。

「なっ...なんだ? 子供?」

その子供達は手を警官達に向ける、するとその手の先に魔法陣が出現し、その魔法陣から小石が弾丸のように射出された。

「何!? なんだこれ!? 痛てっ!!痛てっ!!」

「頼んだぜぇ~ お前ら♪」

身動きがとれない警官の横を通り、人質といっしょにパトカーに乗り込み逃げ出した。

パトカーが現場から離れると、子供達は消滅した。

「なんだったんだ? ...追いかけないと!」

警官達もパトカーに乗り込み、馬場を追いかける。


小読市を馬場が乗ったパトカーが爆走する。

「んあ? しつけぇなぁ...またアイツらを...ダメだ...さすがに...」

馬場が指輪を見ながら、そう言っていると パトカーの上から声がした。

大地障壁ランド・ウォール

パトカーの前に壁が出現する。

「うおっ!? 危ねっ!?」


馬場が人質と共にパトカーからでてくる。

「なんなんだぁ? あの壁はよぉ...」

「出てきた...」

パトカーの上には帽子を被った少女が立っていた。

「なんだぁ? てめぇ!警察の仲間かぁ!?」

「違います...でも 貴方の敵... 貴方 悪魔と契約してるんですよね?」

「オメェ 何で知ってんだぁ? ...しょうがねぇ...」


馬場の指輪が発光する。

そして魔法陣から角と羽の子供達が出現する。

『キキキ...』 『キャハハ...』

小悪魔インプ...しかもあの指輪...魔導具だ...」

「ヤッチマエぇぇぇぇぇ!!」

『キキーー!!』

小悪魔達が一斉に少女に飛びかかる。

火炎障壁フレイム・ウォール...」

少女がそう唱えると、少女の周りに炎の壁が出現し触れた小悪魔が燃え尽きる。

『『ギャー... ギャー...』』

「...んな!? バカなぁ!?」


「さぁ...その指輪を渡してください...」

「イヤだぁ! イヤだぁ! こいつは渡さねぇ!!」

馬場が叫ぶと、指輪が紫色の光を放った。

『ナラバ...ワカルナ? ニンゲン...』

指輪から黒い煙が出て、馬場の身体を包む。

煙から出てきた馬場の姿は山羊の頭をした上裸の男になっていた。

『グギギギギギ...コロスゥゥ...』

悪魔デーモン... 面倒ですね...」


山羊男になったタイミングで警察が到着した。

「なんだ!? あれ... ん? 何であんなところに女の子が...」


馬場がパンチやキックを放つが少女は軽く避ける。

少女は馬場の顔の前で手を出して、

火炎球ファイア・ボール...」

少女の手の前に魔方陣が出現し、そこから炎の球が射出される

『アチャチャ!! コンノォォォ!!』

馬場は反撃するが少女には全然当たらない。

「火炎球...火炎球...火炎球...」

馬場の攻撃を避けながら少女は火炎球を放ち続ける。

『クソッ! クソッ! クソッ! アタンネェ!!』

「終わりです! 火炎球!!」

少女はさっきよりも大きな火炎球を射出した。

『ヌアァァァァァァ...!!』

馬場は火炎球を受け、元の姿に戻った。

パリン...

その瞬間 馬場の指輪が砕けた。


「ふぅ...終わった... 最近多いな 小悪魔の指輪...」

少女がバックから箒を出して乗った時、

「ちょっと! 君!」

本田が少女を呼び止める。


本田は少女に質問を投げ掛ける。

「君がさっきの奴を倒したのか?」

「はい そうですけど...」

「どうやって飛んでるの?」

「魔法で...」

「君は何者なんだ?」

... 現代を生きる最後の魔女...」

そう言うと、彼女は飛んで行ってしまった。

「アリス...魔女...かぁ...」



…続く…

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