062 【過去編5歳】うん。 かってぇ!



今回は少し残酷描写があります。




 ボス対応のために師匠の魔力は温存。


 サーチもザコ処理も全部俺がやる。


 うん、いい練習になってる。



「―――――――――!!」


 はいはい、うるさいよ。


 モンスターの悲鳴なんて聞いててもつまんねぇ。


 今使ってるのは師匠がくれた剣。


 ショートソードなんだけど5歳の俺にはでかいよ…


 まぁ、短剣だと短くて扱いにくいからこれでいいけどさ…



 こいつで32匹目。


 だいたいわかってきた。


 関節は人間とほぼ同じだから関節を狙えば割と簡単に手足は外せる。


 腹には内臓があるみたいで腹筋さえ貫ければいい感じに急所だな。


 他にも、首、眼球、口なんかも狙えば殺しやすい。


 脳や脊髄なんて概念がモンスターにもあるんだねぇ。



「お… おい… なんでお前は剣で戦ってるんだ…?」


「え? いい機会だから練習してるだけだよ。

 魔術で倒せることはわかってるから他の方法ではどれだけ手間がかかるか確認しとくといいかなって。」


「手間… 今のオークは一応オークナイトだぞ…?

 物理攻撃と防御がそれなりに高くてここの個体はBランク相当になるはずだ…」


「うん? だから実験してるんだよ。

 急所とか欠損させやすい弱い部位をみつけておけばもっと強い個体を相手するときに参考になるじゃん?

 そしたらひらさかももっと効率的にレベル上げができそうだし。」


 まぁ、ひらさかだけじゃなくても倒し方がわかれば他のハンターも生き残りやすくなるからね。


「あ… あぁ… それでどうだ…?

 弱点とか見つかったのか…?」


「それなりにね。

 足を潰すには太ももを叩いて大腿骨を折ろうと思うやつが多いかもしれないけど、オークナイトの骨ってかなり硬いね。 たぶん無理。

 骨狙いよりは関節。 膝まわりの腱とかそういうところを切るイメージがいいかもだよ。 後ろか横から膝に斬撃系か刺突系で削っていくと潰しやすいと思う。


 あとは脳や脊髄の破壊かな。 眼球、鼻、口、から刺突系でうまくすれば一発を狙えるかもしれないね。」


「そんなえぐいこと考えてたのか…」


「えぐいかな?

 魔石とアイテムのドロップには殺し方は関係ないから効率的な方法とか考えるべきだと思うよ?」


 優先順位の話しだよな。

 育ててる牛とかなら綺麗にしないといけないと思うけどモンスターはすり潰して殺しても普通にブロックな肉をドロップするのは確認したから遠慮する必要ってないよな。

 なら、安全に確実に殺せばいいんだよ。

 綺麗な戦い方より確実に勝てる戦い方がいいと思わない?




「お! 少し先に大きなやつがいるよ。

 たぶんこれがボスかな?

 2.5メートルから3メートルくらいの二足歩行だからオークよりでかいね。」


 オークは2メートルくらいの身長だからそれよりでかい。

 これはなんだろ…?


「取り巻きなんかはどうだ?」


「ちょっと待って…

 お? おぉ?? あー… あれ?」


「なんだよ? はっきりしないのか?」


「いやさ、サイズはオークくらいなんだけどちょっと反応が違うのが5匹いるんだよ。

 でかいの1、オークもどき5だよ。 なんだこれ?」


「俺の予想は… いや、先入観を与えるのはよくないか。」


 なんだよ、言えよ…

 まぁ、人型ならやることは変わんね。




「他にモンスターは?」


「大丈夫そう。 いるにはいるけど遠いし、オークだよ。」


「いや… 先にそっちを叩くか…」


「えー 肉は十分あるしいいよ。

 さっさと終わらせて帰ろ?」


 ぶっちゃけかなりめんどくさい。

 ほんとに遠いんだよ…




「じゃあ、打ち合わせ通りに… 行くぞ!」


 そう言って師匠はボスっぽいでかいのに向かって駆け出した。


 こちらから見える範囲にまで近づいてたけど、向こうにも見えてたのか?


 いや、驚いた感じの反応をしてるから気づいてなかったみたいだな。


 俺は取り巻きをやっとこうかね。



 取り巻きは… うん… 鬼だな。

 和風の鬼っていうよりは洋風のオーガ?

 2メートルちょいの身長にムッキムキの筋肉。

 額に2本の角が生えてて、まんまオーガだわ。


 ってことはさ、人間と同じように殺せるってことだよな。



 1匹めはとりあえず様子見のために顔を水で覆う。

 ちゃんと窒息するかの実験だね。

 これで殺せるなら、次に戦う時に楽になる。


 1匹めのオーガは暴れてるけど、そう簡単に外せるように組んでないんだよ?

 不定形の液体だから手ではがそうとしても隙間から漏れて顔面を覆うのを維持できるからじっくり苦しんでもらおうか。


 師匠が突撃してるから取り巻きはボスの援護に動くけど、させませ-ん。


 1匹め以外は頭以外の全身を水で覆って、雪だるまみたいにしてやる。

 これで動けないよ。


 さて、2匹めはどうしよっか。


 ちゃんと1匹めの窒息までの時間は計ってるから大丈夫。


 よし、2匹目は身体の耐久力の確認にしよう。


 全身を覆ってる水に穴を空けて、膝の破壊にどれだけの力が必要かの確認から。


 土の魔術で砲弾をぶつけると… え?


 思ったより簡単に壊れたな。


 やっぱり膝関節は横からの攻撃には弱い。


 これくらいならBランクとかでもだせる威力じゃない?


 膝の破壊ができればあとはタコ殴りでいいんだから狩りやすいね。


 んじゃ、反対の膝はどうしようか。


 こっちは斬撃かな。


 闇の魔術は使えるやつが少ないって話しだから風でやってみようか。


 お! なかなかに耐えたねぇ。


 オークの胴体をまっぷたつに切れるくらいの風の刃でもオーガの膝は切断まではいかないのか。


 でも3回で切断か。


 こんなもんか。


 ついでに太ももの耐久も確認するかね。


 うん。 かってぇ!


 膝なら一撃だったのに5発まで耐えた。


 うんうん。 オーガ狩りで下半身狙いならまずは膝を横からだね。


 はぁ、うっせぇな。


 ピーピーガーガーって悲鳴上げてんじゃねぇよ。

 うるせぇから口に氷の槍をつっこんじゃったじゃん。


 あ、死んだ。


 オーガも脊髄損傷で死ぬんだな。


 首を切り落とさなくてもいいのは楽だね。


 まだ2分か、1匹目は元気に暴れておるわ。


 んじゃ3匹めは首の耐久性の確認だ。


 お?


 おぉー!


 オークの胴体を切れる程度で首の動脈を行けたかな。


 でも骨は健在かー、やっぱ骨はオークより頑丈なんだな。


 こいつも経過観察。


 攻撃能力の確認はちょっとこわいからやめとこう。


 4匹めと5匹めは腹の強度でもみようかな。


 4匹めは氷の槍で刺突系への耐性を確認。


 5匹目は土で岩の砲弾での打撃系への耐性の確認っと。



 あぁ… やっぱり刺突の方が良さそうだな。


 打撃耐性はかなり高い。


 腹筋より先に背骨がイったよ。


 刺突はまぁそこそこ?


 今の俺じゃ、剣で貫くのはちょっと難しいくらいか。



 さて… 1匹めは10分以上経つけどまだ生きてる。

 でもそろそろか。


 3匹目はおおむね10分で失血死。


 あ、死んだ。


 1匹目は窒息死まで15分くらいかー


 1匹に集中できればいいけど、他のモンスターが集まってきたら並のハンターじゃ難しいかもな。


 取り巻きはこれで全部だ、師匠の方はどうなったかな?




 え?


 なん?


 なにしてんの?




 師匠の右腕ないじゃん。


 意識もないし。


 で?


 今度は俺を狙ってる?


 へぇ…


 いいよ。


 やろうか。




「はっ! 効かねぇなぁ。」


 オーガのパンチを氷の壁で受ける。


 しっかり魔力を練り込んでるからそう簡単に壊せねぇよ?


 ちょっとムカついたのかガンガン殴りつけてくるけど、いくら殴ってもひび1つ入ってねぇなぁ。


 とはいえ、手がないのはこっちも似たようなもん。


 岩の砲弾も効かねぇし、氷の槍も通らねぇ。


 お互い打つ手なしって感じか。


 それにこっちは師匠を治療しないとだからあんま時間かけらんねぇ。


 どうすっかなぁ…


 ん?


 あいつ距離を取った?


 はぁ!?


 助走つけて肩でタックル!?


 うっわ、氷の壁を割られちまったよ。


 ま、最初の1枚なんだけどね。


 3枚用意した1枚だし、こんなの秒でまた作れる。


 さぁて…


 ほんとどうすっかな…

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