043 報告会①




「それで、2人ともデートはどうだったんだ?

 ゆかりはトラブルがあったそうだが。」


「私と美春で迎えに行きましたが、ホテルでしたよね?」


「そうね… 全員にちゃんと報告しなきゃと思ってたからこのタイミングになってごめん。


 それじゃ、最初からね。

 私は待ち合わせ時間より前に行ったんだけど、ナンパが酷かったの。 断ったらすぐ引くやつばっかりだったんだけど最後のやつらは違ったの。

 かなりしつこく食い下がって、そこに零司が来たんだけどハンターだからって脅して来てね、零司がサブゼロの人を呼んで連れて行こうとしたときに警察が来たの。

 その警察も空回りしててしつこかったわ。」


「まぁ、警察も仕事だからな。」


「そうですが、ハンター相手に一般の警察にどうこうできるとは思いませんが。」


「そこはメンツの問題だろうな、どうせ逃げられるにしても自分たちで逮捕したって実績がほしいんだろう。」


「しょーもな。」


「ほんとですね、零司さんに迷惑をかけるなんて…」


「その警察を零司が言い負かして追い返したんだけど、そこで気づいたのよ。」


「なにに?」


「ちょっと嫌な予感がします…」


「奇遇だな、私もだ。」


「その… ね… 友達とかパーティーメンバー、彼女だと零司が相手に手を出すときの言い訳に弱いじゃない?

 だから…「「「待って!!!」」」え?」


「なんだかすごく聞きたくないことを言われそうな気がするよ!」


「そうです… でもこれってもう言っちゃったんですよね?」


「あ… 確かにそうだな… 悔しいが聞くしかないか…」


「はぁ… みんな最後まで聞く、ゆかりつづけて。」


「うん… それでね… ホテルに行って… 結婚しなさいって言っちゃったの。

 Aランクハンターの配偶者になれば色々と楽になるしって建前もあるんだけど私がもう我慢できなかったの…」


「まさかゆかりさんが最初かぁ…」


「だから私といるときにちょっと上の空だったんだ…」


「まぁ… Bランクの私よりはAランクのゆかりの方がいいか…」


「姉さん、それはちがう。 れーじはそんなことで決めない。

 れーじにとってゆかりは特別、だよね?」


「うん… ずっと自信なかったんだけどね…

 私の初恋の相手が零司だったの…

 小学生の頃に兄さんが連れて来た小さな男の子がいたの。

 その子は親との関係が良くなくて兄さんの師匠にあたる人が一時的に引き取ってた。

 それで2人の手が離せないときに私と一緒に遊んでたわ。

 確か5歳だったと思う、そんな子供が親と離れていても泣きもしない。

 違和感しかなかったわ。

 でもそれは私たちを気遣ってのことで、自分が泣いたり甘えたら迷惑だってわかってたみたい。

 それに優しかったの。

 引っ越しの多かった私は小学校に馴染めなかったからその子とずっと一緒だったけど、私が見ていたっていうか、私が見守られてたの。

 それに気づいたときにはもう好きになってた。

 お互い子供だったから一緒にいられるだけで幸せだったけどそれは長く続かなくて、私は引っ越し。

 その後2年前にゼロさんに助けられて、鍛えてもらって、今度はゼロさんを好きになりかけてた。

 そうしたらゼロさんが移動してそれっきり。

 昨日兄さんに聞いたら零司があの時の男の子だって言うの。

 私がいいと思った男の人は3人、でも全部零司だった。

 もう気持ちを抑えられなくなったの!

 そうしたら受け入れてくれて…


 みんなごめん、零司の初めてはもらいました。

 それと明日は婚姻届出して来る。」


「ゆかりおめでと。 ゼロは言ってた、「ゆかりとはいつか会ったことがある気がする」って。

 だからたぶん気づいてたんだと思う。」


「そっかぁ… 零司くんが5歳くらいってことは10年?

 それなら1番乗りしてもおかしくないね。」


「そうだな、おめでとうゆかり。」


「おめでとうございます、でもその… ゆかりさんは零司さんを独り占めするんでしょうか…?」


「まさか! あんたたちだって独り占めするつもりないでしょ?

 今から少しの間は私の夫ってことになるけど零司がBランクになったらみんなの夫になるわよ。

 しばらく夜は独り占めしちゃうかもしれないけどね。」


「それはしかたないですよ、今のところ受け入れてもらったのはゆかりだけですから。

 付き合いの長さもあるでしょうし次は美冬かもしれませんね。」


「それはわからない、チャンスはみんなにあると思う。

 だから姉さんもさゆりもがんばって。」


「あ、あぁ… 頑張ってみるよ…」


「そうですね、でも私は焦るつもりはありませんからゆっくり関係を深めていきます。

 それでは、美夏の報告をお願いします。」


「あぅ… この空気じゃやりにくいよぉ…

 えっと… ゆかりさんがいたホテルで待ち合わせて、零司くんのお洋服とかを買って、同じホテルでディナーを食べました!

 付き合ってほしいって言ったけど流されました!

 でもこんどみんなで遊びに行こうって約束したよ!」


「あ… なんかごめん…」


「ゆかりさん、それ追い打ちです…」


「みかは頑張った。 れーじ楽しそうだった?」


「うん、楽しんでくれたみたい。 これまで遊びに行くって経験がなかったみたいなの。

 小さいころからハンターと学校の生活だったみたいで…」


「そうなのよ、私たちといたときも私と遊ぶとき以外は訓練ばっかりしてたわ。

 今から思えば零司ってあの頃から魔術を使ってたのよね、そりゃ強いわよ。」


「そんな子供時代か… 周りの大人は何を考えていたんだ…」


「兄さんと零司の師匠にあたるひとは忙しいひとだったの、ずっと面倒を見ることはできないから生きていけるようにだけするってほんとに厳しい訓練をしてたって聞いたわ。

 そうしなかったら食べるお金もなくて…」


「そんな幼少期を過ごしたのに零司さまは人助けを…

 ほんとうにどれほどお強い心を持たれているのか…」


「小百合さん! 零司くんはたしかに強いよ、でもすごく傷ついてる。

 自分が痛いことにも気づけないほど傷ついて来たの。

 だから私たちで癒してあげなきゃ!」


「そうですね、零司さまが折れないように、折れてもまた立ち上がれるように私たちでお支えしましょう。」


「そうだな、私たちは零司を愛してるんだ。 零司を幸せにしないとな。」


「美春さん… この間で開き直ったんですか?

 時間のあるときに特訓に付き合ってください、零司さんの敵を排除するためには力が必要ですから…」


「もちろんだ、陽菜のリハビリにも付き合うぞ。

 これでも養護教諭だからな。」


「それでは一通り話しが終わりましたので、ここまでにしましょう。

 明日のデートではないメンバーはゆかりが届をだすのに付き合うということでいいですか?

 せっかくなんですからみんなで祝いましょう。」


「「「賛成!」」」


「みんな… ありがと…」




作者です。

お読みいただきありがとうございます。

デートをしたら報告会をするのは当たり前ですよね?

ここのメンバーはお互いのことも大事に思い合うハーレムとなっております。

(半分は姉妹ですし…)


みんなが幸せになれるようにしたいと思っています。

不幸になるのは他人の恋路を邪魔するやつだけです!



レビュー(⭐)、応援(♥)、コメント

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近況ノートに適宜連絡や感謝を書かせていただいております。


次回は2023.10.31 12時です。


10月は2日に1回、奇数日更新で頑張ります!


よろしくお願いします。

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