とある男子高校生の心情

凪風ゆられ

将来への不安

 先日、とある大学のオープンキャンパスへ行った。

 わりと有名ということで人が多くいて少し……どころかかなりビビった。

 今年は入場制限がないから、全国から受験生やらなんやらが来るのだろう。

 女子のほうが多かったけど、男子も意外といた。

 僕の通っている高校の生徒も一人や二人くらいも見かけた気がする。


 目的の学科は文芸学科だった。

 周りを見れば、人、人、人。(文芸に興味がある人、という意味で)

 それがここでは当たり前で、なんの変哲もないのだが、自分にとってはどうも息苦しかった。 

「みんな真面目に書いてたり努力したりしてるんだろうなぁ」ってずっと頭の中で考えていたせいだと思う。実際そうだろうし。

 

 僕は文芸学科を志望しているが、理由に関してはあまり他人に言えるようなものではなかった。 

「様々な理由により行ける大学がある程度決められてて、その中で文芸学科があるから」

「なんとなく書くことが好きだから」


 もしかしたらこんな考えの自分を肯定してくれる人がいるかもしれない。

 でも、現実にそんな人が現れていない以上、自分で肯定、或いは否定をしなくちゃいけない。

 僕はそれが怖かった。


 自分のことは自分がよく知っている。故に、どんな生活をしていて、どんな性格をしていて、どんな考え方を持っているかを把握している自身が、今後の人生に関わるかもしれない重大な判断をしていいのだろうかと悩んだ。

 

 ずっと頭の中でぐるぐる不安が回っている。

 

 友人はすでに具体的な進路を見据えて勉強をしている。

 好きな子は将来について友達に相談していたりする。

 

 羨ましいなと思った。

 どうして胸の内を近くの人に明かすことができるんだろうって思った。

 でもまぁ、自分みたいな人間じゃないから選択ができるんだろうね。

 

 この将来への不安みたいのは、この先も続いていくんだと思う。

 もちろん解決策なんて見つからないまま。

 不安の種なんてそこらへんに埋まってるんだし。

 

 

 

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