決着
視界には、黒い靄、触手、そして魔王の驚いた顔。魔法を喰らう前と状況が変わっていないように見えるから、あの世界から一瞬で戻ってこれたのだろう。
「何故絶望に囚われぬ!?」
僕が力を見せても、勇者と明かしても、みんなは受け入れてくれた。
鬼崎勇気と勇者は両立出来ると思えた。だから、僕はもう間違えない!
思いを込めて聖剣を振るう。
「クッ」
魔王が呻きながら触手を盾にする。
威力は多少減衰されたが、それでも魔王の胸部を浅く斬り裂いた。
「ッ黒鳴!」
横に飛び退きながら、魔王は魔法を唱えた。が、その魔法は3度目だし、2度目には愛が防いだ。このまま攻撃すれば、そのまま倒せる。
「光よ、守り給え!」
愛が障壁を作った。これで防御も回避もいらない!
これで終わり――
衝撃。聖剣は取り落とさなかったが、思わず膝をつく。
何故。
動きを止めた僕に、触手が迫る。避ける手段がない。遥が触手を引っ張ろうとするが、魔王は体勢を崩さなかった。
「ファイヤーランス!」
さくらさんの詠唱。だが、ファイヤーランスでは触手全てを焼き尽くすことは無理だろう。触手の攻撃に備えて覚悟を決める。
が、急に力が溢れた。
痺れの未だ残る体を溢れた力で無理やり動かして、魔王のもとに駆ける。
触手が体を殴打するが、無理やり体勢を崩さないよう耐えて、進む。
「影槍!」
突如魔王の影から影で出来た槍が飛んできた。
それを避けず、そのまま聖剣を振るった。
聖剣は、魔王を両断した。
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