勉強の話

「暇だな〜、暇!ねぇヒ!マ!」

「マジでうるせぇし、暇じゃないだろ」

そう、本当は暇じゃない。暇じゃないけど暇。

要するに今やっているテスト勉強に飽きただけである。

「もう分かんないし飽きたよ〜、ねぇ健遊んじゃおうよ」

「俺も飽きたし遊びたいけどさ〜、神崎に嫌われたくないし実際勉強しとかないとやばくね?俺ら。高校生になれんの?それすらわかんねぇよ」

「確かに」

「絶望〜」

このままの成績だとまぁ不味いのは百も承知だがもう飽きてしまって教科書の一文も読みたくない。

さて、どうしようかな。

「あ〜、この問題わかんね。お前分かる?」

「分かると思う?」

「ですよね」

「そうだ‼︎じゃあ誰かに教えてもらいに行こうよ」

我ながら良い考えだ。ずっと健と二人きりで勉強しても面白くないし、勉強を教えて貰うなら遊んでる訳じゃないし

由理も怒らないでしょ。

「誰かって誰?」

「翔ちゃんとか」

「お前忘れたの?前に斎藤と神崎兄に教えてもらった時頭良すぎて何言ってるかすら分からなかったじゃん」

「そうでした」

そういえばそうだった。あまりにも頭の出来が違いすぎて同じ日本語を話しているのかすら分からなかったんだった。

「え〜、じゃあいっちーに教えてもらう?」

「絶対嫌だよ‼︎絶対馬鹿にしてくるじゃん‼︎」

「馬鹿なんだから仕方なくない????」

「そうだけど‼︎‼︎あいつに教わるくらいなら死ぬ‼︎」

「うける」

本当に二人は面白いくらい仲が悪い。でもどうしよう知り合いの年上ってこの三人くらいしか知らないしな〜…。

「仕方ない、もうここは神崎弟に頼ろうぜ」

「プライドはないの?」

「あるわけないだろ、それにこのままでいるより絶対マシ」

それはそうだ。年下とは言え由理の弟くんは絶対に私たちより頭が良い。嫌がると思うけど教えてもらおう。

「じゃあ行こっか〜‼︎しゅっぱ〜つ‼︎」

そうして私たちはプライドのカケラもなく下級生に勉強を教えて貰いに行った。

その後からテスト終了まで何故か記憶がなかったけど今までで一番と言えるくらいの良い点数が取れた。これで無事

高校生になれそうだ。よかった、よかった。

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ゆるがく 橘小春 @TachibanaKoharu

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