寒い日の話2
「寒い!!!!」
心の底からそう叫ぶ。俺は寒いのが苦手だ。猫のようにコタツで丸まって寝ていたい。ああ、でもコタツで寝ると優に怒られるから布団にしよう。そうしよう。それでもきっと怒られるけど。
「本当に今日は冷えるな、大丈夫か?」
大丈夫なわけない。というか冷えるなとか言ってる斎藤はなんでシャツを腕まくりしてしれっとした顔をしているんだろう。
「大丈夫じゃない…って言うかなんでそんな薄着なわけ…?見てるこっちが寒いんだけど…」
「そうなのか?すまない、言うほど俺は寒くないからな…」
「すご…」
「それにしても俺のブレザーを貸してやっているだろう?
それでもそんなに寒いのか」
「貸してもらってなお言うのも申し訳ないけど寒い」
「そうか……。あっ!そうだ!」
なんだか嫌な予感がする。
「そんなに寒いなら一緒に走らないか?そうすればきっと体も温まるだろ!」
やっぱり!そう来るだろうと思った!
「ついでだから勝負しよう!」
「嫌だ!!」
本日2度目の心から叫びだ。こんな寒い中走りたくないし勝負なんて尚更嫌すぎる。
「でも寒いんだろう?いい考えじゃないか」
「斎藤にとってのでしょ。俺とってなんの良いこともないし」
「そうか…?じゃあ俺に勝ったら好きなもの奢ってやろう」
「うーん…」
「1つじゃなく2つならどうだ?」
「それなら…」
「決まりだな!俺が勝ったら剣道部に入れよ!」
「うわ……絶対勝つ…!!」
そうしてどうしても負けられない勝負が始まった。
あーあ、今日は帰ったら玄関で寝ちゃうかも…
そしたらまた怒られちゃうなぁ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます